今回紹介する記事は
2024年4月10日付けの
 
「毎日新聞」の記事です。
  
【元「米国の象徴」の威光】


というタイトルで、
専門記者赤間清広氏が、
経済合理性だけでは割り切れない国民感情が確かにあることについて、
紹介しています。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

新聞記事の紹介について

(発信者が重視するテーマに関してはこちらをご覧ください)

始めに読んでほしいブログについて


(1)内容の要約

 どの国にも、
一つの時代を築いた「国民的企業」がある。

米国でいえば、
USスチールがそれに当たるだろう。

 その歴史は20世紀の米国における成長の軌跡そのものと言っていい

 源流企業の「カーネギー・スチール」の所有していたのは、
「鉄鋼王」と呼ばれるアンドリュー・カーネギー。

慈善活動にも熱心で、
ニューヨークのミュージックホール改築にも多額の資金を拠出している。

それが音楽の殿堂として知られる「カーネギーホール」だ。

 この米国を代表する鉄鋼会社に買収を仕掛けた一人が、
「金融王」としてウォール街に君臨していた銀行家、
J・P・モルガン。

 ライバルだったフェデラル・スチールと統合し、
1901年に誕生したのがUSスチールだ。

 前代未聞の巨大合併劇だったようだ。

時価総額は当時の米国における国家予算の2倍。

国内の鉄鋼業界を完全に支配した。

 米国が世界最大の工業国へと速足で駆け上がっていた時代だ。

 ビック3の自動車、
橋やダムなどのインフラ…。

エンパイアステートビルに代表される摩天楼の高層ビル群を含め、
鉄鋼は引く手あまただった。

 2度の世界大戦で米国が他国を物量で圧倒できた背景にも、
確実に同社の存在があった。

 だが、
右肩上がりの成長を永遠に続けることはできない。

 戦後は日本など海外勢の攻勢にさらされ、
向上の大量平和を余儀なくされた。

 2022年の粗鋼生産量は世界27位。

栄華を誇った巨大企業の面影は既になく、
経営陣は身売り先を探していた。

 その買収に名乗りを上げたのが日本製鉄である。

判断自体に間違いはない。

 ただ、
日鉄が読み切れなかったとすれば、
セピア色の時代を懐かしむ米国人のプライドだろう。

 現地ではいま、
「USスチールを外国企業の手に渡すな」
という大合唱が起きている。

 折しも今年は4年に1度の大統領選強の都市である。

USスチールの買収話は国内の「愛国心」をあおる燃料と化している。

 訪米した岸田文雄は、
バイデン大統領と会談する。

USスチールも話題になるかもしれない。

 だが、
バイデン氏もまた愛国心を利用する一人である。

状況の打開は期待できない。

 経済合理性だけでは割り切れない国民感情が確かにある。

人が営む経済の難しさだ。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

USスチールの歴史と日本製鉄の買収について、
紹介した記事のため。


(3)自分はどう思うか?

USスチールの歴史は、
この記事で知った。

カーネギーホールやJPモルガンは聞いたことがあるものの、
USスチールとここまで関りがあったとは…。

そして、
日本製鉄が買収に名乗りを上げる。

数年前、
外部セミナーにおいて、
しばしば日鉄から参加者がいたことを思い出す。

セピア色の時代を懐かしむプライドは、
米国にもある。

経済合理性だけでは割り切れない国民感情は、
世界共通だと感じる。

経済記事であっても十分楽しめるのが、
赤間清広氏のコラムの特徴である。


(4)今後、どうするか?    

・赤間清広氏に関する記事をスクラップする。

・USスチールの歴史に関心を持つ。

・セピア色の時代を懐かしむ誇りや合理性だけでは割り切れない感情を大切にする。


…今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。
  

赤間清広氏に関する記事は、
以前も紹介しました。

あの米国であっても、
栄華を誇った面影がないUSスチールを大事にする国民感情は、
世界万国に共通することだと思ってなりません。


皆さんも、
栄華を誇った面影がない組織に、
関心を持ってみて下さい。

経済合理性だけでは割り切れない国民感情が、
今なお息づいているかもしれないのですから。