篠沢秀夫教授の感動秘話 ~人間力を高める書籍ガイド~ | 致知出版社公式アメーバブログ

 

 

 

 

 

 

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 「昨日の敵は今日の友」


 篠沢秀夫(学習院大学名誉教授)


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中学からフランス研究を志した私は、
大学と大学院を通じてフランス文学を学び、
仏政府給費留学試験を受けて
パリ大学への留学が決まりました。


大学院修了後すぐに結婚した妻の宏子とともに、
新婚旅行のように訪れた初めてのフランス。


二十代の後半を過ごしたパリでの生活はしかし、
振り返るのも辛いものとなったのです。


昭和三十七年の夏、休暇を利用して
ローマに行く旅路でのことでした。


ブルゴーニュ地方の入り口、
サンスの町を抜けたところで、
私の運転していた車が事故を起こしたのです。



同乗していた妻は即死でした。



事故の原因については語ることができません。



ショックによる逆行性健忘症というらしく、
現場の遥か手前を走っている記憶しかないのです。


私は腸が破裂して開腹手術を受け、
一か月の入院の後、ただちに留学生活を打ち切って
日本に帰国しました。


事故の衝撃はあまりにも大きく、
数年間はこのことについて
話題にすることすらできませんでした。



帰国して三年後に結婚したのが、
いまの妻の礼子です。


礼子は私のことを
「辛い目に遭ったのに、朗らかで偉いと思った」
と言い、宏子との間に生まれた
四歳の息子の玄を引き取って育ててくれました。


礼子と結婚してからの十年間は、
新妻を愛し、玄を護り、二人の息子をもうけ、
自分の生活の土台を築くことに中心がありました。


それが宏子の死を乗り越えることになったのです。



玄はすらりとした美しい少年に育ちました。


昭和五十年、十五歳の誕生日を十月に控えた玄は、
バスケットボール部の合宿で九十九里浜に向かいました。


八月の海は波が高いと思い、出立前に
「海には入るなよ」と注意しました。


それが最後の別れとなるとは想像もせずに。


「ちょっとだけ」と先生にせがんで海に入った
生徒たち全員が高波にのまれ、
玄だけ行方不明となってしまった──。


その報せを受けて現場に駆けつけると、
土地の人が火のついた線香の束を
砂浜に何本も立てていました。


「お父さん、どうぞ」


と差し出された一本を
受け取ることはできませんでした。


まだ希望を失いたくなかったのです。



数日待機した後、玄の遺体はやっと九十九里浜の
波打ち際に上がりました。


波音の響く古寺で夜を明かし、
玄の棺桶の蓋の上で死亡証明書に記入しながら、
あたかも戦争の前線にいるような気が
してなりませんでした。


戦場においては、戦死者数を調べ、
生存者数を確認し、前進すると聞きます。


「人生は戦いだ」との凄まじいまでの実感が
押し寄せました。


玄の死について、十年間は個人的な場でも
触れることができませんでした。


それが、自分が六十を越える頃からは、
語ることが供養と感じられるようになりました。



「昨日の敵は今日の友」。


それまで戦ってきた悲しみを、
友とできるようになったのです。




ご紹介したのは、
『1日1話、読めば心が熱くなる 365人の生き方の教科書』の
3月1日に掲載されているお話です。


 

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~『致知』最新刊2023年4月号「 人生の四季をどう生きるか

 

【「人生の四季をどう生きるか」】

■対談
「一道に生き、我が情熱は衰えず」

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■トップインタビュー
「華道一筋、師の心を求め続けた
我が90年の人生」

池坊専永(華道家元四十五世)

■エッセイ
「人生の旅立ちに立ち会って」

石飛幸三
(特別養護老人ホーム芦花ホーム医師)


■エッセイ
「無私奉公の人 鮎川義介の生き方に学ぶ」

鮎川雅子(日産グローバル社長)

■インタビュー
「心に寄り添う葬祭業を目指して」

辻正司(セレモアホールディングス社長)

■インタビュー
「不遇の時代の過ごし方が
その後の人生を決める」

井手口孝
(福岡第一高等学校
男子バスケットボール部監督)


■インタビュー
「薬膳に棄物なし 料理人に完成なし」

追立久夫
(薬膳料亭「凜 追立」オーナーシェフ)


■対談
「人生の苦難が教えてくれたこと」

鈴木中人(いのちをバトンタッチする会代表)

腰塚勇人(『命の授業』講演家)


■対談
「人生百年時代をどう生きるか」

五木寛之(作家)

境野勝悟(東洋思想家)


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 365人の生き方の教科書』

 

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「逆算式目標設定術」
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「決勝戦直前の姉のひと言」
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「一流プレーヤーに共通したもの」
 岡本綾子(プロゴルファー)

「ジャニー喜多川さんの褒め方・叱り方」
 村上信五(関ジャニ∞)

「人は負けるとわかっていても」
 佐藤愛子(作家)

「世界に挑戦する上で影響を受けた人」
 宇津木麗華(女子ソフトボール日本代表監督)

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 デザイナー・佐藤可士和

「嫌いな上司を好きになる方法」
 救命医療のエキスパート・林成之

「準備、実行、後始末」
 20年間無敗の雀鬼・桜井章一

「公私混同が組織を強くする」
 神戸製鋼ゼネラルマネージャー・平尾誠二

「一番よい会社の条件」
 ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正

「仕事にも人生にも締切がある」
 料理の鉄人・道場六三郎

「脳みそがちぎれるほど考えろ」
 日本ソフトバンク社長・孫正義

「奇跡を起こす方程式」
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「10、10、10(テン・テン・テン)の法則」
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「負けて泣いているだけでは強くならない」
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