ペロブスカイト太陽電池の高性能化に期待、I.S.Tが高耐熱な透明PIフィルムを開発桐蔭横浜大学 宮坂研究室と共同研究を開始
高機能素材メーカーのI.S.Tが桐蔭横浜大学の宮坂研究室と共同で、独自開発の透明ポリイミドフィルムを用いたペロブスカイト太陽電池に関する共同研究を開始。耐熱性と柔軟性に優れる同フィルムを利用し、高性能なペロブスカイト太陽電池の開発を目指すという。
2024年03月14日
[スマートジャパン]
I.S.Tと桐蔭横浜大学宮坂研究室、透明ポリイミドフィルムを用いたペロブスカイト太陽電池の共同研究開始
概要
- 高機能素材メーカーのI.S.Tと桐蔭横浜大学宮坂研究室は、I.S.Tが開発した透明ポリイミドフィルム「TORMED」を用いたペロブスカイト太陽電池に関する共同研究を開始。
- 耐熱性と柔軟性に優れたTORMEDを基板に採用することで、高性能なペロブスカイト太陽電池の実現を目指す。
背景
- ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟に製造可能で、ビルの壁面や車体など、さまざまな場所に設置できる次世代太陽電池として注目されている。
- 従来の基板素材であるPETは耐熱性が低いため、成膜プロセスに制限があった。
TORMEDの特徴
- 耐熱温度：300℃（PET：200℃）
- 柔軟性、溶剤耐性
- 可視光透過率：88％以上
- 連続ロールフィルム形状での供給が可能
共同研究内容
- TORMEDを基板素材としたペロブスカイト太陽電池の開発
- 成膜プロセスの選択肢拡大による太陽電池性能の向上
今後の予定
- 学術レベルでの検証と試作
- 数年後をめどにフィールド実証
- TORMEDは2024年2月から本格外販開始
- フレキシブルプリント基板、スマートグラス、タッチパネル、Mini LED、Micro LEDなど、さまざまな機器への適用を目指す
2024年03月14日
[スマートジャパン]
高機能素材メーカーのアイ. エス. テイ（滋賀県大津市、以下I.S.T）は2024年3月14日、桐蔭横浜大学の宮坂研究室と、同社が開発した透明ポリイミド（PI）フィルムを用いたペロブスカイト太陽電池に関する共同研究を開始すると発表した。独自開発のフレキシブルかつ耐熱性を備えた透明なポリイミドフィルム「TORMED（トーメッド）」を基板に採用することで、高性能なペロブスカイト太陽電池の実現を目指すという。
ISTの開発した透明ポリイミドフィルム「TORMED」 出典：I.S.T
ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟に製造可能という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは車体などの曲面といった、さまざまな場所に設置できる次世代太陽電池として注目を集めている。
柔軟性の高いペロブスカイト太陽電池を製造する場合、その基板には軽量かつフレキシブルな特性を持つポリエステル（PET）が採用されるケースが多い。しかし、PET基板の耐熱性は200℃程度であることが多く、基板上に形成する電子輸送層などの成膜プロセスについても、PET基板の耐熱性能の範囲内に収まる手法を選択する必要があった。
一方、I.S.Tの開発したポリイミドフィルムのTORMEDは、耐熱性能が300℃程度と一般的なPET素材より高く、柔軟性と溶剤耐性も併せ持つ。電子部品や半導体などに広く使用されているポリイミド素材は琥珀色なのが一般的だが、TORMEDは可視光透過率88％以上となっており、採光性が高いのも特徴となっている。自社開発の製造装置により、連続ロールフィルム形状での供給も可能にした。
I.S.Tでは桐蔭横浜大学の宮坂研究室と共同で、基板素材にこのTORMEDを採用したペロブスカイト太陽電池の開発を目指す。耐熱性に優れるTORMEDを基板素材に採用することで、成膜プロセスの選択肢が増えるなど、太陽電池の性能を高められる可能性があるとしている。今後学術レベルでの検証とともに試作を進め、数年後をめどにフィールド実証にも取り組む計画だ。
なお、TORMEDは既に2024年2月から本格的に外販も開始している。フレキシブルプリント基板などの他、スマートグラスやタッチパネル、Mini LEDやMicro LEDといったディスプレイ分野など、さまざまな機器に適用が可能としており、I.S.Tでは国内外に向けて幅広く提案を進めるとしている。
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