発表会レポート ~これまでのあらすじ~ | 四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

音楽や楽器とはおよそ縁のないまま四十路を迎えた中年男性がヴァイオリンを習い始めた。
このブログは、彼の練習部屋であり、リスニングルームであり、音楽を学ぶ勉強部屋。
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どうぞ遠慮なくお入りください。

 今回の発表会をレポートする前に、これまでの発表会を振り返って、今回の発表会が自分にとってどういう位置付けのものなのかをおさらいしておこうと思う。今回の発表会がどういう点で自分にとって良くて、どういう点が課題として残ったのか、自分なりに考えをまとめておくのに、そもそも今回の発表会の目標は何だったのかを整理しておくことは有益なことだと思う。
(自分にとって有益なだけで、世間には何の貢献もしません。念のため。)

 スタジオの発表会は2年に1回で、私が出るのは今回で3回目だ。最初の発表会は4年前で、その時はVivaldiの「調和の霊感」6番イ短調の第1楽章を弾いた。初めての発表会で、本当ならもっと緊張するところなのだろうけれど、この時は意外と冷静だった。というのも、リハーサルからいろんな方の演奏を聴いて、その人柄に触れ、それが自分をリラックスさせてくれたのだ。他の楽器の演奏をされる方を見ていると、どの方もとても楽しげだったし、自分もその楽器を弾いてみたいような思いになる。そのときに、上手に弾くこととは違う目標というものが見えてきて、緊張がすっと解けていったのだった。本番では、練習以上の演奏ができたと思っているし、ステージに立つことがとても楽しかった。
 2度目の発表会は2年前。講師の先生を3人もステージに上げてVivaldiのAllaRusticaを弾いた。この時は緊張しまくって思うような演奏ができず、撃沈してしまった。1回目の発表会が上手くいったことをいいことに欲をだし、今回はそれ以上の演奏を、という思いばかりが先行してしまったのだ。上手く弾こうと思えば思うほど弾けなくなってしまう。練習でできていたはずのことも本番では出来ず、悔しい思いをした。もう周りから何を言われても落ち込む一方だった。自分の仁徳の至らなさ、精神的な弱さを思い知らされた。この弱さを何とか克服したい、というのが、今回の発表会に向けた出発点だったと思う。今回はそれを克服できたのだろうか。

 2年前のAllaRusticaも、今回弾くCorelliのトリオソナタも、CDを聴いていて気に入った曲。決して自分の実力に合った曲ではない。4年前のA-Mollは子供の発表会でもおなじみの曲だが、これも自分の実力に合わせて選んだ曲ではなかった。どれも、その時の自分には分不相応に難しい曲ばかり。そこを、とにかくその曲ばかりを弾き込むことによってなんとか弾けるようにしてきた。その曲ばかりを弾き込むので、その曲に対しては強い思い入れができる。今回の曲もそうだ。弾いている人に「いい曲だなぁ」と思ってほしい。「自分も弾きたいなぁ」と思ってほしい。そういう思いは、発表会が近づくにつれて沸々とわいてくる。それが要らぬ緊張を生みがちなのだが。

 そして今回の発表会ではアンサンブルの発表もある。2年前の発表会から、いろんな楽器の生徒が、先生とともに同じステージに上がって演奏をするオーケストラの発表が始まったのだが、今回はそれに加えて、ヴァイオリンとチェロによるアンサンブルが2曲ある。みんなが極度に緊張している中で、はたしてハーモニーは生み出されるのか。楽しいという思いを共有できるのか。

 自分の中でも抱えきれないほどいろんな思いを抱きつつ、発表会の日が近づいてくる。

(つづく)