ペロブスカイト太陽電池の製品化における課題:伊藤教授のインタビューより(1/3)
日経BP総研2024/08/08
フィルム型ペロブスカイト太陽電池の課題
- 市場ニーズとのミスマッチ:
- 建材に柔軟性は必ずしも必要ない。
- 自動車など一部の用途にしか柔軟性のメリットが生かされない。
- 高コスト:
- 透明導電性材料: フィルム型ではガラス基板に比べて高価な透明導電性材料が必須。
- 正孔輸送層材料: Spiro-MeOTADなど、高価な材料が使用される。
その他の課題
- 耐久性: 長期間にわたって安定して発電できるよう、耐久性の向上が必要。
- 大面積化: 大面積のモジュールを製造する際の性能のばらつきを抑制する技術が必要。
- 鉛の使用: 環境への影響が懸念される鉛の使用量を削減する技術開発が求められる。
まとめ
ペロブスカイト太陽電池は高い発電効率が期待できる一方で、フィルム型を中心に様々な課題を抱えています。特に、コスト面での課題が大きく、市場への普及を阻む要因となっています。これらの課題を解決し、実用化するためには、材料開発、製造プロセス、そして市場ニーズの深い理解に基づいた研究開発が不可欠です。
考察
伊藤教授のインタビューからは、ペロブスカイト太陽電池の開発において、単に高い発電効率を目指すだけでなく、市場ニーズやコストといった現実的な問題を考慮した研究開発の重要性が浮き彫りになります。
- ガラス基板の活用: 中国勢が注目するガラス基板は、コストを抑えつつ、高い安定性を実現できる可能性を秘めています。結晶シリコン型とのタンデム化も、さらなる高効率化につながる期待が持てます。
- 材料の多様化: より安価で高性能な材料の開発が求められています。特に、透明導電性材料や正孔輸送層材料の代替材料の探索が重要です。
- 耐久性向上: 耐久性の向上は、ペロブスカイト太陽電池の実用化における最大の課題の一つです。材料の安定性だけでなく、デバイス構造の最適化も必要です。
これらの課題を克服し、ペロブスカイト太陽電池が実用化されれば、再生可能エネルギーの普及に大きく貢献することが期待されます。
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ペロブスカイト太陽発電アドバイザー情報誌 Pervskite Energy Report
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