犯人は分かった。しかし、真の謎解きはここからです。


( ̄ー ̄)v- て言うかさあ来るぞ、「理解力のチキンレース」が。今回の猟奇殺人者アラン警部のイキ具合はどんだけだ?

※アルジェント御大の描く犯人は常人には理解できない美学や衝動から犯罪を犯しており、本人が動機を語る際は斜め上っぷりが凄いです。


混乱のまま公演は中断され、控え室に下がるベティ。彼女はマーク氏に「あいつが犯人だった」と告げられ頷きますが、まだ身柄が確保されてないのに1人にされてしまいます。


-v( ̄○ ̄;) 詰めが甘いよ劇場サイド……逃走したと油断したのか?


ハイ来ました! ホッとしたのも束の間、ベティは入れ替わりにやってきたアラン警部に口を塞がれ、控え室から連れ出されます。


ヾ( ̄○≦;) 騒ぐな、殺すつもりはない。


ジタバタするベティを引きずって、舞台裏の通路を進むアラン警部。殺す気ないってあんた、さっき拳銃抜いて発砲したやん!


「……母親にそっくりだ。声だけじゃない」


ひと気のない通路でベティを押さえつけ、頬に手の平を這わせるアラン警部。ベティは必死で顔をそむけますが、その感触以上に、異様な熱がこもった囁きに愕然とさせられます。


ヾ( ̄○≦;) ……私をこんな風にしたのは君の母親だ。彼女が私に、残虐な血のゲームを教えてくれた。

ヾ( ̄○≦;) 彼女の命令で、私は女たちを虐待した。認められたくて奴隷になったのさ。


おぞましすぎる告白に慄然とするベティ。あれはただの悪夢じゃなかった。子供の頃に見たと思ってたのは夢じゃなく、母とこの男の「プレイ」だったんだ………


ヾ( ̄∀≦;) 実に簡単だったよ、マーラを事故に遭わせて君をデビューさせるのは。


アラン警部は抗うベティを小部屋に連れ込み、椅子に座らせてなおも頬や肩を撫で回して喋り続ける。ちなみに演じるウルバノ・バルベリーニ氏はガチのローマの名門貴族・バルベリーニ家のご出身でございます。


-v( ̄ー ̄;) 起源はトスカーナ地方で13世紀にローマに移住。枢機卿などの高位聖職者を輩出し、ウルバヌス8世という法王も出した名門中の名門貴族。一族の蜂をあしらった紋章は、「歴史に興味がないローマっ子でも知っている」そうです。


それがまた何の因果で変態中の変態を。しかし出自を知ると「あんた何してんすか」って演技も見る目が変わる。リアル貴族の変態演技は重みが違うわ。。。


「君と初めからやり直したかったのに。彼女としていた事を……」


椅子に縛りつけたベティに背後から横から熱く囁き、むき出しの肩や腕を愛おしげに撫でるアラン警部。女性虐待者にして究極の下僕。レベルが高いにせよ低いにせよ、どっちにしても臨界点に達してます。


( ̄ー ̄)v- それで長いこと刑事をやってたんですものね。業が深すぎる。もともとそのケがあったにせよ、このレベルまで育てたベティの母ちゃんは一体どんだけなんだろう?


別にアラン警部が神格化するほど突き抜けた女性じゃなかったかもしれない。「オペラ歌手として有名だった」以外はまったく説明されていませんが、どんな想像もできる。舞台を務めるストレスを男に女たちを虐待させて晴らしてたとか、盛りを過ぎた鬱憤を以下同文とか。


( ̄ー ̄)v- アラン警部がM男すぎて「プレイ」がエスカレートしすぎたとか、そういう面もあるんじゃないかすら。


ただ、幼い頃にそれを垣間見たベティには衝撃が強すぎた。だから彼女は無意識に記憶を書き換えて、「これは夢だ」と信じるようになった。現場を見たのは1度きりで、悪夢に変わったのは多分その後だろう。トラウマは解消されるまで、脳の中で繰り返し蘇る。それは「解消してくれ」という、自分自身からの訴えなんですね。


蠢動する脳の映像がたびたび現れた。多分それは過去を繰り返したいアラン警部のものでもあり、封じていた記憶を呼び覚まされつつあったベティの脳でもあるんだろう。


-v( ̄○ ̄;) それこそがアラン警部の狙い。ベティの周りでおぞましい殺害場面を演じ、まぶた拷問で強制的に見せつければ、彼女もまた母親のような「女王様」に覚醒すると信じてたんだ………


「……でも、何もかも終わりだ」


ベティにべったり密着し、悲嘆に暮れて呟くアラン警部。そりゃまあ露見したもんね……え、そうじゃない?


(; ̄○≦) こんな化け物、愛せないだろう?


ああ、片目が潰れたからか……いえ、それ以前の問題です下僕様。もうルックスがどうのってお話じゃないんです!!


これで全てがアラン警部の独りよがり、彼だけの妄執だというのが観客にも分かる。この期に及んで破綻の原因が己のイケメン顔面崩壊なんて、完全に彼岸にイッちまってる。これは彼だけの悲劇、彼しかいない劇場だ……



しかしハタ迷惑なことに、アラン警部のひとり舞台には無駄なまでの行動力がある。彼は「私を見ないでくれ」とかきくどき、ベティに目隠しをしてその足元に跪きます。