今度こそ殺される? ベティは目の前に立ちはだかる覆面男におののきますが、男はまたしても血濡れた鋏でロープを断ち切っただけでした。
「……逃げられると思うな」
無機質な声が、あざ笑うように耳に響く。男は断ち鋏の先端でベティの胸から下腹までをゆっくりなぞり、彼女の体でなく心を切り裂きます。
「いつでも殺せる。お前は逃げられはしない……」
男は仕立て室を出て、通りの水道で金鎖を洗って持ち帰る。どうやら身につけていたものが、倉庫でドレスを切り裂いた時に装飾に引っかかって千切れたようでした。
(ノ□T;) …………………………。
ベティは1人で切断されたロープを払いのけ、忌まわしいまぶた拷問器具を捨てて劇場から飛び出します。
……1度ならず2度までも、あの男は自分を傷つけた。無理やり惨劇を見せつけられ、それだけでなく侮辱された………
“お前は不感症ではない。本性はみだらな女なのだ。”
男は明らかに性的な意図で、自分に猥褻なナイフの使い方をした。なぜそんな扱いを受けねばならない? 自分がいったい何をしたと言うのだ?
ステファノにもマークにも「オペラ歌手は好き者」と言われた。私はそんなんじゃない。むしろなぜ、自分がセックスを楽しめないか分からないのに!……
ヾ( ̄○ ̄;) …………………………。
いろんな意味で打ちのめされたベティは、やっと意を決して警察署を訪れる。すると玄関をくぐった途端にアラン警部と出くわしました。
( ̄○ ̄)/ ああ、ちょうどこれからお話を伺おうと………?
出くわした途端に気が引けて背を向けようとしましたが、その手首を掴まれた。アラン警部は手首に残るロープの痕に目ざとく気づき、「誰にやられた?」と鋭く尋ねます。
( ̄○ ̄;) ……分からない。思い出したくもないわ、想像を超える恐ろしさだった。
( ̄○ ̄) これも『マクベス』の呪いか?
表情を引き締めたアラン警部は「劇場に行ってくる」と言い、ベティは「1人にしないで」と弱々しく訴えます。
(; ̄○ ̄) 異常者はまだ劇場にいるかもしれない。護衛をつけるから、君は自宅に帰るんだ。
アラン警部は「家で僕の助手のソアベを待て」と念を押して署を出ていく。とりあえず身の安全の保証を得たベティは、疲れ果てた体を引きずって帰宅します。
(;≧д≦)/ …………………。
眼球は傷ついていませんが、度重なる「目の受難」で目が痛む。部屋着に着替えたベティは目薬をさし、たちまちぼやける視界に目をつぶります。
そこへ来訪者。
「ソアベです。警部から話は?」
(≧д≦)q ……ああ、今開けるわ。
目薬が沁みて視界がぼやけたまま、ベティは玄関を開けて来訪者を中に入れます。見えたのは、白いモヤの中の2本の足だけ……
-v( ̄○ ̄;) ベティ、なんで背中を向ける? 確認を……
「どうなさったんです?」
(≧д≦) ……心配しないで。目が痛むから目薬をさしたの。
「何かあったら呼んでください」
(≧д≦) ありがとう。
ベティには声しか聞こえない。彼女はすっかり安心して、別室にいると言う「ソアベ」を残してベッドに横たわります。