先日、久しぶりに妻と一緒に

映画を観に行ってきた。

観た映画は・・・

 

護られなかった者たちへ(2021)

◆原作 中山七里

◆監督 瀬々敬久

◆出演 佐藤健  阿部寛  清原果耶  倍賞美津子  他

 

この映画を観に行くことになったのは

妻が佐藤健の大ファンだから。

以前観た『るろうに剣心』もそう。

でも、毎回観てよかったと思う。

今回もやはりそうだった。 照れ

 

この映画を観に行く前に、

中山七里の原作小説も読んでみた。

 

護られなかった者たちへ

  護られなかった者たちへ

 

中山七里の小説はこれが初めて。

ミステリー作家だということだが、

その作品自体はミステリーの枠に

納まりきらない、切実な主題を扱っている。

 

 

仙台市の福祉保健事務所の課長で

「善人」と言われる三雲忠勝。

宮城県議会議員で「人格者」と

皆から認められている城之内猛留。

二人ともガムテープで手足を巻かれ

人の訪れない場所に放置され、

死因は餓死だとされる。

宮城県警捜査一課の苫篠と蓮田が

この事件の捜査に乗り出す。

 

そこに8年前にある事件の犯人として

刑務所に収容されていた利根勝久が

模範囚として刑期を終え出所してくる。

利根は事件と何か関係があるのか?

苫篠と蓮田は次第に「善人」と「人格者」と

そして利根との間に、過去にあった

ある出来事が関わっていることを探り出す。

 

と、まあミステリー仕立てで物語は進んでいく。

その背景にあるのが、東日本大震災であり、

もう一つが生活保護という制度。

宮城県仙台市という場所は

これらの問題の集約点として選ばれている。

東日本大震災と生活保護の交差するところで

登場人物たちの誰もが心に傷をおい、

追い詰められ、葛藤を迫られる。

その不条理の中で事件は起こってくる。

 

この小説の中で、登場人物が語る次の言葉・・・

 

「護られなかった人たちへ。どうか声をあげてください。」

「あなたは決して一人ぼっちではありません。

 もう一度、いな何度でも勇気を持って、

 声をあげてください。

 不埒な者が上げる声よりも、

 もっと大きく、もっと図太く」

 

これは映画の中でも語られる言葉。

たぶんこの中にこの小説・映画のテーマは

集約されていると思う。

 

ミステリーという形なので、

あまり詳しくは書けない。

でもたぶんミステリーという枠には

納まりきらないほどの人間ドラマ。

映画を先に観た方は、少し分かりにくいかもしれない。

映画は映画の構成で作られ、

その分カットされたところも多い。

その分かりにくいところは小説を読めば

きっと腑に落ちるだろう。

それに小説と映画では少し設定も変えられている。

それぞれに独立した作品になってもいる。

 

だから、小説を読んでからでも映画は十分楽しめる。

映画を先に観た人も小説を読めばよりよく分かる。

どちらからでも、楽しんむことができる。

そして、差し出された問題をじっくりと考えてほしい。チョキ

 

そんな内容の映画・小説だった。

映画の方では、佐藤健、清原果耶の

体当たりの演技が光っていた。

そうした点も楽しみに観てほしい。

 

 

 護られなかった者たちへ 予告編

 

最後のエンドロールのバックに流れるのが

桑田佳祐の『月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)』

これがまた映画の内容にピッタリ。

曲を聴いただけでも、心を揺さぶられる。 ラブラブ

 

 

    主題歌 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)/ 桑田佳祐