しばらく前に購入したのだが、忙しくて見る暇がなかった。
トマス・モアの『ユートピア』とジュール・ヴェルヌの『海底2万マイル』を混ぜ合わせて
円谷テイストに味付けした作品。
確実に『ドクター・モローの島』に影響を与えているな。
α号と黒鮫号が繰り広げる海底での戦争シーンやα号のハッチが開くシーンなど
特撮は相変わらず気合が入ってるし、多少の風刺や皮肉も込められていて面白かった。
まあ、ラストの「そっくりさんショー」は不要だったような気もするが。
そんなこんなで十分楽しめたのだが、気になった点が二つ。
まず、自分が騙して虐げた(というか殺した)「黒い蛾」の脳をライオンに移植したら、絶対恨まれて報復を受けるだろう、
という当然の帰結を予想もしなかったマリクは少しも天才じゃないな、という点。
人間の心理を理解していないマッドサイエンティストとしか言いようがない。
そしてもう一つは、グリホン(グリフォンではない!)も巨大ネズミも膝をついた四つん這い姿勢で
人間丸出しだった点。
特に、巨大ネズミは「コスプレした子供がハイハイしている」としか見えなかった。
足の裏が空を向いて接地していない四足歩行動物などあり得ない。
これは、人間が入って演じる着ぐるみの宿命とも言える欠陥なのだが、
実は『ゴジラの逆襲』に出てくる初代アンギラスはこの欠陥を克服し、
ちゃんと四本の足を地面につけて歩いていたのだ。
つまり、工夫次第では人間が四足歩行動物を演じることは可能、ということ。
ところがその後、アンギラスは四つん這い方式になってしまい、「中の人」感がどんどん強くなってしまった。
ちなみに『ガメラ対バルゴン』のバルゴン、『ガメラ対ジャイガー』のジャイガーは、後足の裏がちゃんと接地しているデザインだった。
四足歩行怪獣のデザインに関しては、東宝よりも大映の方に一日の長があった、ということなのだろうか。