音楽な休日 | 四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

音楽や楽器とはおよそ縁のないまま四十路を迎えた中年男性がヴァイオリンを習い始めた。
このブログは、彼の練習部屋であり、リスニングルームであり、音楽を学ぶ勉強部屋。
整理の行き届いた部屋ではないが、望めば誰でも出入り自由。
どうぞ遠慮なくお入りください。

 いつもレッスンに通うスタジオにはいろんな楽器の先生がおられる。それぞれ演奏活動をされておられるので、スタジオの玄関にはいろいろなコンサートの案内チラシが常設されている。今回は、2年前の発表会で伴奏をしていただいたチェロの先生と、妻がお世話になっているフルートの先生を含むアンサンブルで、バロックのあまり聴かれていない曲を演奏されるというので、大阪まで聴きに行った。





場は小さな画廊。20~30畳ほどの部屋にチェンバロが置かれ、20脚足らずの椅子が並べられただけの会場だった。まったく初めて行くところなのだが、実は以前からこうした演奏会が何回も催されていたようだ。しかし、何の都合なのかこの会場も閉鎖されるらしく、お別れ週間として1週間毎日演奏会を催している、その最終日に来たようだ。
ンサンブルの構成は、バロックチェロとバロックヴァイオリン、フルートはバロック時代に使われていた木製のフラウトトラベルソ、チェンバロ、そしてもうお一人はバロックオーボエを2種類吹かれていた。
曲間にはMCがあって、曲の紹介などもしてくださる。これがなかなか軽妙なトークでおもしろい。プログラムに書かれている演奏者紹介によると、オーボエの方は学校で音楽の行使をされているようだ。こんな先生なら音楽の授業も楽しかろう。演奏家との距離が近い演奏会は臨場感もある。まるで自分がそこで演奏しているような錯覚さえ感じて、ヴァイオリンが出てくるとついガン見をしてしまう。いやま、ほかの楽器もそうなのだが、演奏されておられる方の立場になれば、客席と一体になって演奏する、ということなのだろうか。本当に楽しい時間を過ごすことが出来た。


 帰り道、私が住んでいる街にもこんなところがあればいいな、などという話しをしながら帰った。私の住む街には、19世紀の外輪船を模した観光船で湖を巡る以外に観光資源もなく、県庁所在地とは思えないぐらい、駅前も閑散としている。以前から、クラシックやジャズなど大人の音楽好きが集まってくるような街になるといいなと思っていた。この画廊のように小さな演奏会が出来るところや、ジャズ喫茶などが街中にあって、駅前のCD屋のカウンター横にチラシがいっぱいおいてあってチケットも売っている。週末、あてもなくそこに行けば、何なりとこういうちいさな演奏会に行けて、演奏家との一体感を味わえる。そういう街にならないものだろうか。街には立派なオペラハウスもあるが、専属の楽団はない。そういえば、どっかの市営の楽団をぶっ潰そうとしている輩がいたから、じゃ、その楽団をこっちにいただけないものだろうか。県も市もお金はあまりなさそうだけれど、こっちの方が落ち着いて演奏してもらえそうな気がするし、楽団員の人がいろんな演奏会をしたり、市民にレッスンしたりすれば、音楽の街として心ある人が集まってくるように思うのだが。




 そんなことを思いながら、晩ご飯を食べる場所を探して大阪駅前をウロウロしていると、ふと目に留まったのが

クロサワバイオリン

そうそう、そういう演奏会が頻繁にあるのだったら、こういう楽器店もきっとできるはず。
 それはさておき、この日の私のお目当てはヴィオラだ。中に入ってみて、置いてある楽器の数に驚く。先週、隣町の楽器店に行ったときは、ヴィオラは5丁ほどしかなかったが、ここはその2倍はある。大人になってからヴァイオリンを習い始めたこと、最近アンサンブルをするようになったこと、ヴィオラが我が家にやってきた経緯やその価格など、脚色なしに店員さんにお話しして、取り敢えずは弓を何とかしたいということを言う。それじゃ試にと2万円ぐらいの中国製の弓と、16万円のベルギー製の弓をお借りして、20万円ぐらいのヴィオラを弾いてみる。値段の差がわかるようにとお借りした安いほうの弓でも、私が持っている弓に比べるとかなり高価だ。張りはあるし、それなりに弦をつかんでしっかり弾ける。楽器がいい所為もあるが、いつも弾いている霊感11番も、いつもよりも重々しくどっしりとした音色で弾くことが出来る。さて、もう一本の高価な方は… ん! もうこれは全く音色が違う。弓の違いで音色が違うとは聞いていたが、本当に違うんだということが実感できる。うむ。しかし16万か。弓だけで。
 ついでなので別のヴィオラも弾かせてもらった。これは30万円ぐらいのものだったのだが、音色の好みはさっきの方が良かったように思う。さっきのはどっちかというと高音域がヴァイオリンぽくて、低音域になると深い音になる感じ。全体的に明るくシャープな音色だった。あとの方はG線などは深くどっしりとした音色だったが、高音域が曇る感じであまり好きではない。当然のことだが、こういうものは値段が高ければいいというものでもない。たぶん弓もそうだろう。





 それにしても、さすが大都市。こうして音楽な一日を過ごすことが出来た。望むならば、CDを漁ったり、楽譜を漁ったり、もっといろいろと音楽ネタはあったはず。私の住んでいる街でもこんなふうに音楽な一日を過ごせるようにならないだろうか。