雑穀つぶつぶ食で体を変える
おいしいから健康

 

 

 

 

*本記事は、2002年発行『雑穀つぶつぶ食で体を変えるーおいしいから健康ー』(講談社+α新書)よりお届けします。

 

 

 

まえがき

 

雑穀は、私が物心ついた頃には、ほとんどの人々の意識からも、食卓からも、すでにあとかたもなく消えてしまっていました。あるきっかけで、それが、ほんのここ数十年の間の出来事だったことを知ったときは本当に驚きました。そして、細々とつくり続けられていた雑穀をおそるおそる口にしたときの驚きは、それ以上でした。

 

色とりどりの雑穀の粒のキュートな美しさ、ふんわり口の中に広がるふくよかなおいしさは、コクがあってエネルギーに満ちたものでした。「なぜ日本人は、こんなにおいしくてきれいなごはんを食べるのをやめてしまったのか」という強い疑問がわき上がると同時に、「この謎が解けたら、たった数十年で伝統の食文化をすっかり失い、体も心も病んでいる現代の暮らしを立てなおすことができるのではないか」と、明るい未来への微かな予感を感じました。

 

 

雑穀をメインモチーフに、料理の創作を思いっきり楽しむ毎日がはじまりました。

雑穀を食卓に呼び戻すことで、私も、私の家族も、友人たちも、どんどん元気になっていきました。そして、私と食べ物の関係は一変しました。料理の時間は自然とダイレクトに遊ぶいちばんの機会であることに気がついたのです。料理を通して自然の移り変わりを感じる、水の大切さを実感する、お日さまのエネルギーを感じる、食べ物が育つ自然環境や生産者への思いを育む、地球の生命循環に思いをはせる、いのちの歴史を受け止める、食べ物と体の関係を学ぶ……。

 

単なる栄養のかたまりと思っていた食べ物観がひっくり返って、食事のたびごとに大地と食べ物と体のつながりをはっきりと感じることができるようになったのです。そして雑穀をガイドに、私自身の日々の食と暮らしを問いなおす体当たりの旅がはじまりました。

 

食べ物を地面から自分で手に入れられる土地で、自然と一体になった暮らしをしてみたいという衝動がどんどん高まって、山形県飯豊山麓での自給自足を目指した家族ぐるみの実験生活がスタートしました。

 

とはいえ、心の中はまだ不安でいっぱいでした。「都会での消費生活しか知らない私が、山の暮らしに耐えられるだろうか。たった数日で嫌になってしまうのではないか」と自分自身を疑う気持ちのほうが強かったのです。

 

 

ところが、自然に抱かれての手づくりの暮らしがもたらす楽しさは、想像をこえていました。野山の幸を摘み、畑を耕して手に入れられるものだけで成り立つ食卓は、平和そのもの。毎日毎日が、発見と感動の連続、最初のかすかな予感は日ごとに大きな確信へと変わっていきました。

 

特に、雑穀をはじめてこの手で育て、食卓にのせたときの喜びは言葉にあらわせません。ドキドキしながらの種まき、芽が出たときの喜び、すくすくと育っていく姿の愛しさ、穂がふくらみ顔を出し、花が咲いて熟していく過程は、なにものにもかえられない心躍る楽しみをもたらしてくれました。こんなに楽しい発見を独り占めにしておくのはもったいない、と雑穀に「つぶつぶ」という愛称をつけ、栽培法や料理法を伝える活動をはじめました。

 

 

そして雑穀と出合って19年目の今では、雑穀を知らない人はほとんどいなくなり、雑穀は美味しくて健康な未来を開く新しいグルメ食品というイメージが浸透しつつあります。世界的にも、穀物の栄養価や栄養バランスを見なおすさまざまな研究結果が発表される様になり、雑穀の価値を評価する動きが生まれています。

 

「作物多様化」という世界の共通目標にも合致し、「スローフード」というイタリア発で世界に広がりつつある食文化復興のムーブメントの核にある食材としても注目を集めています。

 

 

雑穀たちと出合ったことで、私の中に眠っていた生きる力が目ざめました。体という自然環境に、秩序とエネルギーをもたらす食べ物が雑穀です。生命エネルギーに満ちた雑穀つぶつぶ食で体を変えることは暮らしを変え、環境を変え、地球の未来を創り出していく力へとつながっていきます。今も、家族ぐるみのおいしい大冒険の真っ最中です。

 

 

暮らしの探検家 大谷ゆみこ

2002年「いのちのアトリエ」(山形)にて

 
 
 

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