そして著者の角幡氏は、《イエティ・プロジェクト・ジャパン》の高橋好輝隊長に引き会わされる。2003年の第二次捜索隊メンバーの近藤先輩が、面接という名目で飲み会をセッティングしてくれました。


( ̄□ ̄) 俺はもうこの年だ。いいかげん決着をつけたい。


当時65歳の高橋好輝隊長は主に家具を作る建具職人を本業にしていましたが、若い頃はダウラギリⅣ峰やⅠ峰に何度も遠征した優秀な登山家で、ニコニコ笑いながらビールを連続で空け絶え間なく煙草を吸うおじさんでした。


( ̄□ ̄) もう足跡はいい。何度も見た。今回は絶対に写真におさめる。


しかし雪男の話になると、高橋隊長は真顔で何度もそう語る。それに2003年捜索隊メンバーの近藤先輩も加わって、熱き雪男トークのボルテージは急上昇。前回の捜索は33日間にわたる長期遠征で、その撤収間際に、シェルパと隊員の1人が「はるか遠くの岩場を登る謎の二足歩行動物」を目撃したのだそう。


ヾ( ̄○ ̄;) ……だが、すぐに濃い霧が出てしまって、撮影のチャンスを逃しちまったんだ。


ヾ( ̄□ ̄;) 次の日にソイツが現れた岩場に行ってみると、やっぱり雪の上に点々と足跡が続いてた。彼らは人間がいると気づいていたし、見つからないように行動してた。最後にたまたま目撃できたけど、きっと何度も近くに来てた筈なんだ。


話を聞く角幡氏は漠然と、「自分のイメージしてた雪男と違う」と感じます。マイイメージでは白い毛に覆われた巨大な怪物だったけど、高橋隊長らが語る雪男は身長が150cmほどしかなく、ずいぶん小さいようでした。


ヾ( ̄○ ̄;) 生物学的には、オランウータンに近い高等生物だと思うんだ。


昔、NHKだったと思うけど道端でジョジョ立ち、じゃなくてまっすぐに立ってるオランウータンの映像を見たなぁ。普通ちょっと前屈みだけど、ホントに背筋をピンと伸ばしてた。でも、その体勢で歩けるのかな?……


ヒマラヤにオランウータンはいないと思うけど、高橋隊長はそんなふうに考えていました。捜索地域のダウラギリ山系の麓に住む人々は、雪男の事をイエティではなく《バンマンチェ》と呼ぶそうで、それはネパール語で《森の人》。確か、オランウータンもインドネシア語で《森の人》……


そこで近藤先輩が、愛知県犬山市の日本モンキーセンターで取材した時の談話をすかさず披露。


ヾ( ̄○ ̄;) 地元民の話だと、雪男は腕を交互に肩のほうに回す仕草をするらしい。それをモンキーセンターの研究者に話したら、「それは偶然とは思えない。オランウータンも同じ事をやりますよ」って言うんだ。


(; ̄ー ̄)v- うわぁ、めっさ地元だけに何か複雑。世界中のお猿さん専門の動物園ですが、隣接してるのは京都大学の霊長類研究所です。


冬には焚き火で暖をとるニホンザルの群れ、そして焼き芋を巡る熾烈なバトルが見られます。飼育員さんがリヤカーで芋を撒きながら爆走する高崎山と同様にほのぼのした、でも国内屈指の研究施設です。


( ̄ー ̄)v- 体の動かし方については、北米のビッグフットを撮ったとされる《パターソン・フィルム》について、山口敏太郎氏が「これは近代的な体育教育を受けた生物の振り返り方です」とか言っていた。(肩ごと振り返っており、それを類人猿の特徴と見る向きもある)


「腕を交互に肩のほうに回す」って、きんどーさんのゴリラダンス、じゃない、《細かすぎるモノマネ決定戦》の女芸人さんのリアルゴリラ、じゃない、オランウータンってよりむしろゴリラじゃないのかな。


( ̄ー ̄)v- 何て芸人さんだったかな、ほっそりした綺麗な人で、定番の持ちネタは宝塚の娘役。それが美貌をほり捨ててリアルゴリラを演じる姿にグッと来ましたが、腰に悪かったそうで今は封印。「ゴリラの動きは、人間が真似るには危険すぎるのだ」とあれほど実感した芸は他にない。


何のお話だったっけ。


ここで学研の『未確認生物 UMA大全』より、イエティ、ビッグフットに共通して生き残り説が囁かれるギガントピテクスの復元頭骨。約170万~1万年前に今の中国南部に棲息していたとされますが、発見されている化石は歯と下顎のみ。それでここまで復元できるものなのか?


( ̄ー ̄)v- さらに直立二足歩行とは限らず、半四足歩行だったとも言われる。推定身長2.7~3mというのはビッグフットならともかく、高橋隊長が想定するヒマラヤのイエティ(バンマンチェ)にはちょっとデカすぎるが……


何となく、この頭骨の持ち主ならばダイナミックに、両腕をぱっきょんぱっきょんと振り回してるような気がする。そんなモーションは入場時のプロレスラーを除けば、半四足歩行のマウンテンゴリラにこそ映えるような。(そういう問題じゃない)


ヒマラヤにおける雪男(イエティ)の目撃談は歴史が古く、いちばん古いものは1889年にまで遡る。そしてヒマラヤ登山史に寄り添うように連綿と続いてきました。


2枚目は1942年にシベリアの捕虜収容所を脱走したポーランド人が目撃した2体のイエティ。

3枚目は1998年10月に、米国の登山家がエヴェレスト北壁のベースキャンプから下る途中に目撃したイエティ。

4枚目は詳細は失念。1996年3月にビデオ撮影されたイエティ。

特に3枚目のイエティが、腕をぱっきょんぱっきょんさせてそうです。


( ̄ー ̄)v- 背筋伸びてる……頭頂部が三角形……このギガントピテクス系の猿人なら、こんな外観になるんだろうか?


5枚目は「節子それ雪男ちがう」。大変ワイルドで思わず見間違えそうですが、こちらが人類初の、ヒマラヤ8000m峰全14座無酸素登頂者のラインホルト・メスナー氏。生き神の域におられる御方です。


この御方も1986年6月に、西チベットの聖山カイラスに向かう途中でイエティを目撃したと言われますが、実はよその隊のシェルパが仕掛けた悪戯だったとも。



しかし著者の角幡氏は、日本の、それも著名な登山家たちが、自分や世間が考えている以上に《雪男》を目撃していると聞いて驚きます。