空き家問題をデータで解決 ヤモリ、戸建て購入し賃貸に
ヤモリの戸建て再生事業
概要
- 地方で借り手や買い手が見つからない戸建てを購入し、修繕したうえで賃貸する事業を始める。
- 蓄積データを活用し、埋もれた優良物件を掘り起こす。
ターゲットエリア
- 人口20万人以上の中核市
物件選定
- コンサルサービスの既存顧客や不動産会社から空き家データを集める。
- 周辺の家賃状況などを基に独自システムで将来の損益とキャッシュフローを予測し、「再生」の可否を見極める。
リフォーム
- ファミリー層を主要顧客に想定し、和室を洋室に作りかえるといったリフォームを施す。
- 連携するリフォーム事業者の協力を得る。
資金調達
- 三菱UFJ信託銀行や米ベンチャーキャピタル(VC)のメタプロップなどを引受先とする第三者割当増資で10億円を調達。
目標
- 今後2年で150〜200軒の取得を目指す。
- その後、三菱UFJ信託とファンドを共同組成し、外部投資家からも資金を集める計画。
背景
- 総務省によると、全国の空き家は18年時点で849万戸と20年間で1.5倍に増えた。
- 人口減が進む地方で深刻化している。
- 相続された住居の活用法が見つからず、放置されるケースが多い。
- 地方の中古物件は単価が安く、不動産会社も活用提案に消極的だった。
課題
- 国土交通省が売却・賃貸をする際の課題を複数回答で調べたところ、回答者の42.3%が「買い手・借り手の少なさ」を挙げた。
- 「住宅の傷み」(30.5%)や「設備や建具の古さ」(26.9%)を懸念する所有者も多かった。
将来展望
- 野村総合研究所は全国の空き家が38年に最大で2356万戸に達すると推計する。
- 対策は喫緊の課題で、政府や自治体が動き出している。
- そこに独自の技術やサービスを持つスタートアップが加わっている。
不動産運用のコンサルサービスを手掛けるヤモリ(東京・渋谷)は、地方で借り手や買い手が見つからない戸建てを購入し、修繕したうえで賃貸する事業を始める。蓄積データを活用し、埋もれた優良物件を掘り起こす。人口減に歯止めがかからず、各地で空き家問題は深刻さを増す。スタートアップがデータや人工知能(AI)で解決に挑む。
ヤモリは不動産を運用する個人向けのコンサルサービスを2021年に始めた。足元で有料会員数は約1500人に上り、取得額ベースで計約50億円の物件を各地で運用している。データがたまったことから、自社で物件取得と貸し出しに乗り出す。
コンサルサービスの既存顧客や不動産会社から空き家データを集める。周辺の家賃状況などを基に独自システムで将来の損益とキャッシュフローを予測し、「再生」の可否を見極める。人口20万人以上の中核市を有望エリアに据える。
藤沢正太郎社長は「交通アクセスなどは良いのに、築年数や設備が古いというだけで敬遠されている物件は多い」とみる。取得後はファミリー層を主要顧客に想定し、和室を洋室に作りかえるといったリフォームを施す。連携するリフォーム事業者の協力を得る。
このほど三菱UFJ信託銀行や米ベンチャーキャピタル(VC)のメタプロップなどを引受先とする第三者割当増資で10億円を調達した。今後2年で150〜200軒の取得を目指す。その後は三菱UFJ信託とファンドを共同組成し、外部投資家からも資金を集める計画だ。
総務省によると、全国の空き家は18年時点で849万戸と20年間で1.5倍に増えた。人口減が進む地方で深刻化している。
相続された住居の活用法が見つからず、放置されるケースが多い。地方の中古物件は単価が安く、不動産会社も活用提案に消極的だった。
国土交通省が売却・賃貸をする際の課題を複数回答で調べたところ、回答者の42.3%が「買い手・借り手の少なさ」を挙げた。「住宅の傷み」(30.5%)や「設備や建具の古さ」(26.9%)を懸念する所有者も多かった。
野村総合研究所は全国の空き家が38年に最大で2356万戸に達すると推計する。全住宅の3軒に1軒が空き家となる計算だ。対策は喫緊の課題で、政府や自治体が動き出している。そこに独自の技術やサービスを持つスタートアップが加わっている構図だ。
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