舞台を見下ろす不吉な髑髏。陰々滅々としたセットを背景に、豪奢な衣装をまとったベティがアリアを歌い上げます。


( ̄ー ̄)v- ここで「俺様メモ」を兼ねて史劇『マクベス』のあらすじをザッと解説。戯曲はシェイクスピアですが、原典は英国の歴史家ホリンシェッドの『年代記』です。


スコットランド王ダンカンに仕えるマクベス将軍は、僚友バンクォーと共に地方を平定して帰還する途中、森の中で3人の魔女に出会います。


( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜) マクベスは、スコットランド王になる。

( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜) そしてバンクォーの子孫が、代々のスコットランド王になる。


マクベス将軍は仁徳厚い人でしたが、この予言には心が揺らぐ。魔女たちは彼に「まずはコーダの領主になる」と告げ、それがすぐに叶ったからでした。


ヾ( ̄○ ̄;) ……躊躇などと、何と生ぬるい事を仰せになるの? 時は来ている。我が城にダンカン王が泊まりに来るではありませんか!


地方領主からスコットランド王。予言を後押しに野心を抱くも踏ん切りがつかないマクベス将軍を、予言を知った夫人が焚きつける。かくてマクベス将軍は、居城を訪れたダンカン王を刺殺してしまいます。


(; ̄□ ̄)/ あなた、詰めが甘うございます。凶器は現場に残して誰かに罪を着せなさい!


主殺しに動揺する夫の代わりに、血濡れた短剣を現場に戻すマクベス夫人。内助の功と呼ぶにはあまりにも肝っ玉が座ってますが、これで予言は果たされる。


ダンカン王の暗殺を知った王の息子は身の安全を思って他国に逃れ、かえって疑惑はそちらに向いた。マクベス将軍は晴れてスコットランドの王座に就きました。


だが、主殺しによる即位はマクベスを破滅に導きます。マクベス王は罪の意識から祝宴の席でダンカン王の亡霊を見て取り乱し、夫人は「いくら手を洗っても血が落ちない」と思い悩む……


しかし魔女たちの「バンクォーの子孫が代々のスコットランド王となる」という予言を苦にしたマクベス夫妻は刺客を差し向け、かつての僚友バンクォーも殺してしまう。ただ息子だけは討ち漏らし、そのため夫妻の錯乱はますます強くなる。


祝宴で取り乱したマクベス王を見て、マクダフという貴族が真相を察して他国へ亡命。彼の妻子はマクベス夫妻の命令で殺害されてしまい、マクダフは復讐を誓います。


( ̄○ ̄;) ……不安は消えぬ。どうすればよい?


思い悩んだ末、再び森の魔女に予言を乞うマクベス王。魔女たちはこう答えます。


( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜) マクダフに気をつけろ。

( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜) 女から生まれた者はお前に勝てない。ダーナムの森が動かなければ、負ける事はない……


そのマクダフが、他国に逃れたダンカン王の王子とタッグを組んで復讐戦を挑んでくる。しかしそれに先がけてマクベス夫人は罪の意識に耐えきれずに狂死。ついにマクダフに追いつめられたマクベス王はこう言い放ちます。


( ̄□ ̄;) 女から生まれた者は、俺には勝てない!

(; ̄□ ̄) 俺は女の腹を裂いて取り上げられた。故に勝てる!


……マクダフは帝王切開で生まれたので、魔女の予言では対象外。そして彼の軍勢は、木に偽装した兵士の群れ(ダーナムの森が動いた)だった。かくしてマクベス王は討ち取られ、罪のツケを払います。


( ̄ー ̄)v- 帝王切開では「女から生まれた」にはならんのか。私もそうなんだけど。。。


これが史劇『マクベス』のあらまし。マクベス王は実在の人物で、実際は戦場でダンカン王を破って正々堂々と即位して、長く善政を敷いた賢帝だったそう。シェイクスピアさんも人が悪いわね。


( ̄ー ̄)v- 魔女の予言がクセモノですね。早まってダンカン王を暗殺したから破滅したけれど、そうしなくてもマクベスは王座に就けたんだろか?


( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜)( ゜∀ ゜) きれいはきたない。きたないはきれい。。。


魔女が3人いるのは、ギリシャ神話で人の運命を司る三姉妹の女神(総称モイラ:モイラ、アトポシス、クロートー)を想定したのかも。彼女らは気まぐれに予言を投げ与え、「その通りに右往左往して破滅する愚かな人間」を笑っているのかも。


( ̄ー ̄)v- 亡霊とか割とよく出しますよね、シェイクスピア先生。


人間としては、マクベス王も夫人も最初っから謀叛人や極悪人じゃない。魔女の予言に触発されて道を誤り、派手に破滅するんすね。オペラの醍醐味は、この人間ドラマをとにかく派手に飾り立てること。それを観客が、あたかも美術品を愛でるように「鑑賞する」ことで……


( ゜д ゜)v-♪ちゃーちゃーちゃーちゃーん!! ちゃーちゃーちゃーちゃー!!

( ゜д ゜)v-♪だんっだっだっだっだんだっだっ だんっだっだっだっだんだっだっ!!


お若い方には出てこないかもですが、火曜サスペンス劇場(略して火サス)のオープニング曲をご想起あれ。あのノリなんですね、エンディングには『聖母たちのララバイ』とかのカタルシス曲が来るでしょう。


限りなく華やかな舞台立てと美しい歌声で作り上げた史劇、恋愛ドラマ、そして悲劇を、壮麗なオペラ座で鑑賞する。そこは限りなく閉じられた、華やかな密室なんですな。うん。


( ̄ー ̄)v- ……何の話をしてましたっけ?



いかんレビューや。
舞台ではベティが怖じる事なくアリアを歌い上げ、最上階からは無機質な双眼鏡が彼女をガン見する。


「……やっと戻ったな」


歌う彼女の胸元をじっくり眺めつつ、男の声がうっとりと呟きます。