過去からの逆襲。覗きスライドの奥から視界に突進してきた父親は、サラにとっては「今まで真相を知らずにのうのうと生きてきた罪悪感」でした。


( ̄ー ̄)v- それほどまでに、バリバリの死人顔の父親は敵意と害意に満ちていた。いやもしかしたら“森の悪意”が、サラが一番ダメージを受ける演出を仕掛けているのかも。


いろんな想像ができる。普通なら、人は自分でいろいろ調べられるような年になれば、両親が亡くなった事故の詳細を知ろうとする。サラはまったくそれをしておらず、お祖母ちゃんやジェスからの「両親は轢き逃げされた」って情報のみで疑問を持たなかった。


( ̄ー ̄)v- 6歳の時に「銃声だ」と分かっていたのかもしれない。もしくは父に母を殺す理由があったのを感じ取っていたのかも。幼児は大人が思うほど、両親の微妙な雰囲気に気づかない訳じゃない。はっきり言語化できなくても……


もしそうなら、サラにはより深い罪悪感を抱く理由がある。「薄々知っていたけれど、ジェスやお祖母ちゃんに任せて目を背けていた」という事になるからです。


( ̄ー ̄)v- たとえそれが無意識の防衛心からであっても、人の心というものは「罪」を忘れない。不可抗力であっても「私は自分だけ楽に生きてきた」は、当人にとっては逃れられない罪になる……


案内所のバイトの姉ちゃんは「森の餌食になる。そしてあなたは自殺する」と言っていた。そしてミチは「森に入らない方がいい。悲しい顔だから」と言っていた。


それが日本人の感覚なんだろう。こういう場所で1人さまよう事は、人によっては自身の無意識下の何かを増幅させ、自滅を招くことがある………


( ̄ー ̄)v- 大晦日にナニ書いてんだ自分。


とりあえず身体的な救いは来た。叫び声を聞いてエイデンが探し当ててくれ、穴からロープを垂らしてくれました。


(≧□≦;) ファイトーーーーーーいっぱーーーーーーーーつ!!!


エイデンがガチムチで良かった。唸る上腕二頭筋。「よく引き上げられるなあ」と思いましたが、サラは何とか地上に脱出します。


( ̄○ ̄;) ……ミチが言った通り、幻覚を見たわ。


這い上がった地面にへたり込み、力なく呟くサラ。見たくなかった真実を見てしまった彼女は、日本人の忠告は間違ってなかったと体で知りました。


(; ̄ー ̄) ……何があった?


エイデンが尋ねてもサラは答えず、助けてもらったけどやはり警戒してる様子です。


ヾ(; ̄○ ̄) 近くに地元レンジャーの詰め所があった。そこで休もう。


確か青木ヶ原は、陸上自衛隊のレンジャー部隊が訓練に使うんでしたっけ? 私はここで北海道だったかの小さな男の子の行方不明→発見騒動を思い出しました。


( ̄ー ̄;) ………。


促されても「騙されないわよ」って面持ちのサラ。エイデンはしばし沈黙し、やがてザックをゴソゴソ探ります。


(; ̄ー ̄)/ 受け取れ。

( ̄○ ̄;) なに?

(; ̄ー ̄)/ ナイフだよ。


柄を向けて差し出されたのは大きなサバイバルナイフ。街なかで職質されたら一発アウトな刃物ですが、エイデンは「凶器は渡すから信用しろ」と言いたいみたいです。


( ̄ー ̄;)v-「まだ持ってるやろ」と思ってしまった私は人してアレだな。


芯からは納得してない表情で、それでもナイフを受け取るサラ。そして再びエイデンと森を歩くうちに、また川にさしかかります。


( ̄○ ̄;) 手の傷を洗うわ。


昨夜ざっくり切った手に巻いた布をほどき、川の水に浸すサラ。しかし見下ろした手の平にはいつの間にかウジが湧き、わしゃわしゃ蠢いてます。


( ̄○ ̄;) …………………………。


ショックと言うより茫然として自分の手を見つめるサラ。ウジだけじゃない。見つめるうちに手の平から肘にかけて黒い変色がジワジワ進み、皮膚の下で蠢くウジの形が浮き上がる…………


ヾ( ̄○ ̄;) …………………………。


魂が抜けたような表情で、ぼんやりとサバイバルナイフを取り出し手首の下に当てるサラ。皮膚の下のウジを取り出すつもりか? それとも………


「サラ?」


ヾ( ̄○ ̄;) ……何でもないわ。


切っ先を肌に沈める直前に、エイデンに呼ばれて我に返る。改めて見直すと手の平や前腕にはウジはおらず、死人めいた黒い変色もありませんでした。



もう少しで手首を切る所だった。それはサラ自身の意志なのか“森の悪意”か、それともその両方か?………