放置空き家、周辺不動産の価値下落 地価下落による損失は23年までの5年間で約3.9兆円  |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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放置空き家、周辺不動産の価値下落 損失3.9兆円の試算

日経

 

概要

  • 放置空き家は2018年から23年までの5年で36万戸増えた
  • 長期間放置した空き家は周辺の不動産価格を押し下げる。国全体の経済損失は2023年までの5年で3.9兆円に上るとの試算
  • 放置空き家が増える悪循環の懸念
  • 対策強化が必要

問題点

  • 放置空き家が増加
  • 周辺不動産価格下落
  • 地価下落による損失は23年までの5年間で約3.9兆円
  • 放置空き家予備軍の増加
  • 世帯数減少に伴い空き家増加懸念

対策

  • 相続登記義務化法改正など対策強化
  • 個々の空き家への対症療法には限界
  • 都市計画や地域づくりといった広い観点から抜本的な対応が必要

その他

  • マンションの放置空き家も問題
  • 損失額は今後加速度的に増える懸念
  • 空き家予備軍も放置空き家となり地価損失拡大

長期間放置した空き家は周辺の不動産価格を押し下げる。国全体の経済損失は2023年までの5年で3.9兆円に上るとの試算を民間団体がまとめた。周辺住宅の売却や賃貸も難航しかねず、取引の停滞でさらに空き家が増える悪循環の懸念もある。

 

企業や研究機関など15団体が集って空き家問題に取り組む「全国空き家対策コンソーシアム」が試算した。総務省が4月末に公表した23年の住宅・土地統計調査と、東京大学の不動産イノベーション研究センターの研究をもとにした。

 

売却や賃貸といった目的がなく、居住世帯が長期不在の放置空き家は18年から23年の間に約36万戸増えて約385万戸となった。うち7割超が戸建てだった。

 

複数のエリアを検証したところ、放置空き家の周辺半径50メートル以内の地価は下落傾向にあった。庭木の繁茂や害虫・害獣の発生、治安悪化への不安から、入居希望者が減ることが要因とみられる。

 

過去の空き家の立地傾向などから、23年までに増えた戸建ての放置空き家のうち約8割が影響を与えると推計した。地価下落による損失は23年までの5年間で約3.9兆円に上ると試算した。

 

国土交通省の公示地価によれば住宅地の地価は24年まで3年連続で上昇した。放置空き家が水面下で上昇幅を抑制した可能性がある。

コンソーシアム代表理事企業で解体工事マッチングのクラッソーネ(名古屋市)の川口哲平代表は「試算は戸建ての放置空き家が地価に与える部分に限った。実際のマイナスはさらに大きい恐れがある」と話す。

 

今回の試算に含まないマンションの放置空き家の場合、所有者が不明になるなどして管理費や修繕積立金の支払いが滞ることがある。適切な日常管理や修繕が不可能になり、マンション全体の資産価値が落ちる原因となる。

 

東京カンテイ(東京・品川)の井出武・上席主任研究員は「損失額は今後、加速度的に増える懸念が大きい」と指摘する。放置空き家が増えるエリアは高齢者だけが住む「空き家予備軍」も多い。「予備軍も所有者死後に相続放棄などで放置空き家となり、地価損失が雪だるま式に膨らみかねない」

 

日本では人口が減っても一人暮らしの増加などで世帯数は拡大が続く。国立社会保障・人口問題研究所の推計では世帯数も30年にピークを迎える。住宅の総需要が本格的に減り始め、空き家が急速に増えかねない。

 

国は対策を強化しており、相続登記を義務化する法改正などを重ねてきた。井出氏は「世帯数も減る時代には個々の空き家への『対症療法』には限界がある」と指摘する。都市計画や地域づくりといった広い観点から抜本的な対応を考える時期に来ている。

 

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