今回紹介する記事は
2023年5月30日付けの
 
「北海道新聞」の記事です。
  
【地域主権主義 新自由主義と格差に決別】


というタイトルで、
東京工業大教授中島岳志氏が、
衆参補選において立憲民主党が惨敗する中、
新しいリベラルの政治潮流がボトムアップで拡大していることについて、
紹介しています。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

  ☆新聞記事の紹介について

(発信者が重視するテーマに関してはこちらをご覧ください)

始めに読んでほしいブログについて


(1)内容の要約

 4月に行われた統一地方選挙では、
新しい女性の当選者増加が注目された。

東京都杉並区をはじめ、
兵庫県宝塚市なでで議会構成員の半数以上が女性になった。

今回の選挙における画期的な特徴といえよう。

 女性候補者の当選に注目が集まるものの、
重要なのは「女性」であるという属性以上に、
彼女たちが訴えた政策にある。

特徴的だったのは、
環境問題への取り組み、
ジェンダー清濁だった。

「票にならない」と言われてきたが、
今回の結果をみると、
訴えが確実に票につながっている。

いまいったい何が起きているのか。

 この流れの発端は、
昨年の杉並区長選挙がある。

政治経験のない岸本聡子氏が挑み、
187票差で勝利をおさめた。

訴えたのは、
気候変動への抜本的な対策や、
行き過ぎた民営化への反対だった。

 当選後、
出版した

『地域主権という希望-欧州から杉並へ、

恐れぬ自治体の挑戦』では、
政策への支持は、
世界的なミュニシュパリズムの潮流に位置づけられる。

 ミュニシパリズムとは、
住民の主体的参加に基づく自治的民主主義のことで、
一般には「地域主権主義」と訳される。

近年、
世界中で公共サービスの民営化・市場化が進んだが、
もう一度、
公営化しようとする傾向が強く、
公的受託の拡大などに力を入れる。

ヨーロッパではバルセロナやナポリ、
グルノーブルなどで展開され、
「コモンズ」と言われる公共財や自治的制度が見直されている。

 ミュニシパリズムが共有するのは、
新自由主義への異議申し立てである。

行き過ぎた格差社会を生み出した新自由主義から決別し、
自治体レベルの選挙で議席を奪取することで、
具体的に政治を動かそうとする。

 ヨーロッパの自治体では、
独自の環境政策がすすめられている。

地元産の再生可能エネルギーを推進する。

国家は、
なかなか新しい環境政策へと転換することができない。

対して、
自治体は小規模ながら、
具体的な「別の道」を実現することができる。

この同時多発的なネットワークの集積をミュニシパリズムの魅力ととらえている。

 ミュニシパリズムは、
旧来の左派政党への批判を含んでいる。

多くはトップダウンの決定システムを採用し、
組織の論理が幅を利かせる。

どうしてもパターナル(父権的)な体質が目立ち、
ボトムアップの決定システムを取ることができない。

選挙でも、
組織を通じた「動員」が重視され、
一般有権者と候補者の対話が生まれにくい。

 対して、
杉並区長選挙で採用した戦術は、
「対話型の街宣」だった。

彼女は聴衆にマイクを回し、
出された質問や提言に答えるというスタイルをとった。

そこでよい情報が入ると、
すぐに政策集の中に加え、
ビジョンを更新していった。

 今回の統一地方選でも、
立候補に共感し、
本人がいなくても一人で駅前に立つ「ひとり街宣」の連鎖が、
杉並区議会議員選挙を象徴する光景として脚光を浴びた。

 衆議院・参議院議員の補欠選挙で、
野党第一党の立憲民主党が惨敗する中、
新しいリベラルの政治潮流がボトムアップで拡大してきている。

世界的なミニシュパリズムとの連動に注目したい。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

新自由主義と格差に決別するミニシュパリズムに関して、
紹介した記事のため。


(3)自分はどう思うか?

立憲民主党執行部の凋落が止まらない。

汚染水放出を支持する言動をとる党首を筆頭に、
執行部の面々が繰り出す一手がことごとく党支持者の反感を買っている。

次の国政選挙において、
仮に惨敗になったとしても、
ふざけた対応していたからだろう…と冷酷な審判が下されるだろう。

さて、
ミニシュパリズムという言葉は初めて聞いたかもしれない。

されど中身をみると、
水道民営化における再公営化の話、
新自由主義に対する意義申し立て、
小規模ながら具体的な「別の道」ということは、
数年前から集会などで耳にした話である。

国政において明らかに悪しき変化が日々行われている中、
東京都杉並区という地方から少しずつ良い変化は起きている。

地道に愚直にコツコツ進める努力を支持したい。


(4)今後、どうするか?    

・中島岳志氏に関する記事をスクラップする。

・ミュニシパリズムに関して調べる。

・地域主権主義に関心を持つ。


…今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。
  

ミュニシパリズムがこの国に浸透するには、
コツコツ地道に続けることが必要であります。


皆さんも、
東京都杉並区を筆頭に、
民営化から再公営化の道に関心を持ちましょう。

世界の潮流に逆らって民営化だけを考える新自由主義が蔓延る日本において、
ミュニシパリズム(地域主権主義)が躍動し始めたのですから。