民法改正 (8)(損害賠償額の予定) |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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民法改正(8)(損害賠償額の予定) 


借主が負担する原状回復費用というのは損害賠償額です

 

 損害賠 償額は予め決めておくことができます。 改正後の条文は、 第 420 条①当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」。

従来の条文ではこの後に「この場合において、裁判所は、その額を増減することができな い。」とのただし書きが記されていました。

損害賠償金の予定額を取り決めた場合は、 その額は裁判所をも拘束するとなっていましたが、理不尽な予定額であれば裁判所の判断 で損害賠償金を増減できるということになります。

 

 関西以西の不動産の賃貸契約書では「敷引き」が慣例になっています。「敷引き」を一口に 損害賠償額の予定と解釈することには抵抗がありますがそれに近いものであることに変わ りはありません。

 

「敷引き」の有効性については平成 20 年前後に関西地区で大いに争われ ました。結局、最高裁まで争われ、平成 24 年最高裁で「敷引き」を一定の限度で有効とみ なし結論に達しました。

 

今回の改正は、その判例を踏まえ予定額を増減できるとしたもの と思えます。 尚、関東地区では「敷金は退去時に賃料の一ケ月分を償却する」といった 文言で時々見られます。

 

特にペット飼育を可とする物件ではペット飼育による目に見えな い損耗の賠償金を予め定めておくケースが多いようです。 いずれにせよ今回の改正により裁判所の判断にて予定額は変更されることがあるというこ とになりました。