積極的に障がい者を雇用し、誰もがいきいき働ける社風、組織づくりに取り組んでいるLORANS.代表の福寿満希さん。LORANS.では約60名のスタッフのうち、実に半数以上が障がい者です。環境さえ整えれば、誰もが持てる才能を発揮していける――そう語る福寿さんが行っている、組織づくりの工夫についてお聞きしました。
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■あなたが大事な存在であると伝える
――福寿さんが代表を務めるLORANS.は、スタッフの半数以上が障がい者の方だと伺いました。
〈福寿〉
当社はギフトフラワーおよびブライダルフラワーの企画・制作・販売やグリーン装飾・植栽管理事業を中心に、現在、東京の千駄ヶ谷や天王洲アイルの店舗、原宿のアトリエなど5つの拠点で活動しています。
障がい者雇用に本格的に取り組み始めたのは四年ほど前ですが、60名のスタッフのうち45名は精神疾患や難病といった何かしらの障がいと向き合いながら働いているんです。
カフェを併設したこの千駄ヶ谷の店舗でも、いま10名ほどが働いていますが、障害者手帳を持っていないのは私を含めて3名だけですね。ただ、基本的に障がい当事者が働いていることは前面には出さず、本人たちも自然に働ける環境づくりを心掛けています。
――確かに、レジやカフェの接客などを見ても、障がい者の方だとは分からないくらい自然です。
〈福寿〉
ですから、テレビ局や雑誌社の方が取材で一日中張りついても、いわゆる絵になる現場は撮れないと言われます。こちらが申し訳ない気持ちになるくらい(笑)。
――障がい者の方が自然に、いきいき働くために特に工夫していることがあれば教えてください。
〈福寿〉
一緒に働くのがもう日常になっていますので、特に意識はしていないんですけど、ラグビーの「One for All, All for One(一人は皆のため、皆は一つの目的のため)」という言葉のように協力し、5人くらいの小さなチームをつくって仕事に取り組んでいます。
例えば、高度な技術を持つ、または社会経験を積んだベテラン社員が責任者になって、他の4人のスタッフの業務の調整や体調管理を行い、一つのチームとして仕事をしていく。そうすることで、一人ひとりのスタッフに目が行き届きますし、何より一人ひとりの役割がとても重要になります。
やっぱり常に自分の働く居場所・役割がある、自分がいなければチームが回っていかないという環境があると、障がいの有無に拘らずチームのために頑張ろう、迷惑をかけないよう簡単には休まないぞという気持ちになるようです。
――一人ひとりが明確な役割を担い、協力し合いながら働くと。
〈福寿〉
これはあくまで当社のケースですが、実際、精神的な課題を抱えるスタッフが体調を崩した時、気を遣って「ゆっくり休んでください」「こっちでやっておくから心配しないで」という感じで対応したら、逆にそこからガタガタっと休むようになってしまったケースがありました。
一人ひとりのスタッフの存在がどれだけ大事であるかをしっかり伝え、同時にどう工夫すればその人が安心して働き続けられるのかを話し合い環境を整える。この試行錯誤、地道な積み重ねがいまに繋がっているのだと思います。
(本記事は月刊『致知』2021年6月号 連載「第一線で活躍する女性」より一部抜粋・編集したものです)
◇福寿満希(ふくじゅ・みづき)
平成元年石川県生まれ。順天堂大学卒業後、社会貢献活動の企画運営経験を経て、25年にLORANS.を起業。結婚式などのイベント向けのフラワーデザインやホテルロビーの装飾を行いながら、障がい者雇用にも積極的に取り組んでいる。
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