ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ【映画レビュー】 | おたるつ

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モノホンのおたくにジャンルは関係ねえはずだ!
ってわけで、おたくのるつぼ。略しておたるつ

映画館で爆笑した帰り道、余韻に浸りながらふと思った。
この映画の進め方って乙女ゲームに似ているなって。

以前、乙女ゲームのシナリオ書きの仕事をさせてもらっていたとき、
「主人公は受け身にして、自分で決めない」と言われたんだっけ。
キス我慢だからできる、物語の進行と構造について考えました。


【ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ】

監督:佐久間宣行、脚本:森ハヤシ/佐久間宣行、音楽:岩崎太整
2014年 日本 117分
出演:
川島省吾(劇団ひとり)、福士誠治、中尾明慶、柄本時生
安井順平、上原亜衣、小島みなみ、白石茉莉奈、入江雅人、戸次重幸
近藤芳正、伊藤英明

◆ストーリー◆
何者かにコントロールされた世界の高校を舞台に、能力者たちの戦いを描く。
並外れた破壊力を持つ亜衣は、その能力によって笑顔を失っていたが
川島との出会いによって、次第に心を開いていく。
しかし、仮面の男との戦いで追い詰められた川島は長い眠りにつき、
再び目覚めた時、洗脳された亜衣は独裁者の武器となっていた。
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テレビ東京の深夜番組「ゴッドタン」の企画であるキス我慢選手権の映画第2弾。
劇団ひとりがセクシー美女からのキスの誘惑を我慢しながら24時間過ごすというものだが、
何も知らされていない物語の中を完全アドリブでやり抜けるところがウケている。

劇団ひとりは、劇中の人物が発する言葉の端々から設定や脚本の進行方向を探っていく。
なので、通常は時系列が1本でないとなかなか成立しない構造になっているんだけど、
今回は冒頭いきなりクライマックス。
爆破などもふんだんに使い、完全にビビる劇団ひとりがおもしろい。
芝居の流れに乗って、始まったばかりなのに死ぬしかない劇団ひとり。
しょうがないので一旦死に、ここで時間軸を遡って「今のは夢でした」と持っていく。


その後もう1箇所、時系列が編集されるところがあるけど
キス我慢選手権の構造でまさか時間の編集があるなんて、この時点で結構驚きでした。

今回は特に、この世界は作られた世界という複雑な設定が組んである。
かなり綿密に世界観や設定を作りみ、あらゆるパターンに対応しながらも
狙った地点に着地できるように準備してあるんだろう。

次々に展開していく状況を千本ノックのように劇団ひとりがアドリブで返していく。
その言葉そのものにも、あるある感や表情に笑いがこみ上げてくるのだが、
よくよく考えると、その行動やセリフそのもので物語が前に進むことはない。
もちろん、劇団ひとりはこの物語の脚本を知らないので探り探りではあるんだけど
私はそれがまるで、乙女ゲームのようだなあと思った。


乙女ゲームは、いろんな男の子のカッコイイ行動や言葉に
主人公の女の子がリアクションしていって好感度をあげていく。
主人公巻き込まれ型の物語と似ているけれど、主人公が受け身で
意思決定をしないところが似ている。

本作も、物語そのものを進めているのは周りの登場人物なのに気づくと
視点が1つ増えておもしろい。
それは乙女ゲームとの違いでもあるのだけれど、劇団ひとりがいつどこで
意思決定をするか、つまりキスをするということがそのまま物語の終着点になる。

それはまるで、劇団ひとりを使って物語を把握し、攻略していくゲームの
プレイヤーのような気分も味わえる。
しかし、劇団ひとりの意思決定のタイミングは見ている側も測りきれない。
映画とゲーム、両方の特性が味わえる、これはなかなか映画ではない感覚かも。

ストーリーをどう進めるか、主人公は何を考え、どこで変化し、何をするのか。
気づくと物語論みたいなことまで考えていました。
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さてさて、本編そのものはどうだったのかと言うと、もう絶対大爆笑できるので
安心して見に行ってくだされ。

ちなみに私が一番爆笑したのが、マキタスポーツさんを巻き込んで
その場で創りだした歌を探り探り歌い出したシーンです。
やられてばっかりでなく、すきあらばブッこんで来るので油断できません。笑える。

相変わらず、どこからでも顔が明るくなおかつ画面に不自然さを一切与えない照明、
何台どこでスタンバってるのかわからないけど、
どんな展開もベストショットを逃さない撮影陣、その膨大な映像を見事につないで、
岩崎太整さんのナイスな音で彩った編集も素晴らしい。

どうしても笑える部分よりも構造のおもしろさとか、製作の職人技に目が奪われてしまう。
カメラマンは一体どんな気持ちでカメラを構えているんでしょう。

神がかっているといってもいいようなショットを収めている時、
興奮に震えたりするんでしょうか?
逆に逃した~っていうことも多々あると思うんですよね。
他のカメラ、押さえててくれてるかなってドキドキしたりするんでしょうか?
そんな緊張感や快感が映像から伝わってくるように思います。
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あと何か苦言というか、ここ微妙だったなというのをいくつかあげるとすれば、
今回は「いつキスするんだろ~」はあったけど「誰とキスするんだろ~」がなかったですね。
物語に深く関わっているのが亜衣しかいないので。
(結局、最後の最後でものすごいブッコミが出てきて予想外のキスがあったけど)

前作の映画で良かったなあと思ったのが、窪田正孝くん。
頭のおかしい役で出ていて、ああ、こういう役すごい似合う! 輝いてる! 
というのが印象深かった。

けれど、今回は中尾明慶くんや柄本時生くんが出ているのに、意外性がなかった。
中尾明慶こうゆう役者だよね、柄本時生こうゆう役似合うよねって感じ。

特殊な環境での演技が見られる絶好のチャンスなので、
若くて才能のある俳優さんの新しい一面を引き出すような配役と脚本を期待したい。
伊藤英明は明らかに「悪の教典」を意識してあって、なぞることで面白みが出てたけど。


壮大なバラエティが楽しめる、というのがキス我慢選手権ムービーの推しどころ。
けども、そこからいろいろなエンターテイメントの構造が見えてくる。
そんな楽しみ方がありましたとさ。

1作目の感想はこちら。
ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE【映画レビュー】


■2014 RECORD■ 
ライブ……34  舞台……19  映画……36 LV……3 その他……1

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