たった今まで正気を削り、手間暇かけて現世に呼び戻した男を蹴りつけ胸倉を掴み、激昂した男が怒鳴り散らします。


( ̄□ ̄;) 俺を忘れただと? 忘れたとは言わせない、思い出せ!!


この時のため、耐えに耐えた怒りが全身から噴き出す。男の脳裏にはこのロン毛の男と並んで立つ自分、共にマシンガンを構える自分の姿がよぎります。


( ̄□ ̄;) 俺はウサギだ、ウサギだぞ畜生が!!


……ああ、それはこの男の愛称とかあだ名だったんだ。それも妻や親しい人間から呼ばれていた愛称で、今蹴りまくって殴りまくってるロン毛の男からもそう呼ばれていたんだなぁ。


ブチ切れた“ウサギ”の脳裏には、幸せそうに寄り添う美しい妻とその腕に抱かれた赤ちゃんも浮かびます。その妻子の首を切断し、自分の足元に放り投げるロン毛の男も蘇る。信頼していたはずのこの男が、妻子を殺して自分の顔を焼いた。この男が。この男が………


( ̄○ ̄;) ……俺はウサギだ。


( ̄□ ̄;) お前の兄だ!!



ロン毛の男には本当にその記憶がない。魂もサルベージされたはいいけれど、生前の記憶、自分がどこの誰かも忘れていた。それに我を忘れた“ウサギ”は、持ち上げた岩を相手の顔面に叩きつけます。