すでに報道されていますが、3月10日に政府の「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」の第2弾が発表されました。国内の感染拡大を防止し、経済への悪影響を最小化すべく、今年度予算の予備費も活用し約4000億円を投入。さらに企業の資金繰りをささえるため、特別貸付制度の創設などに総額1兆6000億円規模の金融措置を実施します(詳細は下記リンク先をご覧ください)。

 

新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 -第2弾-(概要):首相官邸HP

 

第2弾のポイントは次の4点。

(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備

(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応

(3)事業活動の縮小や雇用への対応

(4)事態の変化に即応した緊急措置等

 

 

私も10日、参議院経済産業委員会で質問に立ち、特に経済分野に関わる上記(2)(3)を中心に質問をしました。梶山経産大臣、中小企業庁、資源エネルギー庁、厚生労働省の各担当者から、第2弾の内容に基づいてご答弁いただきましたが、委員会直前の9日深夜、アメリカで株式市場が歴史的な大暴落となり、世界的な景気後退リスクが明らかとなりました。日本でも観光、飲食、製造業、商店街・百貨店、特に中小企業からは「これでは足りない」という声が出てくるのは必至です。質疑の中でも、それを強調しました。

 

大胆な経済対策を!

 

アメリカは翌日、トランプ大統領がただちに大型減税や中小企業支援策を打ち出しました。石油価格がバーレル当たり30ドル以下に急落した状況下では、相当大胆な対策を打たないと効果は見込めません。国情は違っても、そこの本質は変わりませんから、日本政府も、第3弾でこれまでにない規模の経済対策を打ち出していただきたい、と引き続き強力に働きかけていきます。

 

 

なお、もう2点、委員会質問で私が申し上げたこと。1つは、私が以前から強調している、中国に依存しすぎのサプライチェーンの再構築の必要性。梶山大臣も同じ認識で、「経産省としても、製造業者の意見をくみながら対応策を考えたい」と前向きにご答弁いただきました。ただし、実際には自動車メーカーのような大手企業でも再構築には大変なコストがかかります。税制や金融で、産業政策として支援していくことを提案しました。

 

もう一つは、雇用調整助成金と新たな休業補償について、自営業やフリーランスの方など、助成漏れのない休業補償を求めるとともに、申請はできるだけ簡素化して手間をとらせないようにお願いしました。すでに書類が多くて手続きが大変だという声が私のところにも寄せられています。厚労省も手続き負担を軽減すべきことは認識されていると確認できましたので、実現できると思います。

 

防災拠点「最後の砦」ガソリンスタンドも悲鳴

 

委員会では、エネルギー政策についても問題提起をしました。新型コロナの感染拡大と機を同じくして、原油価格の下落が日本経済に大きな影響を与えつつあります。特にガソリンスタンド(SS)は、「アゴラ」で何度か書きましたが、ただでさえSSの経営環境は厳しく、全国で1日に3件のガソリンスタンドが廃業していると言われています。しかも、ここにきて新型コロナ問題とのダブルパンチ。経営環境が一層厳しくなる可能性が憂慮されています。

 

少子高齢化や車の燃費向上によるガソリン需要の減少は、時代の趨勢として考えておかねばならないのでしょうが、東日本大震災をはじめとする大災害の際には、地元のSSがガソリンや灯油などの燃料を、病院などの重要施設に供給する「最後の砦」として機能するのです。

 

その意味で、いまやSSは公共的な存在であり、経営努力だけでいかんともしがたい部分については、「官公需」をはじめとする平時の調達で支える必要があります。ありがたいことに、各地の自治体が地元の石油組合と災害時の燃料供給協定を締結し、平時の供給について「随意契約」も結ぶことができる取組みが広がっています。

 

資源エネルギー庁は、今国会提出の「電気事業法の改正案」において、災害等が発生した場合においても電力の安定供給を確保するために、送配電事業者(電力会社)に対して、「災害時連携計画」を策定し、経産大臣に届け出ることを義務付ける制度を新たに創設し、この計画の中に、電源車等の燃料確保に関する事項を盛り込む予定、と明言。「平時の燃料調達とセットにして、電力会社が災害等緊急時の燃料確保に万全を期すよう取り組みを促したい」との答弁をいただきました。

 

引き続きこれを後押しし、実現に結びつけていきたい思います。