ミチが戻ってくる少し前に、エイデンはサラに「妹に何かあればどんな風に分かるんだ?」と問う。サラは振り返らずにこう答えます。


(* ̄ー ̄) ……普段は気にならないけど、ずっと小さな音が聞こえてる。お互いに何かあった時だけそれが消えるのよ。

(* ̄○ ̄) 昔 それが消えた時に警察に確認してもらったら、ジェスは睡眠薬を多量に飲んでた。学生時代にもあったわ。


それを聞いたエイデンは「妹は自殺したがっていた?」と重ねて尋ねる。そこでサラは呟きます。


(* ̄○ ̄) ジェスは自殺に憧れてた。好きな詩人と同じ道よ。

(* ̄○ ̄)“人類が滅亡しようとも 鳥や森は気にしない”

( ̄∀ ̄)“何も知らない春が 新しい目覚めを迎える”


詩を暗誦するサラに、エイデンが続きの詩句を口にする。サラは眉をひそめて振り返り、「サラ・ティーズデールの詩を暗記してるの?」と尋ねます。


( ̄○ ̄*) 記事のネタ? それともナンパの為に?

( ̄∀ ̄) ナンパはあるかな。


軽くドヤ顔のエイデン。サラ・ティーズデールとは20世紀初期の米国の女流詩人で生来身体が弱く、自然回帰的な作品を残し、睡眠薬で命を絶ったのだそうです。


ヾ( ̄○ ̄) 彼は大丈夫だ、行こう。


しばらくテント泊の人物と話し込んで戻ってくるミチ。どうやらまだ覚悟を決めていなかった人らしく、自殺の心配はなくなったみたいです。


さらに進むと、木立の間にビニールテープが張り巡らせてあった。「これは何?」と訝しむサラに、ミチが「入った人が帰りに迷わないように目印にしてる」と教えます。


( ̄○ ̄) 自分の遺体を見つけてほしいと願う人が残すこともある。


これは「すずらんテープ」というもので、モノ自体はよく見る荷造り紐。製造元が札幌にある伊藤忠の子会社の商標で、そこの商品には花の名前にちなんだモノが多いからだそうです。何か特別なテープかと思ってた。


( ̄ー ̄)v- ハイキングで入る際は、持ち帰らねばならないそうです。


人知れず静かに自然に還りたい人もいれば、死後に見つけてもらいたい人もいる。青木ヶ原樹海に36日間通って合計37体の遺体を見つけた「樹海の歩き方」著者の栗原亨氏は、「自殺者は遊歩道からあまり遠くには行かない」と書いてました。


( ̄ー ̄)v- 感覚的に遠くに行ったつもりでも実際はあまり遠ざかっていないのと、やはり「人里からあまり離れたくない」気持ちがあるからか。逐一通報して警察から「またお前か」状態だったそうですが、栗原氏は「きっと帰りたいだろう」と考え煩雑な手続きを繰り返してました。


原生林に残るすずらんテープは景色に違和感を与えるもので、その細さ頼りなさに反して何とも言えない重さを感じる。もっと奥に進んだ彼らは、また別のテープが木の幹に縛りつけてあるのを見つけます。


ヾ( ̄○ ̄;) これは新しいな。


ミチが眉をひそめて辺りを見回す。ぼんやりと立ち尽くすサラは、向かい側にいるエイデンの背後に目をやり絶句します。


( ̄□ ̄;) エイデン!!

(; ̄○ ̄) えっ?



背後にいた。地面から足を浮かせ、木にもたれかかって頭を垂れる遺体がそこにありました。