次から次へと | 何者にもならなかった だけどこうして生きている

今月2月11日の夜のことだった。

その日、ずっと、僕の母と妻が18歳の長女のコートのボタンを

探していた。近くのゾウタ衣料で掘り出し物を見つけてきたが、

すぐにボタンが取れたらしい。で、妻に縫い付けを頼んだんだけど、

そのままリビングの床にボンっと置いてたらしい。で、おばあちゃんが

そのコートとボタンを寝室に持っていった。


僕が仕事から帰ってきたら、おばあちゃんが腰を曲げて、探してる所だった。自分がボタンを無くした・・と随分気にしていた。

そのうち妻が、「お母さん、意外と長女がボタンを持ってるかもしれないので。。あの子、そういうとこあるから・・」もう、いいですから。。と、言ったが、うちの母は捜すのをやめず。。

しかたなく妻も探し始めた。

僕と6歳のチビはテレビを見ていた。


22時すぎに長女がバイトから帰ってきた。

僕とチビはすでに寝室の布団の中で、

僕は爆睡してたようだ。

だから、この後の事はきいた話だ。



長女にボタンが無いことを妻が言った。

「あんた、しらん?持っとんやないと?」

長女は首を横にふり、3日前からメガネも無いと言った。

布団の中で起きていたチビに、長女が聞くと、

知らないという。

リビングにいた時に、妻もボタンの事をチビに聞いていた。そのつどチビは

「しらない」

「しらないって言いようやん」

と、言っていた。

しかし長女はチビを疑っていたようだ。つい最近保育園から無断で

オモチャを持って帰って、しれっとしてた・・だかりなのだから。

疑われてもしかたない。

妻がチビの主張を尊重して、御膳の下に置いてあった彼の宝箱。

その箱をどうやら長女が開けたようだ。

あった。

ボタンも3日前から探してたメガネも。

妻もおばあちゃんもショックだったらしい。なにしろついさっきまで、

チビの目の前でバタバタさがしてたのだ。

妻は、

「チビちゃん、ママ昨日も聞いたよね・・メガネみてない?って。知らない、なんで僕ばっかり聞くの?って言ってたよね。。もうなにを信じていいんだか。。」

長女は激怒して、それでもしらをきる歳の離れた弟を暗い部屋に

連れていった。

「おまえ、ちょっと来い。ドロボーは暗い部屋で独りで寝ろ!」

。。数十分してチビがむせび泣きながら、僕の元へ帰ってきた。

「パパがいい~」過呼吸ぎみで、涙があふれていた。

「ほんとに暗い部屋で寝るかと思った」

「大声出さない人がいる所に行きたい」

「くやしい・・」

「もう死ぬ」

長女が再び戻ってきて、

「パパも怒ってよ!」と言う。

。。しかしここで僕まで怒ってしまったら。

チビは。。まだ6歳の子供なのに。

長女は、

「人が困ってるのを見て、面白い?」

チビが先ほどのゼツボウ的なセリフを繰り返し言うと、

「くやしい、って、御姉ちゃんに泣かされてくやしいんやろ、全然反省しとらんやん。くやしいって。。こっちがくやしいわ」

「保育園じゃなんも出来んくせに。家でわがまま言って、保育園では大人しいっちゃろ。なーんもできんちゃろ」

「死にたい?死ぬとか簡単に言ったらいかんとよ。死ぬってどういう事かわかっていいようと!」

「。。わからんよ。。」と言葉少なげに言うチビ。


18歳が6歳に畳み込むように追いつめる。。確かにキツイけど、兄弟だからこそ、ここまでしていい・・んじゃないかと、思った。冷静に考えれば。

妻は子育てにめっきり自信を無くしたようだ。

児童相談所、ゆうあいセンターに話を聞いてもらおう・・と言っていた。

昨日、スーパーで倒れた事もあって、ほとほと疲れ果てたようだった。