自分で買ったのに、枕元に置いて夜中に目覚めたらビビる表紙です。


( ̄∀ ̄)v- さあ私の大好物、心霊ネタから行きましょう。映画雑誌のはずですが、このラインナップは何なの「怪奇秘宝」……


冒頭からあーこれこれ。今はもう取り壊されたそうですが、大阪の通称「マル病院」って病院廃墟で撮られた心霊動画。深夜2時に件の廃墟でデジカメを回してたら、撮影者は気づかなかったのに、窓の向こうからおかっぱ頭の女の子が「よいしょ」って風情で入ってくる……


( ̄ー ̄)v- そんな時間に病院廃墟に子供がいるはずがなく、子供の手足が不自然に長いとか、不気味なインパクトで取り沙汰されました。今もYouTubeで見られますな。


「怪奇秘宝」ではこの動画の真偽と考察をその道の玄人に判じてもらってますが、人選がなかなか。そして全員「作りもの」という結論でした。


トップバッターは白石晃士監督。わたくし「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」の続きを心待ちにしております、押忍!


( ̄○ ̄) テレビで見ましたが、見た瞬間「あぁ、人間の女の子だな」と思いました。

( ̄○ ̄) 根拠として一点目は、少女が別に透けてもおらず物理法則に反した動きもしていない。人間だとしても視覚的に何ら矛盾がない。

( ̄○ ̄) そして二点目は、この映像に音声がないということ。テレビで放送する際にノイズを消したというより、テレビの製作会社が映像を入手した時点で最初から音声が無かったのでは。


最初からフェイク動画を撮る意図だったから、撮影者は女の子に「今出てきてね」などの言葉をかけたんだろう。それが入っているから全ての音声をカットした。白石監督はそう推察していました。


( ̄○ ̄) 今回あらためてこの映像を見ましたが、カメラワークに注目すれば、撮影者はハッキリと少女の存在を意識しています。

( ̄○ ̄) カメラがスーッと左に振った後、右に振る折り返しのタイミングで少女が現れる。そこからちょっとまた左にカメラが戻ると、少女が窓枠から身を乗り出し始める。そこでカメラが右に振れ、少女はフレームの外になり見えなくなる。これは明らかに、少女の動きを待っているのが分かるカメラワークです。


……ああ、「心霊動画100連発」系特番を貶しながらも見てしまう人々には体感で分かるこの解説。最近こればっかですよね。一瞬バッチリ映して、すぐにフレーム外になる。もはや様式美………


( ̄∀ ̄)v- 他の解説者は三宅隆太監督(劇場霊、クロユリ団地etc.)・渡辺圭氏(NHKの幻解!超常ファイルプロデューサー)・本城達也氏(ASIOS代表)ですが、いずれも「音声がない」「カメラの動きと少女が現れるタイミングが作為的」「少女の手元にペンライトの光が見えている」に着目して、フェイク動画には違いないだろうと判じていました。


ただここまでは、私たちにも体感で分かる。(あんまり自慢にならないですが) 興味深いのはプロの「怖い映像」の作り手さんのお言葉でした。


白石晃士監督( ̄○ ̄) ……この手の映像を撮るには、気を使う点は「自然なカメラワーク」と「不自然な光や作為的なものを画面からシャットアウトすること」。幽霊がカメラを見ると劇的な感じになってしまうので、幽霊役はカメラを見ない演出にした方がいい。


フェイクドキュメンタリーで鳴らす白石監督の「心霊動画の撮り方」……それ系ユーチューバーの皆様、しかと魂に刻んでください。待ってます。(←あっ)


( ̄○ ̄) 私が演出を加えるなら、あり得ない不自然な高さから少女を登場させます。窓枠を乗り越える際も、体の重みを感じさせないようにする。そうすれば見る側は「この世ならざるモノ・理解できない何か」と認識するからです。


……それには手間暇がかかる。女の子の安全確保に見えない所に足場やマットを設置しないといけないから、素人がちょちょっと撮れるもんじゃないってわけね………


(; ̄∀ ̄)v- やっぱりプロはすげーや。


白石監督は投稿系と「作品」を峻別してる印象ですが、三宅隆太監督は「投稿系心霊動画も魅力的(=怖い)」と語ります。


( ̄∀ ̄) あの「廃病院の少女」はとりあえず窓枠を乗り越えることに集中していて、撮影者を怖がらせようという意図は見えませんね。

( ̄∀ ̄)「怖さを期待されている」って自覚がないんでしょう。なのに怖い。いや、だからこそ怖いんです。


投稿系の心霊動画が怖いのは、「偶然に映っちゃった」という映像だから怖い。映画やドラマだとストーリーで因果づけなきゃならないし、「映るべくして映った」を限りなく自然に、これ見よがしでなく撮らなきゃならない。やっぱり「作品」の方が手間暇かかって難しいんすね。


( ̄∀ ̄) この「廃病院の少女」が魅力的(=怖い)のは、画面内で起こる事象と撮影者との間に「なんの脈絡もない」という点です。


多分フェイクだろう。でも、「深夜の廃病院で偶然に撮ってしまった映像」という前提がもう演出になっている。最近の投稿系心霊動画の量産体制(流行り)はその作りやすさからだと思うんですが、いささか「もうちっと前後の因果を大切にさぁ……」と思わんでもない。


( ̄ー ̄)v- お手軽に作れすぎだもん。


けれども、映像と撮影者の間に「何の脈絡(因果)もない」は、怪奇ネタの真髄でもあるんすよね。心霊現象とはもともと不条理なモノで、〇〇の祟りとか怨念とかってのは割と後付けだったりした。オチのない怪談の方が不気味で後を引くし………


( ̄ー ̄)v- それを狙ってバットを大振りする地雷ホラー映画もたくさんあるケド。



それでも100連発系特番があると「新作はどうよ?」と腕組みして見ちゃうんですよね。


病膏肓。