ゾンビ化した娘のミーガンは、シートベルトを外す事もなく後部座席で猛り狂っている。バリーはノロノロと車まで引き返し、ドアを開きます。


ヾ(; ゜д ゜)/ アアアアアアアア!! ウガアアアアア!!


娘はもう「肉」への欲求に支配されたゾンビになってしまった。けれどもそう簡単に割り切れるものじゃない。これまで幾多のゾンビ映画で繰り返された葛藤を、バリーも限界まで味わいます。


( ̄ー ̄)v- その1つの到達点として、この道のグランドマスターのジョージ・A・ロメロ御大は『サバイバル・オブ・ザ・デッド』で「治療法が見つかるまでゾンビ化した人間を殺さない人々」を登場させました。


( ̄ー ̄)v- しまいには人間扱いしなくなっておりましたが。


ああ、すがすがしい「ガソリン無ぇ!武器も無ぇ!人類ほとんど残ってねぇ!」を観ようと思って借りてきたのに、まさかこんな懇切丁寧な脚本だったとは。さんざん観たけど重いのは変わらんわ!!


妻はまだ別れを告げる余裕があった。しかしミーガンちゃんは違う。親にとっては救いを与える事ですが、幼い娘にはそれさえ理解できない……


釘打ち機を向け、さすがにためらって目をそむけるバリー。身の上話トップバッターのベニーさんはゾンビ化した弟にとどめは刺せず、「撃つべきだった」と後悔していた……


( ̄○ ̄;) ……ごめんよ。


それしか言いようがない。バリーは引き金を引き、ミーガンちゃんは反動で後ろのめりに倒れて事切れます。


目には涙が溜まっている。バリーは釘打ち機をぶら下げて車から離れ、路上に横たわる妻の死体から少し離れた所で立ち止まります。


妻と娘は血肉に飢えたゾンビの宿命からは救われましたが、残る者には罪悪感しか残らない。本当に殺さねばならなかったのか? そこまでして自分は生き残りたいか? 妻子を殺してまで生きる意味があるのか?………



衝動的に頭に釘打ち機を当て、引き金を引くバリー。しかしもう弾切れ(釘切れ)で、カチッという音が響いただけでした。


死ぬ事さえできない。トンネルにバリーの咆哮が響き、彼はその場にへたり込んで放心します。