令和の時代になっても、PTOT の就職先は回復期病院が多い傾向にあります。もちろん求人の絶対数が多いのもあります。


地域リハビリ分野で働く意欲はあるけど、周囲の友達が病院希望で、「はじめは病院からがいい」という先輩の意見を聞いて揺らぐこともあるみたいです。


そもそも病院で働きたい場合には、まったく問題はないのですが、「いずれは地域リハをしてみたい」と思っていたら迷ってしまいますよね。

そこで、今回は「はじめは地域よりも病院勤務の方がよい」は本当か?について解説したいと重います。


結論

いずれは地域で活躍したいと考えているなら、思い切って飛び込む方がよい!

~就職先は十分に検討すべき~


1.なぜ、病院勤務を勧める人が多いのか?

「はじめての職場は病院の方がいい」と言われる理由は一体どこにあるのでしょうか?

主な理由は教育体制が整っていることが多いことにあります。

毎年定期的に新人職員を採用している職場には、プリセプター制度がしっかりしています。

例えば、日常業務の流れや書類の作成方法など、細かなことを1~2 年目の先輩が専任の指導者として半年~1 年教えてもらえたりします。また担当ケースへのアプローチ方法の相談にものってくれたり、部門内でのケース検討会を指導してもらい、さらに学会発表までをみっちり指導していることもあります。

こういった教育体制は、病院のケースの多様性、スタッフの人数規模、管理者の熱意などの要因によって実施方法は違いますが、教育体制が充実している職場は病院に多い傾向にあります。

2.地域リハ分野の就職に躊躇する理由は?

介護保険は 2000 年からスタートしました。スタート当初 は一人職場も多く、悩みを共有できなかったり、学ぶ機会が少ない傾向にありました。

医療の片手間に介護施設を経営している法人も多かったので、職員を最低限で配置するだけの施設も…。
新人職員には負担が大きかった時代があったのは事実です。

ひと昔前の印象が、先輩療法士には強く残っているためか、『地域では勉強できない』、『負担が強い』というイメージが払拭されていないと考えられます。

2020 年を超えたあたりから、介護老人保健施設のセラピスト配置数は増加し、私が所属する京都府では、施設平均で 7 名程度のセラピストが働いています。10 名以上の施設も随分多くなりました。

これから徐々に教育体制が整った施設が増えてくると考えられます。


 3.悩んでいる場合、「本当の自分の気持ち」に向き合ってみよう

私は養成校での学習や実習を通して、住み慣れた家での暮らしを支援する地域リハビリの仕事がしたいと思っていました。

同じように考えている方も多いのではないでしょうか?


いづれは地域で働きたいと思っていたら、悩んでしまうのはあたり前です。


悩んでいる場合、どうして就職先に悩んでいるのか、今一度気持ちの棚卸をして、「本当の気持ち」をやさしく見つめることをおすすめします。


『生活を支えたい 』『一緒に家族と暮らす姿を支えたい 』『喜んでいる姿を支え続けたい』 『継続した支援をしてみたい』 など、どんなことをやりたいのか、大切にしたいのか…と心の中を見つめてみてはいかがでしょうか? 


その原石となる気持ちが明らかになれば、ふさわしい分野と職場が探しやすくなると思います。 


4.地域リハの専門性とは? 

病院で働けたら地域でも働けるのでは?という気持ちがどこかにあるかもしれません。


実際私にはありました。


しかし、急性期には急性期の、回復期には回復期の、生活期には生活期の専門性があります。


生活期においては、ICF でいう個人因子と環境因子の評価力と身体機能・活動との適応力が求められます。


心理支援、環境の活用、家族のエンパワメントといった専門性を磨く必要があります。


「いずれは地域へ」と思っている間に、その分野の専門性を磨く時間を削ってしまわないように気を付けてください。


これはどこに勤めるにしても大切なキャリア形成の視点です。


今後ますます療法士数は増加していきますから、スキルは早めに高めていくことをおすすめします。 


5.就職先を選ぶには目利きも必要

就職先を選ぶには、分野も大切ですが、職場風土が最も重要です。


人数が多く症例の多い大病院であっても、離職率が高く中間層がなく、教育体制が不十分なこともあります。逆に少人数施設だけれど、離職率が低く、他部門連携や地域からの評判が高く、教育体制が整った施設もあります。


 必ず施設を見学し、先輩たちが楽しそうに働いているか、接遇は良好か、過度な残業はないか、などを確認してください。


できれば先輩療法士の話を聞かせてもらって下さい。


未来の同僚の話を直接聞くことで、職場の熱意や雰囲気が伝わってくると思います😁


まとめ

新卒の就職先は、「地域よりも病院の方がよい」は本当か?について解説してきました。


結論としては、いずれ地域リハと考えているなら、早めに飛び込んだ方がよいと思います。


どこに就職するにしても、どのような療法士になりたいか、どのような役割を担いたいか、どのような働き方を望んでいるのかを明確にして、ご自身のキャリアを形成していただきたいと思います。


地域リハを考えている方は、ぜひ近くの施設を見学してみることをおすすめします!




令和6年度の報酬改定事項の資料(2024.1.22)を拝見すると、リハビリ関連項目が非常に多い印象です。リハビリ職種への期待が込められた改定と感じています。リハビリテーション科の運営強化が求められているのではないでしょうか?


入所関連項目

認知症短期集中リハビリテーション実施加算の見直し

●認知症を有する入所者の居宅における生活環境に対応したサービス提供を推進する観点から、現行の認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、当該入所者の居宅を訪問し生活環境を把握することを評価する新たな区分を設ける。

●その際、現行の加算区分については、新たな加算区分の取組を促進する観点から、評価の見直しを行う。


<現行>

認知症短期集中リハビリテーション実施加算 240単位/日※1週に3日を限度として算定。算定期間は入所後3月以内。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 240単位/日(新設)

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) 120単位/日(変更


<算定要件>

●認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) (新設)

○ 次に掲げる基準に適合する介護老人保健施設において、1日につき所定単位数を加算する。

(1)理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が適切に配置されている。

(2)入所者数が、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の数に対して適切なものである。

(3)入所者が退所後生活する居宅または施設等を訪問し、生活環境を踏まえたリハビリテーション計画を作成している。

●認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) (現行と同じ)

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)の(1)(2)に該当するものであること。

短期集中リハビリテーション実施加算の見直し

● 短期集中リハビリテーション実施加算について、効果的なリハビリテーションを推進する観点から、以下の取組を評価する新たな区分を設ける。

ア  原則として入所時及び月1回以上ADL等の評価を行った上で、必要に応じてリハビリテーション実施計画を見直していること。

イ  アにおいて評価したADL等のデータについて、LIFEを用いて提出し、必要に応じて提出した情報を活用していること。

● また、現行の加算区分については、新たな加算区分の取組を促進する観点から、評価の見直しを行う。


<現行>

短期集中リハビリテーション実施加算 240単位/日

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 258単位/日(新設)

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) 200単位/日(変更)

※算定期間は入所後3月以内


<算定要件>

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) (新設)

○入所者に対して、医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士が、その入所の日から3月以内の期間に集中的にリハビリを行い、かつ、原則入所時および月1回以上ADL等の評価を行うとともに、評価結果等の情報を厚生労働省に提出し、必要に応じてリハビリ計画を見直している。

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)(現行と同じ)

○入所者に対して、医師等が、その入所の日から3月以内の期間に集中的にリハビリを行っている。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進

● リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養を一体的に推進し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点か ら、介護老人保健施設におけるリハビリテーションマネジメント計画書情報加算、介護医療院における理学療法、 作業療法及び言語聴覚療法並びに介護老人福祉施設における個別機能訓練加算(Ⅱ)について、以下の要件を満たす場合について評価する新たな区分を設ける。

ア 口腔衛生管理加算(Ⅱ)及び栄養マネジメント強化加算を算定していること。

イ リハビリテーション実施計画等の内容について、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の情報を関係職 種の間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFEに提出した情報を活用していること。

ウ 共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画または個別機能訓練計画について必要な見直しを行い、見直しの内容について関係職種に対し共有していること。

<現行>

リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 33単位/月

リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ) 53単位/月 (新設)

リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅱ) 33単位/月

※加算(Ⅰ)、(Ⅱ)は併算定不可


<算定要件>

・入所者ごとのリハビリテーション計画書の内容等の情報を厚生労働省に提出している。必要に応じてリハビリ計画の内容を見直す等、リハビリの実施に当たって、当該情報その他必要な情報を活用している。

・口腔衛生管理加算(Ⅱ)および栄養マネジメント加算を算定している。

・入所者ごとに、医師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員その他の職種の者が、リハビリ計画の内容等の情報その他必要な情報、入所者の口腔の健康状態および入所者の栄養状態に関する情報を相互に共有している。

・共有した情報を踏まえ、必要に応じてリハビリ計画の見直しを行い、内容について、関係職種間で共有している。


介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能の促進

■在宅復帰・在宅療養支援等評価指標及び要件について、介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能を更に推進する観点から、指標の取得状況等も踏まえ、以下の見直しを行う。その際、6 月の経過措置期間を設けることとする。

ア入所前後訪問指導割合に係る指標について、それぞれの区分の基準を引き上げる。

イ退所前後訪問指導割合に係る指標について、それぞれの区分の基準を引き上げる。

ウ支援相談員の配置割合に係る指標について、支援相談員として社会福祉士を配置していることを評価する。

■また、基本報酬について、在宅復帰・在宅療養支援機能に係る指標の見直しを踏まえ、施設類型ごとに適切な水準に見直しを行うこととする。



準備として

認知症短期集中加算の算定に、居宅訪問指導が求められるとともに、入所時訪問指導の割合も5%上昇しました。加算算定者の生活機能向上のために、居宅環境を把握してプランに反映する形ですね。加算目的、施設意義を深める改定になっています。

リハビリ部門としては、支援相談員とのさらなる連携が求められますね。入所予定者と訪問指導実施予定の情報共有を仕組化できるように考えたいですね。



高齢者にかぎらず、苦労話は皆さんよく語ってくれます。


お金に苦労したこと、男女関係、仕事のこと、戦争時のことなどなど…


こうしたお話しを聞かせて頂くのが、私は大好きです。


どのような景色をその時に眺め、どのような感情をもち、どのようにその困難を乗り越えてきたのか?


思い巡らしながら、私自身も感情の追体験をさせて頂くことで、気づきが生まれます。


新たなデータベースにもなって、対応力もあがるかなぁ〜なんて思います。


「人生で大切にしたいことは何か」

それは人によって様々です。

ですが突き詰めると、皆さんおよそ似たような傾向に落ち着いてきます。


ある方は、事業で成功した後に、保証人となり借金を抱えることになりました。しかし、それまでに関わっていた周りの方々から助けてもらったそうです。昔から山登りが趣味だったようです。どういうところが好きかというと、「登山には人の助け合いが必要だし、私自身困っている人を助けたいんです」と語っておられました。過去に沢山の人を助けてきたからこそ、幸せな暮らしを今も送っているのかもしれません。


またある方は、広島で被爆し、何日も何日も線路に沿って東へ歩いていったそうです。身内にも助けてもらえない時もあった一方、見ず知らずの優しい軍人だった方に助けてもらったりして、命を繋いだそうです。

たからこそ今は「やっぱり家族が大事。家族団欒の時が一番嬉しい」と語っていました。


助け合い、家族、役割の遂行、人に喜んでもらう、地域の成長…

日本人特有の価値観みたいなものを感じます。


人それぞれに歴史があり、様々な価値観があり、大切にするものがある。


その中にリハビリテーションゴールがあるのだと考えています。


リハビリで伺う話は、本当に財産だと思います。





2021年度介護保険改定の主軸のひとつである、厚生労働省へのデータ提出。

皆さまの施設におかれましても、ご苦労なされたことと思います。

リハビリテーション関連においては、4月当初猶予期間がなかったため、必死になってリハビリ実施計画の作成をしておりました・・・

記録ソフトの変更などが月末に発生し、泣く泣く再入力なんてこともありました・・・


そういったドタバタを乗り越え、6月には老健・デイケア・訪問リハのデータ入力を完了し、無事すべてのリハビリテーション実施計画書の提出を終えることができました!!


私が所属する京都市内の老健施設において、2021年7月現在のデータ提出進捗状況は以下のとおり。

  1. 取り組み中・・・5割程度
  2. 取り組み開始へむけた調整段階・・・3割程度
  3. 未定・・・2割程度 


記録ソフトによって進捗状況に違いがある印象ですが、電子カルテ導入自体が未定の施設もあるようです。


厚生労働省からの4月フィードバックは、全国数値統計が返信されたのみ。

フィードバック活用には半年はかかるでしょうか・・・


活用に向けての準備は今後必要ですね!



令和3年度の介護報酬改定では、厚生労働省の本気度が際立っていると感じています。

老健リハビリ関係については、特に自立支援と重度化防止に焦点を当てた対応が必要になると考えます。

■自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、訪リハ・通リハのリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)を廃止し、基本報酬の算定要件とする。VISITへデータを提出しフィードバックを受けPDCAサイクルを推進することを評価する取組を老健施設等に拡充する。


ポイントをまとめると、

  • リハビリテーションマネジメントⅠが本体報酬に包括化される
  • これまでのリハマネⅡとⅢを中心に、データ提出(LIFE)の上位加算が新設
  • 従来の入浴加算が減算され、自宅入浴を促す上位加算が新設
  • 生活行為向上加算が算定しやすく見直される
  • 要支援者の長期利用(12か月以上)が減算される
  • すべての加算がデータ提出(LIFE)と紐づく仕組み

科学的介護として、本格的にデータを集積し、フィードバック活用を狙う「LIFE」の仕組み。

今回は、しっかりと利用者評価を行い、データを入力するプロセスに焦点が当たっていますが、次は結果をいかに出すのかが求められます。

重度化予防としての排泄支援や褥瘡予防支援にはアウトカム評価が導入されており、リハビリ関連でのアウトカムも想定内にしなければなりませんね。


リハマネⅠが包括されることで、これからのリハビリ運営に悩むリハビリ職が多いと思います。当施設でも大半がリハマネⅠ、15%程度がリハマネⅢでした。

いかに上位加算となるリハマネAとBを算定するか?という議論も大切ですが、地域で当施設がどのような役割をはたしていきたいのか?を本気で議論し設定しなければならない時期だと思います。

そのうえで、リハビリ職の働き方や加算算定のしくみづくりをしないと、次の改定には対応できないだろうと、これまで以上に緊張感を感じています。


全職員がLIFEの意味を理解し、活用できるようになることが、令和3年度の目標になりそうです。

セラピストは個別リハビリによらずマネジメントを主力とし、通所リハという仕組み全体を活用して生活能力を向上していく方法とは?

頭フル回転で、この命題にとりくんでいきます!