窮地のベティを救ったのは、お隣の住人のアルマちゃん。彼女は座敷童のごとく現れて、壁の内側の狭い通路を先導します。


┏(; ̄○ ̄)┓ ……ここは?

ヾ( ̄○ ̄;)┓ 古い通気口よ、私が見つけたの。


何でもアルマちゃんは「親が喧嘩するのを見たくなくて」ちょくちょくこの通気口を探検してるそう。成長すればいいジャン・バルジャン(@『レ・ミゼラブル』。下水道マスター)になりそうですが、お前か幼女。冒頭で格子窓からベティを観察してたのは!


┏( ̄∀ ̄*)┓ いつも歌を聴いてたの。きれいな声ね。

┏(; ̄∀ ̄)┓ ありがとう。


これが幼女じゃなかったらいろいろ思うところがありますが、何しろ今は命の恩人。アルマちゃんは「ここを通る男の人を見たけど怖かった」とサラリと呟き、ベティはやはり異常者に監視されていたと知ってゾッとします。


ヾ( ̄○ ̄;)┓ 追って来るわ!


気配を感じて焦るベティ。異常者は部屋中を探して自分がいないと知るや、唯一の抜け道の通気口に入ってきた様子。2人は慌てて狭い通気口を這い進み、アルマちゃんちの部屋に降り立ちます。


(; ̄○ ̄)b( ̄ー ̄;) しぃーーーーーっ………………


壁の換気窓の真下に身を寄せ合って座り、ヤツが通り過ぎるのを息をひそめて待つ2人。窓の真下にいれば壁の内側の狭い通路からは死角になるため、ゆっくりと這ってきた異常者はベティたちを見つけられず、そのまま去っていきました。


(; ̄∀ ̄) 行っちゃったわ!ベティ、頭いいのね?

ヾ( ̄∀ ̄;) それはあなたでしょ? 命の恩人だわ。


安心して微笑み合う2人の前に、ランジェリー姿の女性が現れる。それはベティが覗き窓越しに言葉を交わしたセクスィー美女で、この人がアルマちゃんのお母さんでした。


(* ̄○ ̄) あなた誰? なぜウチにいるの?


女性はきつい眼差しでベティを睨み、出て行けと言い放つ。そりゃまあ不法侵入なんで、ベティは「異常者がいるから警察を呼んで」と告げて出て行きます。


「何なの、こんなに服を汚して!」

「ママだっていつも下着で!」


玄関を出るベティの背中に、女性とアルマちゃんが言い争う声が飛ぶ。バシッ!という音も聞こえた。あの女性は覗き窓の向こうで、恐らく夫ではない男性と抱き合っていた。アルマちゃんは、母親がどんな振る舞いをしてるか知っているんだ……


(; ̄ー ̄) …………………………。


アパートを出て夜の雑踏に紛れるベティ。周りにはたくさんの通行人がいるけれど、その中に異常者が紛れてるかもしれない。ベティはせわしなく周囲を見回し、耳を塞いで足早に歩きます。


( ̄ー ̄)v- ここまでまぶた拷問=殺し場では暴力的なハードロックが流れてたんですが、ここでは雑踏を行くベティを同じBGMが包み込む。


どこかに異常者がいるかもしれない恐怖感。周りには大勢の人間がいるのに、ベティにとってはもう責め場という意味か。神経をすり減らして歩くベティの脳裏には、子供の頃によく見た悪夢が断片的に浮かんできます。


黒い覆面の男、
薄暗がりの中で、束ねた両手をロープで吊られている女性。
長い間忘れていたのに、なぜこの悪夢を思い出すんだろう?………


( ̄ー ̄)v- 子供の頃に見た悪夢……母子関係にストレスを抱えてるアルマちゃんと出会ったことが、より鮮明に記憶を蘇らせるきっかけになったのか?


ならばベティの子供時代は? 彼女の幼年期も、アルマちゃんのように悩み多きものだった?………


雑踏から逃げるようにしてたどり着いたのは劇場だった。ベティは壮麗な建物の中に入り、幾重にも張られた深紅のカーテンをくぐって舞台を目指します。


( ̄○ ̄;) ……マーク、何が起きたか聞いた?


ここに来れば絶対にいる。だって今日は2回目の公演の前夜なのだから。ベティは舞台にいたマーク氏を見て、そっと声をかけました。


( ̄○ ̄) 君の部屋に電話して、来ていた警官と話したよ。



マーク氏が近づいてきて前に立ち、ベティは「どこかに隠れたかったの」と言ってうなだれます。