(;￣○￣)(;￣□￣) ええっ!?
予想もしなかった言葉に絶句する祥子ちゃんと純ちゃん。てか、新菜ちゃんは「本物」だったのか…………
関東のオサキ(尾裂)、中部・甲信越の管狐(くだぎつね)、西日本の狗神。これらの憑き物が憑きやすいとされる家系は忌避されるものだったが、それを使役して占いをしたり呪詛を請け負う民間呪術師(拝み屋)も存在した。ひいお祖母ちゃんの代までは拝み屋だったという新菜ちゃんは本物の憑き物筋で、本当にマイ狐(狐霊)を持っていました。
(;￣□￣) なんで？ 何でうちのジョンを殺したり、あたしを電車に飛び込ませようとさせたの？
(;￣□￣) あたし達ほんとに危ない目に遭ったんだよ？
口々に抗議する祥子ちゃんと純ちゃん。新菜ちゃんは少し黙り、それから口を開きます。
(￣○￣*) ……２人とも、夏にあたしに内緒でフジロックに行ったよね？
なんだそれは、富士山麓で夏にロックフェスがあるのか？
(￣○￣*) うちにはそんなお金ないけどさ。本当は、あたしが一番行きたかったんだよ？
(￣○￣*) 祥子んちの犬はあたしの狐を見てびっくりして逃げただけ。もう戻ってくるよ。
……ああ、仲良し３人組だったけど、新菜ちゃんは家庭の事情があって同じ高校に進学できなかったんだな。それでいつしか、見えない溝が出来てしまったんだ。
(;￣○￣) ……３年前、どうしてコックリさんをやろうって言ったの。その時からあたし達を憎んでたの？
そう問われて「違うよ」と視線をそらす新菜ちゃん。
(￣ー￣*) ……３年経っても、またこんなバカな事で集まれたらいいなって思っただけ。
ああ、本心だな。パッと見は醒めた皮肉屋さんだけど、悪い子じゃないんだ。
(￣○￣*) ごめん。いつの間にか狐が力をつけちゃって、あたしにも操れなくなってた。あたしも逆に乗っ取られかけたし……
ちょっと意地悪するだけのつもりだったのに、狐使い、狐持ちの名折れで制御不能になっていたのを素直に謝る新菜ちゃん。憑き物筋の憑き物は必ずしも宿主の意のままに動くわけではなく、勝手に悪さをするとも言われ、それが他の人々から忌避される理由でもありますが……
(￣ー￣)v- 意識して使役する呪術師としては不覚。呪術師とは術に溺れ、我が身を律することが出来なくなれば、操るモノに自分が呑まれてしまうんですね。
自分では小さな悪意のつもりだったけど、狐霊を増長させる餌を与えてしまったんだろう。それを思い知った新菜ちゃんは「もう狐は捨てるよ」と呟きます。
(;￣○￣) ……黙ってフジロック行って、ごめん。
(;￣○￣) ごめんね。
怖い思いはしたけれど、原因は自分たちにもあると理解する祥子ちゃんと純ちゃん。彼女らは新菜ちゃんが本物の狐憑き(狐使い)とは知らなかったけど、何となく、好きでもないのにそんな力を持って生まれた新菜ちゃんの孤独に思いを馳せたようでした。
(￣ー￣*) ……ありがとう。
ぽつりとそう呟いて頷く新菜ちゃん。その足元から、存在を忘れられていた工藤Ｄの呻き声が響きます。
┏(￣○￣;)┓ ゴルァ……友情ごっこしてんじゃねーぞ……………
まだ苦悶中。素でコックリさんに抵抗継続中のあなたもなかなか手強いわね、さすが鬼神兵の細胞保持者。
(*￣○￣)ゞ ああ。その狐はね、ココを殴るといいと思うよ？
思い出したように工藤Ｄを見下ろし、こめかみを指差す新菜ちゃん。工藤Ｄは「ああそうかよ！」と吐き捨てて、再びバットを掴みます。
ヾ(￣□￣;) ちょ、ちょっと工藤さん！
( ゜□ ゜;) いくぞーーーーーーーーーーーー!!
自分の頭に向けてナイスヒット!! すげぇ痛そう!! しかしその瞬間、工藤Ｄの口から大きなおキツネ様がブアーーッと吐き出されます。コックリさんでかッ!!!
ヾ(*￣ー￣) …………。
怖じることもなくその前に立ち、何かをポケットから取り出すと、もう一方の手で印を結ぶ新菜ちゃん。彼女は慣れた呪術師の所作で宙に印を切り、実体化したコックリさんを封印します。
(*￣○￣)／ エイ！
シュルシュルと小さくなり、新菜ちゃんが持つ何かに封じ込められるコックリさん。工藤Ｄは「おお！」と息を吐き、憑き物が落ちてスッキリした表情で立ち上がります。
(￣○￣;) ……オイ新菜、取材させろよ。
(*￣○￣) やだ。取材拒否。
スッキリした瞬間に何ともたくましい工藤Ｄ。新菜ちゃんは代わりに、何かモフモフしたものを差し出します。
(￣□￣;) なんだコレ？
(*￣○￣) 狐の尻尾。あたしはもう捨てたから、あんたにあげる。お守りくらいにはなると思うよ？
そして背を向け、スタスタと教室を出ていく新菜ちゃん。
前シリーズではFILE-01で謎の口裂け女が残した髪の毛ブレスレットをゲットして、それがここ一番の強力アイテムとなりましたが、今回からは「コックリさん入りの狐の尻尾」になるようです。