今回紹介する記事は
2021年7月27日付けの
     
「毎日新聞」の記事です。
      
【「重力」にあらがうには】

 



というタイトルで、
専門記者大治朋子氏が、
「多様性」を強調した日本こそ、
必要であることについて、
紹介しております。

いつもどおり、
「4つ」の視点でこの記事を見ていきます。
 
(4つの視点についてはこちらをご覧ください)

 ☆新聞記事の紹介について

(発信者が重視するテーマに関してはこちらをご覧ください)

始めに読んでほしいブログについて


(1)内容の要約

 長すぎる-。

 東京オリンピックの開会式でスピーチした、
五輪組織委の橋本聖子と、
国際オリンピック委員会のバッハ。

開催にこだわったのは正解だった、
と延々と繰り返すような演説にうんざりした。

 だが、
開会式を見て安堵した人も少なくないだろう。

 行動経済学の研究によると、
人は現状を変更することで生じる損失や後悔をやたらと大きく見積もり、
「現状維持」
に走って判断を誤りがちだという。

損失や後悔を避けたい、
という心理が働くのだ。

となると、
「開催ありき」
の思考に捕らわれていたのは、
私たち市民の中にも、
「中止は失うものが多すぎる」
という決めつけが少なからずあったのではないだろうか。

 開会式に向けでの準備でも、
損失回避の心理は垣間見えた。

楽曲担当の小山田圭吾が、
障害者の同級生をいじめ、
自慢げに雑誌で語っていた問題。

組織委は、
直前なので続投させようとした。

 国内外からの反発が大きく、
最終的には辞任したが、
近視眼的な損失回避の心理から、
あらゆる差別を認めないという、
五輪の理念そのものを傷つけかねなかった。

 ノーベル経済学賞受賞のプリストン大学名誉教授、
ダニエル・カーネマン氏は、
著書「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」において、
「損失回避は現状の変更を最小限にとどめようとする強い保守的な傾向であり、
組織にも個人にも見受けられる」
と指摘する。

良くも悪くも、
私たちを現状にとどめ置く
「重力のような存在」
だと述べている。

 人間なら誰しも引っ張られてしまうという、
現状維持&損失回避の重力。

重力にあらがい適切な判断をするには、
さまざまな意見、
経験を持つ人が意思決定にかかわる必要がある。

 特に均質性の高い日本は、
多様性を欠きやすい。

重要性を訴える組織でさえ、
いまだに
「年配の男性エリート」
が目立つと米ワシントン・ポスト紙に指摘されるのが、
現状だ。

 開会式で「多様性」を強調した日本。

必要なのは、
まず日本自身だろう。


(2)なぜこの記事を切り抜いたか    

損失回避の行動経済学に関して、
紹介した記事のため。


(3)自分はどう思うか?
 
この記事は約3カ月前のものである。

「実現できてよかった。

中止していたら、
すでに費やした時間もカネもすべて無駄になるところだった」

東京インパールシロアリンピック強行開催に、
賛成する者大多数が、
似たようなことを口にするだろう。

では中止していたら、
本当に無駄になったのだろうか。

感染はもっと抑えられて、
落とす必要がなかった命を落とした人を救えたのではないか。

行動経済学の研究、
損失回避は現状維持に走るということに関して、
義務教育期間のうちに、
教えるべきではないかと思う。

さすれば、
次の世代を担う者達が、
同じ過ちを繰り返さないだろうからである。

「あぁ大人たちは、
このメカニズムを学ばないから、
国をここまで崩壊させる悪手をこうも打ち続けるたのか」

均質性の高い国で、
「多様性」を声高に叫んでも、
訴える組織を構成する人間が、
「年配の男性エリート(老害)」である限り、
海外から滑稽に見られているのだろう。

次の世代に、
行動経済学の研究を引き継ぐ努力を望んでやまない。

今月末の衆院選、
これも一つの歴史である。

次の世代のためにも、
投票の権利を行使いただきたい。


(4)今後、どうするか?

・大治朋子氏の記事をスクラップする。

・行動経済学に関して関心を持つ。

・現状維持のメカニズムを認識しながらも一手を打てるよう努める。


今回も自分の勉強がてら、
まとめてみました。

大治朋子氏の記事は、
以前紹介しました。

「現状維持」は当たり前のことをしていて、
できること。

何もしなければ「堕落」しかない。

上にいきたければ、
「勉強しろ!」

学生時代、
教師から何度も聞かされた言葉、
二十年経って身に染みる日々です。


皆さんも、
損失や後悔を避けたいという心理は、
行動経済学の研究という、
科学的根拠があることに関心を持って下さい。