エイデンがザックから大きなサバイバルナイフを取り出す。そしてミチと2人でロープを切って縊死体を降ろす間、サラは背を向けて待ちます。
ヾ( ̄○ ̄;) 降ろしてやって場所をメモする。明日警察に来てもらおう。
本来は触ってはいけない。訪問介護でも訪問した時に利用者さんが亡くなっていた場合、勝手に動かすと警察に怒られます。(脈を見たりするから触れてしまうけど、それ以上は駄目)
(; ̄○ ̄) ………………………?
サラの足元にサアアと風が吹き、落ち葉がある方向に流されていく。遺体を木の根元に安置したミチとエイデンはもう歩き始めていましたが、サラは不思議な風が吹いていった方向を見つめて呟きます。
ヾ(; ̄○ ̄) こっちは駄目? 行ってみたいの。
ミチとエイデンは怪訝そうに顔を見合わせますが、サラの言う通りにしてくれた。けれども先導するミチは、「そろそろ戻ろう」と呟きます。
(; ̄○ ̄) え、もう?
( ̄○ ̄;) 暗くなれば危険だ。何も見えなくなる。
最初から日のあるうちに引き返すつもりで、懐中電灯やヘッドランプの備えはない。サラとしてはまだ早すぎますが、ガイドのミチはそこは譲る気はありません。
でも、さっきの風は何かの啓示だった。行く手の木立の間にまた黄色いテントが見えてきて、サラは「妹のテントだわ!」と叫びます。
ヾ( ̄∀ ̄;)/……「テントはまだ迷ってる印」なんでしょ!? ジェス、無事よね!?
まっすぐにテントに向かって駆け出すサラ。このテントは日本に着いた晩、サラの夢に出たものと同じ。もともと見覚えがあったから夢で見たのか、それとも?………
┏( ̄∀ ̄;)┓ やっぱりジェスのテントだわ、良かった!!
中にスライディングすると、見覚えのあるザックや衣類や樹海のパンフレットがあった。テントの外には衣類も干してあり、ただジェス本人だけ姿が見えません。
(; ̄○ ̄) 時刻が遅い。今日はメモを残して帰ろう。昼間に捜索した方がいい。
ミチが慎重にそう告げますが、サラには納得がいかない。すぐ近くにいて戻って来るかもしれないじゃない!………
ヾ( ̄○ ̄;) 服も干してある。きっと近くにいる、私ひとりでも残るわ!
(; ̄○ ̄)/……ここでテント泊は危険だ。夜の樹海では人は幻覚を見て、取り返しのつかない事をする。
( ̄□ ̄;) まさか、あなたも「幽霊」を信じてるの!?
(; ̄○ ̄)/ そうじゃない、恐怖と悲しみの心が……
このへん、外人さんに説明するのは簡単そうで難しい。単に「視界がきかず、主観のみになりやすい森で一晩過ごすのは危ない」なんですが、自殺防止ボランティアをやってるミチはサラに耐性が無いのが何より不安。ここはある程度慣れてるガイドでも、準備無しでは一晩過ごせない場所なんだけど………
( ̄ー ̄)v- 黙って見てないで一緒に止めようよエイデンさん。あ、やっと口を開いた。
( ̄ー ̄;) 後悔するぞ。
(* ̄○ ̄) 遠くから来たのよ、見つけるまで帰らない。ご協力感謝するわ。
もうテントの中に座り込み、バイバイする気まんまんのサラ。ミチは根負けして肩を落とし、エイデンはしばし考え込んだ後、「僕も残る」とミチに告げます。
(; ̄∀ ̄) 2人いれば安心だろう。
ミチはダブルで根負けして、日本語が分かるエイデンに「決して彼女から目を離すな」と日本語で伝えます。
( ̄□ ̄;) 絶対にここを動くんじゃないぞ。
大事なことだから、日本人はあまりやりたがらない指差しつきで言いました。ミチは引き返し、サラとエイデンはここで夜を迎えます。