マンション管理 <排水管の系統・種類と管内洗浄・清掃> |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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A: 通常、マンションの排水設備は、以下の4つの系統ごとの排水竪管が建物内を竪に貫通しています。

(1). 台所流し系の排水竪管


(2). 浴室、洗面、洗濯系統用の生活排水竪管


(3). 便所(便器)からの汚水排水竪管


(4). バルコニーなどの雨水排水や空調室外機の除湿排水用の竪樋、呼び樋

これらの内、「(3).便所(便器)の汚水管」は配管が詰らない限り、管内清掃は行ないません。

また、「(4).雨水排水系の樋」は12~15年周期で行なわれる大規模修繕工事、外壁等の修繕工事の際に、


竪樋、呼び樋、ドレイン内部を洗浄・清掃する以外は、管内の清掃は行ないません。

定期的に管内洗浄・清掃を行なう範囲は、


「(1).台所流し系排水管」「(2).浴室、洗面、洗濯系統の排水管」に限られます。これらの排水管には洗剤などと


ともに調理に使用した油分や残飯類、人体の垢などが流下し、管内に付着して流れにくくしたりします。

これらの生活排水管の管内洗浄の頻度は、超高層マンションなどと低層のタウンハウスやテラスハウスなど


建物の形状や高さ(階数)でも異なります。



排水管の管内洗浄・清掃の方法と検査



通常、排水管内の清掃の方法は、ホースの先端のノズルから高圧水を噴射する高圧水洗機のホースを


排水管の中に挿入し、管内を移動させながら排水管の内面の汚れを洗浄・清掃します。


ホースの先端のノズルは「逆噴射ノズル」となっていて、水圧で管内を洗浄・清掃すると同時に、


ホースの先端を排水管の奥の方向に向って引っ張り、進行させるものとなっています。

通常、各住戸の排水口からノズルを挿入して竪管まで洗浄・清掃する工程と、


屋外の地中埋設・排水管の枡からノズルを挿入し、住棟内の排水竪管の内部を最上階まで洗浄・清掃する


工程が組み合わせられます。

また、排水管内の洗浄・清掃工事が確実に行なわれたかどうかの竣工検査、確認の方法は、


洗浄前に管内に内視鏡を入れ、排水管内の汚れ,付着物の付着状況、閉塞状況を確認(写真撮影)し、


ついで洗浄した後、排水管内の付着物が綺麗に除去されているかどうかを確認(写真撮影)します。


綺麗に洗浄・清掃が確認されたら、工事の完了と認め、管理組合が工事費の支払いを行います。

排水管の洗浄前の内視鏡調査で、管内の付着物が少なく、閉塞状況が進行していない場合には、


排水管内の洗浄・清掃工事を延期することも可能となります。

また、排水管内の閉塞による被害は、1階や2階など下層階の住戸に多く現れます。

排水蓋がゴボゴボ音がする、排水が逆流してくるなどの弊害が発生するようになったら、


管内洗浄・清掃の必要性が増します。



管内洗浄・清掃の弊害



排水管の材料には鋳鉄管、鋼管、ライニング鋼管、塩ビ管、ステンレス管などが使われています。


硬い高圧水洗のホースを排水管の中に挿入し、何度も繰り返し管内をこすると配管材料を損耗させ、


永い間に管に穴をあけてしまう場合もあります。


特に曲管の内側が損耗が激しく、築後20年程度経過したマンションの排水管からの漏水事故は、


管の洗浄・清掃方法の不良によるものが多くあります。

排水管の洗浄・清掃を専門に行なう施工業者の施工技術や能力により、排水管の洗浄間隔、


排水管の耐久性などが大きく左右されます。

しっかりとした洗浄・清掃専門工事会社の選択、事前・事後の確実な検査、長期的な排水管材料の耐久性の


確保などが重要です。