<契約金の支払い>(1)契約金の残金の支払い  #賃貸借契約問題   Q&A Vol.43-1 |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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#賃貸借契約問題   Q&A Vol.43-1(第365号)


<契約金の支払い>(1)

(質問)

契約金の残金支払いを入居日直前まで待ってほしいと言ったが断られた。

(回答)

建物の売買契約などでは、当事者双方のリスクを軽減するために、
同時履行と言って、売買代金の支払いと不動産の移転登記手続きを同時に行うことが多いのですが、賃貸借契約ではどうなのかということがポイントです。

つまり、賃貸借契約においても、「同時履行の抗弁権」を主張できるかどうかということです。

「同時履行の抗弁権」を主張するためには、次の3つの要件を満たす必要があるとされています。

一つ目は、ひとつの双務契約(どちらも何らかの義務を負っている契約)から生じた双方の債務が存在すること、賃貸借契約は、家主には借主に物件を引き渡す義務があり、借主には家主に契約金を支払う義務がありますので、これに該当します。

二つ目は、相手方の債務が履行期にあること、賃貸借契約では、借主の立場からすると、家主の履行期(=物件の引渡し日=カギ渡し日)はまだ来ていませんので、この点は要件を満たしていません。

そして、三つ目が、相手方が自己の債務の履行又は履行の提供をせずに履行を請求してきたこと、つまり、賃貸借契約においては、カギ渡し日を過ぎたのに、カギ渡しをしないで、契約金の支払いだけを要求してきたという場合ですが、これもカギ渡し前ですから、用件には該当しません。

つまり、入居直前まで契約金の支払いを保留するということは、
法律上では認められないということになり、家主との協議次第ということになるのです。

一般に、家主は、入居直前のキャンセルを恐れるために、契約金の支払いを早めにしてもらおうとしますので、どうしても、入居直前まで費用を用意できないのであれば、その説明をきちんと行う一方で、「キャンセルは行わないし、万が一契約金の支払い前にキャンセルする場合でも、契約金は全額支払う」というような念書を家主に提出して、了解を得るというような方法が必要です。

 

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