それと、賃貸借契約の内容を規制するとして、「公序良俗違反」があります。
賃貸借契約にとどまらず、契約一般についてもいえることですが、契約の条項は契約自由の原則に則り基本的には当事者の任意に決めることができます。
しかしながら、内容があまりに非常識であったり不公平であったりする場合は、
借地借家法に定めがなくても無効になる場合があります。公の秩序、善良な風俗を略して「公序良俗」といいますが、「公序良俗違反」で無効になる場合です。
もう一つ「契約自由の原則」を制限するものに「例文解釈」というものがあります。
不動産の賃貸借契約や示談書などに含まれている定形型文言や約款の解釈で文言通りに適用すると不当な結果となる場合に、その不当性を回避するために、その文言を「単なる例文である」として、その有効性を否定する契約解釈の手法です。
信義則によって基礎づけされ、形の上では、合意の存在の否定ですが、実質的には、裁判官による契約内容の改定を意味しています。一方的に相手方に不利となる契約内容に対する隠れた司法的内容規制としての機能を発揮するものです。
(次号に続く)