9月18日、角幡氏はローテーションで堤隊員と共にベースキャンプから稜線キャンプに上がります。


すると翌日は大雪となり、捜索開始以来最大の積雪量となる。角幡氏らはまだ暗いうちから雪かきに追われて疲労困憊しますが、辺り一面が真っ白な雪に覆われ、何か現れたら見つけやすくなりました。


(; ̄○ ̄)/ ……ベースキャンプの食堂用のテントで寝てたら、雪の重みでテントが潰れてずぶ濡れになったわ。


21日はカメラマンの折笠隊員が稜線キャンプに上がってくる。今日からは折笠隊員だけはローテーションを外れ、捜索終了までずっと稜線キャンプで監視活動を続けることになっていました。


前回の2003年の遠征ではテレビ朝日の局員でしたが、折笠隊員は今は独立して映像制作会社を立ち上げていた。彼が今回の捜索隊に参加して、残りの期間を稜線キャンプからの監視一本に絞るのは、「前回のリベンジを果たしたい」というプロ意識からだそう。


( ̄ー ̄) ……前回の捜索の最終日、謎の二足歩行動物が現れた時、ベースキャンプからの撮影に失敗したんだ。


( ̄○ ̄) カメラにつけてた広角レンズを望遠レンズに交換してるうちに、稜線が霧に覆われてしまった。あんなに早く霧が上がっていくとは思わなかった……


( ̄○ ̄)ゞ 撮影に失敗したと言うよりも、プロのカメラマンとしてベストを尽くしてなかったような気がしてさ。前回は雪男より「雪男を探す隊員たちのヒューマンドキュメンタリー」を撮るのが仕事だったんだけど……


今回は角幡氏がどちらかと言えばその役回り。前回そちらだった折笠隊員がプロ根性を語るのを、角幡氏は興味深く見つめます。


( ̄○ ̄;) 雪男捜索隊を撮るのが目的なら、人間を間近に撮るための広角レンズをつけていたのは妥当な選択ですよね。


( ̄○ ̄) でも撮影に失敗した翌日に現場近くで足跡が見つかって、ひょっとしたら本当に雪男が現れたのかもって思ったんだ。


あの時自分は臨戦態勢をとってなかった。隊員を撮影しない時は、雪男が現れるわずかな可能性を除外せず、カメラに望遠レンズをつけておくべきだったんじゃないだろうか?
もしあの時現れたのが雪男だったなら、自分はそれを撮影できる可能性が一番高い位置にいたのだ……


-v( ̄ー ̄;) 誰に言われなくても「もっとやれた」と考える。プロだ……………


( ̄○ ̄)ゞ で、今、足跡を見つけたんだけど。


( ゜□ ゜;) ファッ!?


荷物をよっこいしょと下ろしつつ、あまりにもサラッと呟く折笠隊員。「1つだけだったから、あちこち捜しながら来たから遅くなっちゃった」とあまりにもクールに語る姿に、角幡氏は驚愕します。


( ゜□ ゜;) 写真は撮ったんですか?


( ̄○ ̄) 撮った。辺りにけっこう岩が露出してたから、主にそこを通ったみたいだったけど。


それが2~3枚目の快挙。今回の捜索最大の発見として報道されましたが、折笠隊員や高橋隊長にとっては「足跡を見つけに来たんじゃないし」と感動はかなり薄め。シビアでございます。


その日の夕方、高橋隊長から無線で「10月7日までに稜線・コーナボン・タレジャ谷の各キャンプを撤収し、全員がベースキャンプに集合する」という今後の日程が伝えられます。


( ̄○ ̄) あと2週間ありますので、それまでに何としてでもイエティの映像を撮るのが目標です。


( ̄○ ̄;) え、あと2週間しかないの?……


それを聞いた角幡氏は、いつの間にか日程の半分以上が過ぎてると初めて実感します。


( ̄○ ̄;) ……自分はまだ、雪男を捜索してるとそれほど実感していない………


その原因はおそらく天候なんだろう。辺り一面が濃霧に覆われ、1日の半分は監視活動に充てられない。だからまだ実感が湧かないのだ……



残された時間がそれほど長くないと悟り、角幡は少し焦りを覚えます。