木造防音室に適した防音材製品 | 生活防音と楽器防音室を語る

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木造住宅やマンションなどの生活防音、ピアノ・ヴァイオリンなどの楽器防音室(ピアノ・音楽教室を含む)に関連する記事を投稿します。

日常業務の防音相談で、「木造住宅に適した防音材を探しても見つからない、わからない」と言われます。

まして、楽器の防音室にとって費用対効果や音響も含めて適切な製品を選ぶのは、建築業者でも容易ではありません。

そこで、大手建材メーカーの既製品をそのままボードの上に重ねて施工するわけですが、大半が失敗します。


問題は音響・防音設計がないのに、やみくもに貼り付けるだけの指示をする建築士やコーディネーターが多く、職人の力を生かせないのです。

一方、既製品の防音材は、実験室で小さな試験体を音響測定して、そのデータをもとに防音材の性能を表示しているだけですので、区画の大きな現場の効果とは大きく乖離することも珍しくありません。


要するにメーカーの既製品は現場で音測定して検証されることが殆ど無く、ただそのまま販売されているだけです。これに通販業者がそのまま誇大広告で、売り続けるだけですから、むしろ、防音材メーカーの信頼そのものが低下するだけです。


防音工事は余り効果がないと、一般の人や建築士が誤解し、音響・防音設計の専門業者に対しても、まともな業者は存在しないのではないかと思うわけです。


私が担当する現場では、必要に応じて音測定を実施して分析したり、依頼者に楽器を演奏していただき、音響のチューニングにも参加することがあります。


通常は防音効果ではなく、音響の調整が手間がかかり、防音室ができたら終わりではなく、依頼者にとっては、音響調整のためのインテリア・家具配置、DIYの吸音板づくりなど、手作業が続きます。

この作業が終わって、初めて完了と言えるのです。


防音材や音響調整用の既製品は、実際の現場での検証がメーカーや設計者自身によって行われることがほとんどないという業界の構造的な問題があります。