工房のマイスターと街の発展について相談 | 四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

四十路テナライストのヴァイオリン練習部屋

音楽や楽器とはおよそ縁のないまま四十路を迎えた中年男性がヴァイオリンを習い始めた。
このブログは、彼の練習部屋であり、リスニングルームであり、音楽を学ぶ勉強部屋。
整理の行き届いた部屋ではないが、望めば誰でも出入り自由。
どうぞ遠慮なくお入りください。

 行きつけの工房でヴァイオリン弓の毛替えをしていただいた。先日、ヴィオラ弓を変えていただいたときは、8月の発表会までにヴァイオリン弓も…などと呑気に思っていたのだが、そのあとすぐに、いくら松脂を塗っても弦の上で弓が滑る状態になってしまい、うまく弦がつかめなくなってしまった。こういう時の私の常で、上手く弾けないのはきっと道具の所為だ、と楽器に責任を転嫁。まあ、工房のマイスター曰く、「だいぶ使い込んではりますね」ということだったから、弓毛もわるかったことには違いない。


 さてさて、職人さんの中には気難しい人も多いのだが、この工房のマイスターはとても気さくで、行くといつも楽しくお話をしてくださる。以前は、工房のすぐ近くにおいしい中華料理店があると紹介してもらって、霊感プロジェクトでも何度か行ったことがあるのだが、その店が最近取り壊されて更地になってしまった。周辺の建物も一緒に取り壊されているので、おそらく道路拡幅のためだと思うのだが、それにしても、ただでさえ寂れた街なのにさらに店が減ってしまって、ますます寂れてしまった。

「また、お店が減ってしまいましたね」

マイスターも残念そう。そこで、以前から温めていた構想を打ち明けてみた。


 工房のある建物は、本当なら街でいちばん栄えていてもおかしくない交差点に面した3階建てなのだが、ついこの前までは3階に工房があるだけで、1階も2階も空きテナントだった。最近でこそ1階にバーのような店舗が入ったのだが、あまり繁盛している気配がない。それならば、まずこの建物の1階を楽器店に、2階はレッスンなども受けられるスタジオに、そして3階は工房という、楽器好き・音楽好きには堪らない建物にしようというのだ。

 街には、市電の駅で2つ分のところに立派なオペラホールもある。そういう施設を軸にして、一流音楽家を招聘してオーケストラを作り、あわせて、そのオーケストラの団員からレッスンを受けられるようなスタジオを何か所か作る。レッスンがない時は、個人練習やアマチュアオーケストラの練習場所にして、県外からも音楽好きが集まってくるようにする。ちょっと広い土地があるなら、ショッピングモールなどを作るのではなく、音大を誘致するか、楽器工場を誘致し、街中に、クラシック音楽の流れる喫茶店やジャズの流れるバーを建てて、クラシックファン、ジャズファンなど大人の音楽ファンにとって垂涎の街にする。さっきのオペラホールとは反対方向に市電で3つ分行ったところに、市営競輪場跡地の広大な遊休地があるので、隣町の音楽学科がある女子大を誘致できないかだろうか。

 今日はエイプリルフールなので、これぐらい遠大な構想をまことしやかに話し合っても罪にはならないだろう。 マイスターも結構乗り気になっているみたいだったのだが、最後の女子大誘致のところで、

「ぼくは、あの土地はサッカー場にならないかな、って思っているんですよ」

ということになってしまった。マイスターはどうやらサッカーファンらしく、県内にあるJ2リーグ(J1のさらに下のリーグだそうだ)のチームがいつかJリーグに上がった時に、そこのスタジアムで観戦するのを楽しみにされているらしい。

 う~む。この構想、市民の合意を得るのは難しいのか。