皆さん、おはようございます。

 

 

 

 

それでは、前回の続きです。

 

しかし、連合国がバルジ作戦に対するドイツの準備を把握していなかったことは明らかである。どちらの場合も、連合国が見たもの、あるいは見なかったものは、敵の能力や意図に関する先入観と衝突した。

連合国はドイツ軍が祖国防衛以上のことは行わないと予想していたため、ドイツ軍が攻勢に出るとは予想していなかった。ましてやドイツ軍が仕掛けたような大胆な攻勢など予想していなかった。また連合国はドイツ軍がアントワープに向かって進軍してくるとも思っていなかった。

同様にロシアも、ウクライナ軍の規模と戦闘能力を削減する計画を着実に進めていた。ドネツクでの着実な前進は、ゆっくりではあったが、ウクライナの抵抗を挫き始めていた ― 少なくともロシアはそう信じていた。彼らの考えは半分正しく、半分間違っていた。

ロシアがウクライナ軍から莫大な費用を搾り取っているという点は正しかった。それと並行して、ロシアは電力を含むウクライナの重要なインフラを破壊し、ウクライナの指導者と国民に政治的なメッセージを送っていた。

しかしロシアは、ウクライナにはまだ特殊作戦に使える最強の旅団がいくつかあることを見逃していた。ウクライナは、チャソフ・ヤールやニウ・ヨークで彼らが虐殺されるのを見るよりも、クルスクでそれらを使うことを選んだのだ。

(ロシアの重大な過ちは、ウクライナのエリート旅団の破壊に重点を置かなかったことだ。その代わりに、ロシアは領土獲得に固執し、どの部隊がどこで戦うかの決定をウクライナに任せてしまった。)

クルスク攻勢は、バルジの戦いで集結した軍隊と比べると、かなり小規模だ。クルスク攻勢の開始時にウクライナ軍はおそらく1,000人の兵士と、適度な装甲兵と砲兵を投入した。ウクライナはまた、移動式パトリオット砲台、電子戦資産、多数のドローンを含む防空装置も使用した。

同様に、ロシア側には、装甲を持たず、近代的な対戦車兵器を持たない地域部隊しかなかった。本稿執筆時点で、ロシアはチェチェン人とワグネリ派(現在はロシア正規軍の一部)を招集している。ウクライナの他の場所で戦っている部隊ではなく、予備軍から引き抜かれた、より大規模な部隊がクルスクに向かっているという報告もある。

8月11日現在、侵攻の大部分は「安定化」しており、これは大部分においてウクライナの攻撃がうまく阻止されていることを意味する。

クルスクの現在の戦闘状況はバルジとは似ても似つかない。ナチスの目的は、米英軍を粉砕し、分断し、海へと追いやることだった。ウクライナの目的は、ロシア領土をできるだけ長く保持することだ。どちらの場合も目的は交渉だったが、ナチスは連合国を倒すことを望んでいたが、ウクライナはロシアに対してそのような希望を持っていない。

ウクライナがクルスク攻撃に耐えられるかどうかはまだ分からない。ウクライナがさらに戦力を投入すれば、戦闘の第一段階で享受した優位性は失われるだろう。したがって、ウクライナの賭けはまさにそれであり、戦略的かつ政治的なリスクを伴う。その意味で、バルジの戦いとクルスクの戦いには共通のテーマがある。