賃貸経営シリーズ(賃借人編)<階下のテナントの問題> |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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賃貸経営シリーズ(賃借人編)

 

<階下のテナントの問題>



(質問)

階下のテナントが変わり、『ステーキ屋』になった。
開店して以来、肉の焼ける匂いが一階のエントランスはもちろんエレベーターの中にこもり、最上階の部屋まで臭いが上がってくる
洗濯物も臭いがつく為、ベランダに干せない。あきらかに日常生活に支障をきたしている。

最早引越しをするしかない(したい)と思うのだが、このように不可抗力で入居した時と生活環境条件があきらかに変わり引越しを余儀なくされる場合、『敷金・礼金全額返済請求』やたとえば『引越し代半額負担』など、仲介業者や大家へ請求できるのか?

(回答)

法的に言えば、「あきらかに日常生活に支障をきたし」ているということで,そのことをきちんと証明することができれば、損害賠償請求が可能です。

問題は、「あきらかに日常生活に支障をきたし」ているということを、家主が納得できるように証明できるかどうかということです。
それが可能なら、損害賠償請求の一環として、支払ったお金の返還や引越し代の負担なども可能でしょう。

しかし、その証明ができず、家主から、「それは感じ方の違いだけのことであり、客観的な損害が発生しているとはいえない」と返されるようであれば、当然ながら、費用の請求はできないでしょう。

したがって、まず、「あきらかに日常生活に支障をきたし」ていることを、家主に理解してもらえるようにしなければなりません。
仲介業者と交渉してもまったく無意味です。
入居後に、家主物件のテナントが代わったことについては、何の責任も発生しないからです。

家主には、民法上の「使用収益させる義務」がありますので、その義務が果たせていないということの交渉ですので、交渉相手は、家主です。

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