宮崎駿監督が何度も読む愛読書 | 致知出版社公式アメーバブログ

数年前になりますが、

アニメーション監督の宮崎駿さんが
先日、「漱石と日本、そして子どもたちへ」という
新宿区立漱石山房記念館開館記念イベントに登壇し、
漱石作品について、次のように語られました。


「(夏目漱石の)『草枕』は
 もう何回読んだか分からないくらい。
 飛行機に乗る時はいつも持っていきます。

『こころ』とか、つらくてダメなんです。
『それから』もドキドキして耐えられない」


今年1月に弊社から刊行した
『楽しみながら1分で脳を鍛える速音読』
(齋藤孝・著)には、宮崎駿監督が挙げられた
『草枕』『それから』『こころ』の3作品の
冒頭やクライマックスがいずれも収録されています。

宮崎監督が「何回読んだか分からないくらい」と
言われる愛読書『草枕』。

冒頭の書き出しが特に有名な作品です。

1分で読み切れるかどうか、
ぜひ挑戦してみてください。


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あなたは1分で読めますか?

  『草枕』 夏目漱石

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山路を登りながら、こう考えた。

智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。

住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生れて、画が出来る。

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。
ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、
越す国はあるまい。

あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

越す事のならぬ世が住みにくければ、
住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろ)げて、
束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。

ここに詩人という天職が出来て、
ここに画家という使命が降(くだ)る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、
人の心を豊かにするが故に尊い。

住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、
ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、
画である。あるは音楽と彫刻である。
こまかに云えば写さないでもよい。

ただまのあたりに見れば、
そこに詩も生き、歌も湧く。


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あなたの脳を鍛え、
教養を高める名作文学テキスト55


『楽しみながら
 1分で脳を鍛える速音読』

      齋藤孝・著
 

 

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一冊の本が人生を変えることがある
  その本に巡り合えた人は幸せである

 

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★人間学を学ぶ月刊誌『致知(ちち)』ってどんな雑誌?

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