前回が海外ミステリーだったので、

今回は今年読んだ国内ミステリー。

やはりシリーズものを。

 

初めて読んでみた、森博嗣。

その記念すべき第一作が、

『すべてがFになる』(THE PERFECT INSIDER)

 

すべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ (講談社文庫)

  すべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ (講談社文庫)

 

前回のリンカーン・ライムシリーズと同様に、

こちらのシリーズも第一作から順に読んでいる。

 

② 『冷たい密室と博士たち』(Doctors in Isolated Room)

③ 『笑う数学者』(Mathematical Goodbye)

④ 『詩的私的ジャック』(Jack the Poetical Private)

⑤ 『封印再度』(Who Inside)

 

これは10作のシリーズだということで、

ちょうど今半分まできたところ。

 

このシリーズは、

某国立大学助教授の犀川創平と

その大学で学ぶ学生・西之園萌絵の

コンビが謎を解明していくために

S&M(創平と萌絵)シリーズと言われている。

 

二人が在籍しているのは工学部建築学科。

起こる事件の中や発想に

理系的な言葉やトリックが使われている。

そこで「理系ミステリー」とか言われてもいる。

うーん、「理系」かあ・・・。えー

いやいや、文系が読んでも十分面白い。ニヤリ

(完全には分からないコトもあるが、まあよい)

 

ちなみに極私的には、

私の息子が、作者森博嗣(元某国立大学の先生だった)

そして、どうも犀川や萌絵の在籍しているであろう

その某大学を卒業している。

大学の構内の様子や、近くの街の様子が

どことなく「あそこかな?」と思わせて

そうした面での興味というのもある。

今は家にいない息子の本棚に

『すべてがFになる』が置いてあったのを

見つけてしまったのが運のツキ。照れ

 

これまでのところ

扱っているのは「密室殺人」。

犯人はほとんどが特異な才能をもった人たち。

中には超のつく天才と言われる人も。

もちろん犀川や萌絵は、密室が「いかにして」

作られたのかの解明も行うけれど、

中心となるのは「何故」の部分だろう。

いつも問題を持ち込むのは萌絵の方。

もちろん萌絵も解決に寄与するが

決定的な部分は犀川の登場となる。

 

このシリーズの登場人物、

かなりキャラがたっている。

犀川は建築学科助教授であり、

全てを論理的に考えて意味を見つけ出す。

どこかニヒリスティックな面もあり、

突然の閃きの中で、真相に辿り着いたりする。

一種天才的な人物。

西之園萌絵は、もう絵に描いたようなお嬢様。

萌絵が16歳の時に、飛行機事故で父と母を亡くしている。

父は某国立大学の元総長で、犀川の恩師。

叔父は県警本部長、叔母は県知事夫人。

ゴージャスなマンションで、

諏訪野という執事(執事ですゾ)と暮らしている。

萌絵の飼っている犬は都馬(とうま)といい

シェルティーなので、我が家のお犬様と同じ。

 

とまあ、脇道にそれまくりではあるけど、

本筋の部分については、かなり本格。

犯罪のトリックも凝りに凝っている。

だからこそ、何故そこまで密室にこだわる

ということも問題になってくる。

その真相に辿り着くことが、

このシリーズの骨頂でもある。チョキ

 

*          *          *

 

さて、このシリーズも前半5作を

読んだところで、ちょっと気分転換。

と思って読んだのが、

森博嗣の初短編集、『まどろみ消去』

 

まどろみ消去 MISSING UNDER THE MISTLETOE (講談社文庫)

  まどろみ消去 MISSING UNDER THE MISTLETOE (講談社文庫)

 

これは森博嗣という作家の多面性を堪能できる。

もちろんS&Mシリーズのスピンオフも

2編含まれており、萌絵ちゃんが出て来ただけでも

なんか嬉しくなったりする。

中には、ちょっと意味が不明のものもある。

さらに、半自伝的な

『キシマ先生の静かな生活』

という短編もある。

(これは長編化もされている)

シリーズとは異なる多様な森ワールドを

楽しみたいという方は、ぜひ。チョキ