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すでに報道されていますが、3月10日に政府の「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」の第2弾が発表されました。国内の感染拡大を防止し、経済への悪影響を最小化すべく、今年度予算の予備費も活用し約4000億円を投入。さらに企業の資金繰りをささえるため、特別貸付制度の創設などに総額1兆6000億円規模の金融措置を実施します(詳細は下記リンク先をご覧ください)。

 

新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 -第2弾-(概要):首相官邸HP

 

第2弾のポイントは次の4点。

(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備

(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応

(3)事業活動の縮小や雇用への対応

(4)事態の変化に即応した緊急措置等

 

 

私も10日、参議院経済産業委員会で質問に立ち、特に経済分野に関わる上記(2)(3)を中心に質問をしました。梶山経産大臣、中小企業庁、資源エネルギー庁、厚生労働省の各担当者から、第2弾の内容に基づいてご答弁いただきましたが、委員会直前の9日深夜、アメリカで株式市場が歴史的な大暴落となり、世界的な景気後退リスクが明らかとなりました。日本でも観光、飲食、製造業、商店街・百貨店、特に中小企業からは「これでは足りない」という声が出てくるのは必至です。質疑の中でも、それを強調しました。

 

大胆な経済対策を!

 

アメリカは翌日、トランプ大統領がただちに大型減税や中小企業支援策を打ち出しました。石油価格がバーレル当たり30ドル以下に急落した状況下では、相当大胆な対策を打たないと効果は見込めません。国情は違っても、そこの本質は変わりませんから、日本政府も、第3弾でこれまでにない規模の経済対策を打ち出していただきたい、と引き続き強力に働きかけていきます。

 

 

なお、もう2点、委員会質問で私が申し上げたこと。1つは、私が以前から強調している、中国に依存しすぎのサプライチェーンの再構築の必要性。梶山大臣も同じ認識で、「経産省としても、製造業者の意見をくみながら対応策を考えたい」と前向きにご答弁いただきました。ただし、実際には自動車メーカーのような大手企業でも再構築には大変なコストがかかります。税制や金融で、産業政策として支援していくことを提案しました。

 

もう一つは、雇用調整助成金と新たな休業補償について、自営業やフリーランスの方など、助成漏れのない休業補償を求めるとともに、申請はできるだけ簡素化して手間をとらせないようにお願いしました。すでに書類が多くて手続きが大変だという声が私のところにも寄せられています。厚労省も手続き負担を軽減すべきことは認識されていると確認できましたので、実現できると思います。

 

防災拠点「最後の砦」ガソリンスタンドも悲鳴

 

委員会では、エネルギー政策についても問題提起をしました。新型コロナの感染拡大と機を同じくして、原油価格の下落が日本経済に大きな影響を与えつつあります。特にガソリンスタンド(SS)は、「アゴラ」で何度か書きましたが、ただでさえSSの経営環境は厳しく、全国で1日に3件のガソリンスタンドが廃業していると言われています。しかも、ここにきて新型コロナ問題とのダブルパンチ。経営環境が一層厳しくなる可能性が憂慮されています。

 

少子高齢化や車の燃費向上によるガソリン需要の減少は、時代の趨勢として考えておかねばならないのでしょうが、東日本大震災をはじめとする大災害の際には、地元のSSがガソリンや灯油などの燃料を、病院などの重要施設に供給する「最後の砦」として機能するのです。

 

その意味で、いまやSSは公共的な存在であり、経営努力だけでいかんともしがたい部分については、「官公需」をはじめとする平時の調達で支える必要があります。ありがたいことに、各地の自治体が地元の石油組合と災害時の燃料供給協定を締結し、平時の供給について「随意契約」も結ぶことができる取組みが広がっています。

 

資源エネルギー庁は、今国会提出の「電気事業法の改正案」において、災害等が発生した場合においても電力の安定供給を確保するために、送配電事業者(電力会社)に対して、「災害時連携計画」を策定し、経産大臣に届け出ることを義務付ける制度を新たに創設し、この計画の中に、電源車等の燃料確保に関する事項を盛り込む予定、と明言。「平時の燃料調達とセットにして、電力会社が災害等緊急時の燃料確保に万全を期すよう取り組みを促したい」との答弁をいただきました。

 

引き続きこれを後押しし、実現に結びつけていきたい思います。

(「アゴラ」2020年2月14日掲載)

きのう(2月13日)夜になって新型コロナウイルスの感染拡大がさらに懸念されるニュースが相次ぎました。

 

横浜市内の80代女性がお亡くなりになり(国内初の死者)、さらに女性の義理の息子にあたる都内在住70代の男性の方の感染も明らかにされ、千葉県でも20代男性の感染が、また和歌山県でも医師の感染が判明しました。いずれの方も直近では中国への渡航歴はないといいます。

 

また70代男性はタクシーの運転手さんで、感染経路は調査中ですが、羽田で中国人のお客さんは乗せておらず、マスクをつけて乗務されていたそうです。

 

警戒レベルが一段と上がりましたが、先日も申し上げたように、とにかく手洗いの励行が一番大切です。こういう有事のときだからこそ、冷静に対処しましょう。厚生労働省の特設ホームページなどから最新情報もチェックしておきたいところです(参照:厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症について」)。

 

新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍総理(首相官邸ホームページ)

 

昨日には、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部から緊急対応策の発表があり、本年度予備費も活用し、本年3月までの緊急対策として153億円を投入することになりました(資料はこちら)。

 

感染拡大防止、水際対策の強化などが打ち出されましたが、ここでは経済対策について一言申し上げたいと思います。対策の中では、「影響を受ける産業等への緊急対応」として次の3点が発表されました。

 

①国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策
②観光業等の中小企業・小規模事業者対策等
③雇用対策

 

①は、訪日外国人にSNSを活用して正確な情報提供を行うとともに、日本国民の不安・疑問にお応えすべく、厚生労働省のコールセンターを充実します。報道によれば、すでに欧州では中国人、ひいては外見が似ているアジアの方に対する差別的な対応もみられるという残念な話もあります。東京オリンピック・パラリンピック開催への懸念につながらないようにする意味でも、国内の感染拡大防止とともに迅速かつ正確な情報発信に努めなければなりません。(東京オリ・パラについては、「準備に万全を期す」と明記されました。)

 

また、観光業等に関連して③の雇用対策から説明しますと、日中間の人の往来の急減により影響を受け、前年度の中国関係の売上が激減するなど一定の要件を満たす事業者を対象に雇用調整助成金(従業員の給与助成)の支給要件を緩和します。

 

②の中小事業者対策については、先日、自民党から政府にお願いしたとおり、観光業などですでに影響の出ている企業に対して必要な資金繰りなどの支援を行うこととし、日本政策金融公庫等に5,000億円の緊急貸付枠を確保しました。

 

 

 

主に自動車産業等において、日中間で部品や製品においていわゆるサプライチェーンが形成されていますが、これへの大きな影響が懸念されます。日産自動車は、中国からの部品調達が滞って九州の工場の操業を停止することになり、きのうの決算発表では、前年比約70%減の大幅減益の見通しを明らかにしました。トヨタ自動車も天津や広州など、中国4工場の操業再開を先送りしており、日本国内の工場でも一部生産ラインを止め始めています。

 

大企業でもこういう事態ですから、経営基盤の弱い中小企業への資金繰りなどの支援は喫緊の課題です。今回の緊急対策では、金融庁から既存の貸付先に対して、経営相談、必要な資金供給、既存融資の条件変更など適切な対応を行うよう促すことが盛り込まれました。サプライチェーン毀損等に対応するための設備投資、販路開拓に取り組む事業者に対し、ものづくり補助金等の支援補助金の優先的供与も行います。

 

こうした支援は中小企業を助けるだけの目的ではありません。たとえば自動車産業は、近年、「自動運転」等の先端技術を取り入れる等の変革期に入っていますが、部品が日中間を往き来する分業体制、多層的なサプライヤーシステムで成り立っている構造は大きく変わることはありません。

 

そしてその「生態系」の一定部分を中国で担い、あるいは日本国内の小規模企業で請け負っているわけですから、どこかが行き詰まると、ゆくゆくは大企業の足元を脅かすことになりかねません。自動車という基幹産業の盛衰は、日本経済全体の命運を決めるといっても過言ではないわけですから、このサプライチェーン毀損の問題は、日本にとって当面の乗り越えるべき大きな課題です。

 

自動車だけではありません。経産省に確認したところ、日系企業は数千社が中国各地に進出しており、自動車以外でも電子部品、建設機械、家電、医療機器など多岐に渡ります。サプライチェーンへの影響はこれからも注視し、さらに果断な措置を講ずるべく、私自身も積極的に働きかけていきたいと思っています。

中国で起きた新型コロナウィルスの世界的拡大がとどまるところを知りません。日本国内では昨日(2月6日)時点で25名の方々の感染が確認されました(参照:厚生労働省6日発表)。さらに今朝(7日)になって、横浜沖で停泊中のクルーズ船から新たに日本人21人を含む乗客41人の感染が確認されました(参照:NHKニュース)。

 

正しい情報と冷静な対処

 

東京、大阪の街を歩いていてもマスク姿の方が日に日に増えているのを実感します。まさに厳戒態勢の昨今ですが、まずは冷静になって、厚生労働省や自治体、感染症専門の医師などの発信を定期的にチェックし、正しい情報をもとに落ち着いて対処したいものです。厚生労働省のホームページにある「新型コロナウイルス感染症について」というページで随時情報が更新されていますので、参考にしましょう。

 

新型コロナウイルス感染症について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

 

私たち参議院自民党でもおととい(5日)、独立行政法人・地域医療機能推進機構理事長の尾身茂先生をお招きして危機管理に向けた勉強会を開催しました。尾身先生は、WHO西太平洋地域事務局の感染症対策を担当されたご経験もあります。

 

自民党としてもこうした専門家の知見を踏まえ、政務調査会で、すみやかに政府への提言を作成し、岸田政調会長から安倍総理に本日(7日)申し入れをいたしました。

 

首相官邸ホームページ

 

提言書の内容は次の10項目です(カッコ内は補足)。

 

1.      水際対策の徹底

(検疫や健康監視の体制強化、湖北省についての入管法5条に基づく入国拒否措置の迅速かつ機動的運用)

2.      国内の医療提供体制の整備

(新型インフル当時に設置した発熱外来のような仕組みなど)

3.      検査体制の整備と検査キットの開発

(迅速な検査キット開発に向けた官民一体での取り組み推進など)

4.      帰国された方々や在日中国人の方々への適切な対応、希望者の全員帰国

5.      ワクチンや治療薬の開発促進等

6.      感染予防、迅速かつ的確な情報提供、リスクコミュニケーションの徹底

(正確な情報の迅速な発信、十分なコールセンター設置による不安の解消など)

7.      旅館等中小企業対策

(キャンセルが相次ぐ観光業をはじめ、中小企業向けの緊急資金繰り対策など)

8.      感染症対策の政府内の体制整備

(官房副長官補の元に置かれている感染症対策部局の統合・格上げなど)

9.      感染症対策の強化

10.    国際連携のさらなる強化

 

党としても、政府に対し、今後のさらなる変化を見据えながら、緊急度に応じて順次、早急に具体化していくことを求めて参ります。

 

インバウンドへの悪影響についての対策

 

提言の7で中小企業対策を求めていますが、今後は、経済への悪影響を最小限に食い止めねばなりません。

 

近年、絶好調のインバウンドに支えられてきた大阪でも、今回の影響は目にはっきり見えてきています。先週の日曜日(2月2日)お昼頃のなんばに立ち寄ると、人混みでいっぱいだった高島屋前交差点もガラガラ(写真)。黒門市場では、練り天の天ぷらやさんが「お客さんはいつもの日曜の4割くらいや」とおっしゃっていました。

 

 

中国からの観光客は、大阪に来られる外国人観光客の4割を占め、2番目に多い韓国人の倍と際立って多い存在です(※大阪観光局推計)。大阪から足を伸ばして京都に宿泊する外国人観光客の国籍をみても、中国は4年前に台湾を抜いて最多となり、2018年の時点で3割近く。この時点でも台湾の倍となっていました(※京都市観光協会調べ)。

 

振り返れば、大阪では2年前の9月に大型台風が直撃し、関空が一時閉鎖した際も甚大な影響が出ました。私もあの時は黒門市場を訪れて、いつもではありえない閑散とした様子を目の当たりにし、お店の方々の悲痛な訴えを拝聴し、関係機関に周知、調整をしました。

 

中期的にはインバウンドの多様化を

 

ただ、あの時は、私が知事時代に大阪の皆さんと建設に心血を注いだ第2滑走路が生きていたことで立ち直りも早かったのですが、今回の新型コロナウィルスの問題は見通しが全く立っていません。

 

まずは水際対策、感染拡大防止をしっかり行った上でのことですが、国内の大阪観光需要の掘り起こしも重要です。観光での消費額は、訪日外国人の4.8兆円(2019年・観光庁速報値)に対して、日本人観光客は21.6兆円(2018年・観光庁統計)と、まだまだ格段に高いのです。春休みや卒業旅行シーズンにまで響かないことを祈りますが、状況が許すのでれば、まだ大阪やUSJに来たことがない高校生や大学生の皆さん、いかがでしょうか。

 

一方、中長期的には、インバウンドの多様化を進めることが今回の教訓になったと思います。幸いにも大阪は2025年に万博を控え、国際的な注目度が上がっています。近年のインバウンド好調の理由は、アジアからのLCCで来られる観光客の増加でしたが、今後はヨーロッパや南米、あるいはこれまで中国に向かっていたタイなど、東南アジアからの訪日客を増やすことなど、多様な地域にもっと働きかけていくべきと考えます。

 

目の前の感染症対策に万全を期しつつ、景気動向にも目配りして必要な対策を果断に打っていきたいと思います。

通常国会開会に先駆け、1月中旬の10日間、宇都隆史先生と鈴木宗男先生(日本維新の会)とご一緒に、ODA(政府開発援助)事業の視察で、タンザニア、ウガンダ、エチオピアの東アフリカ3か国を訪れました(地図も貼っておきますね)。私にとっても人生初のアフリカ、「百聞は一見に如かず」を実感した視察でもありました。

 

Google マップを事務所

インフラから米作りまで

 

まずは、3か国で視察した主な内容を駆け足で振り返りましょう。

 

◆タンザニア

 

最初に入ったタンザニアでは、空港からホテルへの途上、日本のODAで造られた立体交差の道路を通りました。大渋滞が解消されて、現地の方々に大変喜ばれているそうです。

 

翌日は、日本のODA支援により運営されている産院を視察。

日本から指導医師や看護士も派遣され、安全な分娩や乳児死亡率を下げる実績の中で、日本発の管理システムである『KAIZEN』が活用されていました。

 

ハードのみならずソフトでの支援は「本当に役立つ支援を!」という日本の姿勢の表れといえます。

 

また、いくつかの学校も視察。

NGOが行う草の根の協力として、『タンザニア甲子園』と名付けられたグランドの整備が、大阪北ロータリークラブの支援で行われています。

 

 

 

女子寮を作ったさくら女子中学校では、女子生徒達が母国の国家と「君が代」を歌って感謝の意を表してくださり、思わず胸が熱くなりました。

 

 

タンザニアでは、通学中に女子学生が性犯罪に遭うケースも頻発しており、女子教育には寮が不可欠なのです。

 

◆ウガンダ

 

ウガンダでは、首都カンパラ市内に建設されたクィーンズウェイ変電所改修現場を視察。電力需要急増で停電も頻発しており、無償資金協力の形で首都圏の電力供給を安定化させる施設です。

 

有償資金協力として展開されているウガンダ北部のナイル架橋の現場も視察。こちらはナイル川対岸のケニアと結び、北部回廊として通行・物流を大きく円滑化するためのインフラで、その中核として2年前に完成した「ナイル川源流橋」の勇姿を視察しました。

 

 

現地の方々のにぎやかな歓迎行事で迎えられ、橋を歩いて渡ると、既に観光名所にもなっているらしく、何人かの外国人の姿を目

にしました。夜はライトアップされるそうです。

 

 

ODAはインフラだけでなく、食糧生産向上にも貢献しており、「米生産性プロジェクト」の現場では、コンゴからの難民にも稲作を指導しているとのことでした。

◆エチオピア

 

最後に訪れたエチオピアでは、エチオピア銀行経由で日本からの融資を受けた(ツーステップローン)女性実業家の方の追加的な支援要請を受けています。日本流の“KAIZEN運動”に成功した製靴企業は、ほとんど日本の中小企業に近い形態になっており、これからは輸出7割を目指すと意気軒昂でした。

 

 

否応なしに高かった中国のプレゼンス

ウガンダでは、ムセベニ大統領とお会いした際にナイル川源流橋のことに触れられ、「この架橋への日本の支援に感謝するとともに、より広い交易と発展への一層の協力を期待する」との言葉をいただきました。行く先々で現地の人々からも、日本に好意的な反応をいただきましたが、そうした一方で、現地で支援する日本人の皆さんも、中国人と間違えられることが多いと聞きました。それだけ、「アジアといえば中国」になりつつあるということだと思います。

 

ウガンダでは建設中の高速道路も見かけたのですが、それも中国の支援によるもので、しっかりそのことが道路のど真ん中に掲示してありました。行く先々で、中国のプレゼンスが否応なく高まっていることを実感したところです。

日本側の施設は、日本の支援で作られたのかどうか一目でわかりづらいことも多いのですが、中国側は、現地の人たちに向けたプレートを設置するなどして、現地民へのアピールに余念がありません。

 

今回の視察にあたって、私自身は、中国の「一帯一路」戦略(東アフリカはその西端)をにらんで、日本の支援の効果をどう最大化するべきなのかということに問題意識を置いていましたが、現地の状況は私が想像していた以上に進んでおり、危機感を募らせました。

 

「一帯一路」は周知の通り、アジアとヨーロッパを結ぶ貿易ルートを発展させる構想ですが、中央アジアを通る「陸のルート」に対し、今回訪れた東アフリカ地域は「海のルート」。そして後者は、日本にとっては通商上極めて重要なシーレーン(石油等を運ぶ海上交通路)にも重なります。

 

画像は通商白書2017より

 

実際、一帯一路戦略の流れで、日本のシーレーン沿岸の重要な港湾などのインフラを、中国政府の影響下にある企業に抑えられる動きも続出しています。このことは、我が国のエネルギー安全保障の観点からも無視できません。

「規模」では勝てない日本はどうする?

中国は、一昨年だけでもアフリカに600億ドルの投資を表明しています。支援対象によっては“高利貸し”ともいえる巨額の貸付をして、相手国が返済不能になるや港湾などの重要インフラを、中国政府の影響力下にある同国企業が長期で借り受けるという「債務の罠」への警戒論が欧米では強まっています。

 

これに対し、日本は冷戦終了からまもない1993年から、アフリカ開発会議(TICAD)を3〜5年おきに開催するなど、先進国の中では早くからアフリカ支援に取り組んできました。

 

昨年8月に、横浜で開催された第7回TICADでは、アフリカ54か国のうち53か国が参加(首脳級参加は42か国)。安倍総理がエジプトの大統領と共同議長を務め、総理からは参加国に対し、過去3年で200億ドル規模だった民間投資をさらに拡大し、産業人材の育成やイノベーションと投資を促進する方針を表明しています。

 

それでも、日本は、ODA総額がピーク時の1兆円(1997年)から半減したまま推移しているのが現状。残念ながら日本の支援は、こうした財政的な制約も受ける中で、中国に対して金額ベースでは太刀打ちできなくなっています。しかし、「規模」を追い求めるのではなく、「品質」であれば、日本はまだ勝負できる。

 

今回の視察でもそのことを実感したのが、現場にあたる日本らしい目配りの聞いた人材の質の高さです。

現地ニーズにきめ細かく応じるヒトの力

ODAは、支援先の国民性など強みを見極める目利きと、現地事情に合わせた支援を提供することが成否を決めます。たとえばアジア諸国は器用な人たちが多く、ものづくり支援にスムーズに比較的適応しやすいのですが、アフリカ諸国では長らく戦乱が続いたこともあってか、手先を使った細かい仕事が得意でない方が多いようです。そこで農村やものづくりの職場で働く方々には、粘り強く懇切丁寧な指導が必要なわけです(ちなみに男性より女性のほうが真面目にスキルを身につけようと努力して上達も早いそうです)。

 

そうしたなかで、ウガンダでの夕食会では、国連やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)・JICAの専門家など日本の若い方々の生の声を直接お聞きしました。今や派遣人員の半分以上が女性で、治安の悪い地方にも女性の皆さんが赴任してがんばっているそうです。

 

皆さん頼もしいだけでなく、現地の人々の輪に溶け込んで、心の通うきめ細かな支援をしていて大きな感銘を受けました。農業支援の中でコンゴからの難民の自立支援を息長く続けておられるUNHCRの女性の話は、特に印象に残っています。

 

そうした一方で、私は、日本のインフラ支援は質にこだわりすぎて、良くも悪くも「オーバースペック」になっているのではないかと思っています。

 

橋の上に悠々とそびえる巨大な構造物をみていると、「洪水対策などで技術的に実際に必要なのかもしれない」とも思いつつ、現地の交通事情に基づいた水準が「7」のレベルであれば、いまは「10」のレベルで作り込んでいるインフラも、「7」に合わせることで数の方を増やせるのではないか…。

 

 

このあたりは技術素人の私の所見なので、今後専門家の意見も聞きながら、引き続き検証したいと思いますが、中国に対抗して品質で勝負するなら、コストパフォーマンス重視の筋肉質な支援策を再構築すべきではないでしょうか。

皆さんのご意見を拝聴したいと思います。

悲願の未婚ひとり親寡婦控除実現!

 

昨日(12月12日)、自民党税制調査会で、年間所得500万円以下の未婚のひとり親にも寡婦(夫)控除を適用し、税負担を軽減する方針が決定しました。

 

これまでの寡婦(夫)控除制度は、離婚か死別したひとり親にのみ適用され、いわゆる未婚のシングルマザーには適用されていませんでした。母子世帯の平均年収(2017年度厚労省調査)は243万円です。それら母子世帯の中でも「未婚」の場合は若い女性が多いこともあって、「離婚」や「死別」した場合と比べて収入が低い傾向が、支援するNPO団体などから指摘されてきました。また、厚労省の調査では、「未婚」は「離婚」と比べて養育費について取り決めている割合が少ないことも判明しています。

 

それにもかかわらず、未婚のひとり親は控除が受けられず、税負担が重いままの不公平な状態が続いてきたのです。同じひとり親として、経済的に苦労して子どもを育てているというのに、婚歴の有無だけで税負担に差があるというのは、実に理不尽なことだと思いませんか?過去にも改正を求める意見が党内外にありましたが、伝統的な家族観を重視する自民党の男性議員を中心に「事実婚を奨励しかねない」という反対論が根強く、改正が実現しませんでした。

 

しかし、今回は、稲田朋美先生をはじめ、私たち女性議員有志で3月に結成した「女性議員飛躍の会」を中心に、早くから各方面に要望書をもって働きかけを行い、党内の賛同議員数は実に140名を超えていたのです。必至で子育てをしているシングルマザーを助けたい、という思いは、望んだのに子供に恵まれなかった私には、より強く響きました。

 

11月中旬、女性議員の会一同で、菅官房長官、甘利税制調査会長に要望書を手渡し、さらに与党内でも公明党が賛同してくださったことも追い風になりました。

 

 

それでも、伝統的な婚姻関係や家族観を重視される男性議員の皆さんの懸念が示される場面は多くありましたが、当事者の未婚のひとり親の皆さんだけでなく、数多くの方々から励ましの声に支えられ、最後は「山が動いた」のです。応援してくださった皆さまに心より感謝申し上げるとともに、女性議員の力が合わされば、政策を変えていける、という自信にもつながりました。

 

それでもフランスの背中は遠い

 

一方で、寡婦控除制度の改正は、「社会で子どもを育てる」という目指すべき方向性においては“通過点”に過ぎません。

 

私が本音を申し上げずとも、ほかの先進国の取り組みと比較して、我が国はまだまだ足りない実状を皆さんご承知のことと思います。実際、子育て支援などの家族関係社会支出を対GDP比でみると、日本はフランスの4割、イギリスの3割ほどにしか過ぎません。

 

内閣府ホームページより

 

フランスが1.6に下がった出生率を、「国難として何とか2以上に引き上げよう」と取り組んだ政策はよく引き合いに出されます。70年代に合計特殊出生率が2.0を割ってから、家族手当などの経済的支援に加え、90年代以降は保育所整備などを充実。企業による保育参入の促進や、一般の母親への託児資格の付与と社会的地位の向上、学童保育の充実、妊娠・産休・育休、あるいは子どもが増えた時の多種多彩な家族手当など、あらゆる支援策を展開してきました。

 

今では児童手当も含めて30種類の手当(!)があるそうで、生活が苦しい世帯だけではなく、一般世帯全体まで対象にしています(参照:内閣府ホームページ)。こうした「努力」が、2000年代半ばでの出生率2.0の回復を実現したのです。

 

ちなみにフランスの出生率回復というと、「移民が多いから」とか「日本と違い婚外子差別がないから」と、日本との違いを指摘する向きがあります。たしかに外国籍の女性の出生率は3.0を超えているそうですが、これも出産適齢期の出生数の7%を占めるくらい。またフランス国籍を持つ移民女性の出生率は2.1なので、国全体の動向と大差はありません。婚外子については、1999年に事実婚制度が導入されてはいますが、出生率が上がり始めたのはその前からのことで、専門家の話では、出生率回復と事実婚制度との因果関係は、未だ不明とのことです。

 

公費以外に企業負担が財源に

 

もうひとつ政治的な誤解もあって、「フランスの手厚い支援策は社会党政権時代のものだ」という指摘もありますが、過去30年あまり、政権が変わっても一貫して子育て支援のための政策は充実されてきました。

 

また、「そんな財源は日本にない」との反論もよく聞きますが、フランスでは公費以外に民間資金が活用されてきたことをご存じでしょうか。先述の充実した家族手当は、家族給付全国公庫(Caisse Nationale d'Allocation Familiale = CNAF)が、運営しています。母体となる「家族手当保証金庫」は1918年に企業が出資する形で創設。1932年には雇用主の金庫への加入が義務化され、戦後1946年にCNAFが設立されました。

 

こうした歴史を踏まえても、政権云々という話ではなく、まさに国家的取り組みとして一貫して行われてきたことがわかります。そしてここが肝心なのですが、CNAFでは財源の45%を、企業が社会保険の一部として負担していることです(2012年)。

 

大企業の内部留保を人材投資に

 

ところで、日本の足元を振り返ると、日本企業の内部留保は7年連続で過去最高を更新する463兆円(現預金240兆円)となり、これをどう動かして成長につなげるかということが課題になっています。日本にも既に、「子ども・子育て支援勘定」というものが年金特別会計の中にあり(事業主からの拠出金及び国庫負担金を主な財源として児童手当の給付等を行うもので、令和元年度は3兆円規模)、私は従前よりこの勘定を大きくして、子育て支援を充実すべき、ということを主張してきました。

 

企業資金を子育て施策に拠出する案といえば、小泉進次郎さんたち若手議員が以前、こども保険を提言したことがありましたが、企業側の反発で立ち消えてしまいました。しかし、今年の出生数が90万人を割る(!)など、そもそも少子化はどこかの国のミサイル以上に顕在化している「国難」です。企業にとっても、すでに人手不足で働き手を確保できない弊害が出るなど、このまま行くと、遠くない将来、自社の商品を買うお客さんも、自社で働いてくれる従業員もいなくなってしまうのではないでしょうか。

 

社会で子どもを育てることは決してコストではなく、「人材投資」です。これほど重要な「社会的投資」がほかにあるでしょうか!

臨時国会も残すところ2週間となりました。台風災害を受けた補正予算編成、日米貿易協定の承認をはじめ、国内外の難題が山積しているなかで、桜を見る会の騒動に終始しようとする野党側の対応にはあきれております。

 

すでに安倍総理が来年度の会の中止を決定されました。もちろん疑義を持たれるようなことがないよう運営の見直しはしなければなりませんが、内閣委員会で討議すべきことで、重大な国政上の課題を論じるべき予算委員会をスキャンダル追及の場にしてしまう悪弊は、どうにかならないものでしょうか。

自衛官の初任給引き上げ案

陸上自衛隊サイトより

 

野党側の対応で困惑したことといえば、自衛官の初任給を引き上げる防衛省職員給与法の改正案を可決した際、日本維新の会だけが反対したことが挙げられます。政府の安全保障政策でことごとく対立している共産党ですら賛成に回った中でのことです。

 

今回の改正案は、初任給を、任期制の自衛官候補生は月額8600円増の14万2100円に、定年まで雇用する一般曹候補生は、9300円増の17万9200円にそれぞれ引き上げるものです。この「初任給」というところがポイントで、折からの少子化と人手不足により、自衛官の採用がうまくいっていない状況が背景にあるのです。

グラフは東京新聞より引用

 

自衛官候補生の採用は、2013年度こそ「充足率」が100%超、つまり採用計画を上回る人員を確保できましたが、その後の充足率は落ちこんでいます。特に2年前に8割を切ってから、減少傾向が加速しており、危機的といえる状況なのです。

防衛省も、採用の上限年齢を現行の26歳から32歳に引き上げ、女性隊員の配置制限撤廃・活用などの対策に手を打っていますが、現場の一線を担う若い隊員の充足率低下に歯止めがかかっていません。

 

このまま行くと、近い将来、PKOなどの海外展開に人員を割く余裕がまずなくなるという悲観的な意見も出ています。そうなれば、日本の国際的なプレゼンスの低下につながります。

わかりにくい維新の反対理由

それでも、維新はなぜ反対しているのでしょうか。実は、維新は、これまでにも自衛官の給与引き上げに反対しています。維新というと「身を切る改革」=「公務員待遇切り下げ」を思い浮かべてしまいますが、さすがにそこは否定しているようで、過去の反対討論の内容などによれば、

 

・自衛隊の待遇改善のために、人員の増強を図ることで、自衛隊員の個々の負担を減らし、また、その仕事の危険度にあわせた危険手当を増やすことが重要。

 

・ほかの公務員と同じく人事院勧告に基づいて、自衛隊員の給与査定が経済で左右される民間給与に左右されることはあってはならない。

 

要は、自衛隊の待遇改善には賛成だが、公務員の給与制度を抜本的に改革しないから反対ということのようです。

 

しかし、自分たちの理想を言いたいがために、目の前にある自衛官の人手不足の危機を後回しにするような姿勢はいかがなものでしょうか。音喜多議員のブログによれば、維新内部でも「自衛隊員の給与法案だけは賛成でも良いのではないか?」という意見が一部の議員から挙がっていたようですが、結局、最終的には自分たちの政治姿勢を示すことを優先されたわけです。

 

維新の議員は、ほかの野党と比較して「自分たちは揚げ足取りだけの万年野党とは違う」と、よくアピールされますが、この自衛隊給与に関する対応については、どこが違うのでしょうか。

 

10月の台風19号で救助活動中の陸自部隊(陸自ツイッターより)

外交・安全保障の見識は、一朝一夕に身に付かない

引き上げ法案は、日本の安全保障に影を落としている隊員不足の危機をなんとかしなければならないという「政治的なメッセージ」にもなります。それは自衛官の皆さんはもとより、国民、そして自衛隊の動向をにらむ周辺諸国にも伝わっていくことを考えると、全会一致で決議してもよい重い問題です。維新の姿勢は内外への間違ったメッセージにもつながりかねません。

 

振り返れば、今年は維新の外交・安全保障感覚を疑う事態が相次ぎました。5月には、当時所属していた丸山穂高衆議院議員が北方領土を訪問中に、戦争をしないと領土を取り返せないという趣旨の暴言を放って国際問題になりました。

 

その直後には、党幹部がロシア大使館に謝罪に訪れたことも波紋を呼びました。領土問題は複雑な歴史的・外交的な要素もあるわけですから、ただちに謝罪してしまえば、かえってロシア側の思う壺になりかねず、慎重を期するべきだったと考えます。

 

政権担当能力、特に外交・安全保障の見識は、一朝一夕に身に付くものではありません。やはり今の与党以外に総合力を備えたところはないのではないでしょうか。最近の政治ニュースをご覧になった有権者の皆様から、私自身も地元で厳しいお言葉をたまわりますが、それもまた政権を託していただいている責任の重さだと噛み締める日々です。

 

※ 2019年11月26日「アゴラ」掲載原稿

自民党本部で本日、台風19号非常災害対策本部が開催されました。

 

すでに安倍総理が、被災直後から激甚災害指定への動きを指示。17日には、被害の大きかった福島、宮城を、20日に長野を相次いで訪問され、迅速に動いてこられたところです。

 

本日の会合では、二階幹事長、岸田政調会長のお二人とも「スピードが大事だ」と強調されるとともに、国土強靱化、防災に向けての政策をバージョンアップすると明言。補正予算についても、二階幹事長は「財政当局は先頭にたって復興を推進すべき」、岸田政調会長も「規模感を持って実施すべき」とおっしゃいました。

 

国土強靱化、防災対策のバージョンアップというのは、現状復旧だけでなく、さらに強靱な国土を作るために改良復旧をするということ。例えて言えば、豪雨について80ミリを前提にするのではなく、100ミリあるいはそれ以上を前提にしてインフラの災害対応能力を強化するということです。

 

「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」も見直しを行い、規模と延長を含め、検討すべきと考えます。

 

世耕参議院幹事長も、先の代表質問で、台風15号の千葉県の停電について次のように述べられました。

「人口密度が低く迂回して送電できるネットワークがないエリアで、停電が長期化しました。経営コストを下げ、料金を下げれば消費者は喜びます。そのためにはインフラ投資は当然最小限に抑えられます。しかし、それ一辺倒で本当に消費者のためになるのか。我々はもう一度しっかり考えなければならないのではないでしょうか。」

 

今こそ、「コンクリートから人へ」や、必要以上の「身を切る改革」といったポピュリズムではなく、またムラの内輪の論理でもない、バランスのとれた、そして長期の視点に立ったインフラ投資を進めるための政策をつくり、実行していくべきではないでしょうか。

 

 

猛威を振るった台風19号。9月に襲来した15号のつめ跡が残る千葉県の直撃こそ回避できたものの、長野県の千曲川、東京都の多摩川などが氾濫し、全国で70名を超える方がお亡くなりになられました(16日時点)。亡くなられた皆様に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 

連休明け、自民党本部で災害対策本部が開かれ、政府に対して、まずは人命第一で救助活動を優先すること、被害状況の把握、被災者の生活再建、産業の復興に速やかに取り組むことなどを求めることで一致しました。

 

◇八ッ場ダム再評価の動き

 

さて、今回の台風をきっかけに、ダムや堤防などインフラの重要性を再評価する声が高まりつつあります。特に、八ッ場ダムが象徴的。来年春からの開業を前に、101日に試験湛水が始まったばかりのこの時に本領発揮となりました。台風で一気に満水近くまで水をため、下流域の治水に効果があったとして、再評価の声が高まっています。災害本部の会合でも、地元群馬の小渕優子先生がそのことに触れると拍手が湧き起こりました。また、16日の予算委員会でも、赤羽国土交通大臣から、八ッ場ダムについて、「利根川上流の6つのダムの合計治水容量は約1億1,000万㎥であるが、八ッ場ダム1つで、その6割に相当する6,500万㎥の治水容量を有する」旨のご発言もありました。

 

総事業費は、昭和61年(1986年)の基本計画決定時が約2110億円。発電機能を追加するなど、5回の基本計画変更を経たことで約5320億円にまで膨らんでしまい、これまでご批判も多くありました。

 

あくまで歴史的な事実の振り返りとして申し上げると、ダム建設中止を公約にした民主党政権が誕生したのがちょうど10年前。当初は中止の方向で動くものの、地元自治体の中止反対、事業の再検証などと紆余曲折があった末、野田内閣の時に建設を再開。最初の計画発表から70年近くを経て、2020年に完成予定というところまでこぎつけたのです。

 

もちろん、今回の台風時の治水で八ッ場ダムの試験湛水がどこまで機能したのか、さらに専門的な検証は欠かせません。ただ、重要なのは、近年の大規模災害をきっかけに、多くの国民にとって日常生活では目に見えづらいインフラの存在がクローズアップされ、冷静にその機能を考える機運が生まれようとしていることです。

 

◇私も苦渋した“公共事業バッシング”

 

振り返れば、2000年代は公共事業バッシングの時代でした。私が大阪府知事を務めていた十数年前もそうした空気が根強く、関西空港に2本目の滑走路を作る二期工事にも「無駄だ」「不要だ」という大逆風が吹き荒れました。

 

しかし、関空のような西日本の大動脈インフラで、滑走路が1本しかないのは、24時間化しないという意味で非常に危ういことです。何より、発着便数を増やしてヒト、モノ、情報がより多く出入りするようにしなければ、関西一円の経済活動を発展させられない。ただ、その一心で政治生命をかけて、当時の扇千景国交大臣にお願いし、20077月、なんとか二期工事は完成できましたが、それでも当初は不評が続きました。

 

その後、インバウンド(訪日外国人)の増加を支える拠点となった他、その効果が防災面で「見える化」されたのが、昨年9月の台風の時。1本の滑走路が冠水しても、2本目が生きていたことで早期復旧に大きくつながりました。私が知事を辞めてから10年以上経って、災害対応を含め真の評価がなされたと感慨深く思っています。

 

前回書きました電力自由化のリスクもまさに同じことで、インフラ投資が目減りすれば、電力の安定供給に支障をきたしかねません。そして、今回、ダムやスーパー堤防などの役割が見直されようとしていることは、防災・減災、国土強靱化を進める上で、大変大事な視点だと考えます。

 

◇吉野さんのノーベル化学賞受賞が示唆すること

 

ムダを削る、コスパが大事…経済の右肩上がりが望めなくなった社会では、確かに効率的な発想が現実問題として重視されることになります。しかし、平成の後半、そうした風潮が行き過ぎ、未来を見据えた投資まで削ってしまったのではないでしょうか。特に大阪ではこの10年、「身を切る」ことが最優先され、もてはやされてきたのが懸念されます。

 

折しも、大阪市出身の吉野彰さん(旭化成名誉フェロー)が、リチウムイオン電池開発の功績で、今年のノーベル化学賞を受賞されました(おめでとうございます!)。これまでの化学賞の受賞者は大学の研究者が大半でしたが、吉野さんが企業の研究者だったことで、日本企業のR&D(研究開発)に注目が集まりつつあります。

 

日本企業全体の内部留保は2018年で463兆円と、7年連続で最高額を更新し続けてきました。一方で、総務省の科学技術研究調査によれば、企業の研究費は137989億円(2017年度)。リーマンショック後の2009年度に12兆円を割り込み、ようやく2008年度(136345億円)の水準に押し戻せたところです。デフレの長期化の中では仕方なかったとはいえ、この10年、中国のめざましい成長を考えても、失ったものは時間だけではない気がしています。基礎研究、応用研究などのあらゆる段階で、税制をはじめとして研究開発のあり方を抜本的に見直すべきではないでしょうか。

 

政治、経済から日常生活に至るまで、「身を切る」ことが美徳とされ、『改革=削減』としてきた時期から、ここへ来て、令和の新しい時代、潮目の変化を感じているところです。

 

 

 

台風15号の直撃から半月が経とうとしています。

被災された首都圏の皆さまに、あらためてお見舞い申し上げます。

 

 特に千葉県では大規模停電となり、被害の大きかった中部、南部を中心に停電が長期化しました。まだまだ暑い日が続きます。台風が通過した9日以降、これらの地域では熱中症の搬送者が全国最多にのぼり、停電でエアコンが使えなかったことが原因とみられています。

 

 先ごろ、千葉県の森田健作知事からの要請を受け、安倍総理が激甚災害に指定する方針を表明されました。首都圏では近年にない台風被害となり、行政の対応の遅れも指摘され批判も起きていますが、まずは目の前の被災に対し、関係機関が全力で復旧作業を行い、支援の輪を広げることが肝要です。

 

 さて、今回の大停電が長期化した原因として、房総半島の丘陵地を中心に倒木が多く、現場に復旧作業に向かうことが大変難しくなったと地元や専門家からの指摘が相次いでいます。

 

(参照記事)

千葉大停電の遠因か。倒木処理の難しさと山武杉の悲劇を振り返る(田中淳夫) - Y!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20190917-00142951/

 

 昨年9月、台風21号の直撃で発生した大阪・関西の停電は、最大で168万件と今回の千葉の最大時の倍の規模でしたが、5日後には99%が復旧しました。

  

 一方、直後に北海道胆振東部地震に端を発し、道内全域を襲った大停電は、道内最大の火力発電所が震源近くにあり、運転を停止。もともと本州からの送電も含めて微妙な需給調整をしていたところを直撃された形となり、連鎖的に他の火力発電所も止まったことが原因でした。

 

それでも、経産省と北海道電力の昼夜を徹した努力により、2日と経たずに地震前の最大供給量の9割の電力を回復。その後も道民の皆さまにも節電へのご協力をいただいて早期に復旧への目処が立ちました(完全復旧は104日)

 

 今回の千葉の停電は、たしかに北海道や関西のケースとは異なる点も多くあるかもしれません(参照:関西電力『台風 21号対応検証委員会報告)、森林地帯が多いという地勢の問題もあったことでしょう。

 

 しかし、電力業界全般の経営環境に目を向けてみると、インフラへの投資が縮小傾向にあることは事実として直視したいところです。

 

 経済産業省の調べでは、一般送配電事業者に指定されている日本国内10の電力会社の投資額は、1993年をピーク(2.5兆円程度)に減少に転じ、最近はピーク時の3分の1程度に激減してしまいました。

 

 

 送配電設備の老朽化が著しいことを考慮すると、本来、投資額は少なくとも2010年以降増加していなければならないと考えられます。それでも減少傾向が続く要因として、電力自由化があると、私は考えます。

 

 電力自由化は20003月に開始。大規模工場や大型の商業施設、オフィスなどの大口の買い手が電力会社を選ぶことができるようになり、20044月と054月には中小ビルや中小規模の工場にも拡大しました。そして、20164月の全面自由化で、一般家庭や商店といった小口ユーザーも任意で電力会社を選べるようになりました。

 

 そもそも自由化の議論が起きたのは、バブル経済の崩壊後に、各地域で独占的な地位にあった電力会社10社について、高コスト構造や海外との価格差が指摘されたことに始まります。「競争原理の導入による経営効率化を促すべき」との世論も巻き起こり、1995年の電気事業制度改革で、まず発電市場に競争入札制度が導入されることになりました。

(参照:国立国会図書館『電力自由化の成果と課題欧米と日本の比較―)。

 

 自由化により、ユーザーの選択肢が増え、新規参入(新電力)も加わって電力会社同士の競争が起きて市場全体が活性化するという論理はうなずけるものですが、送電部門のみは既存の電力会社に100%まかせるという考え方は、既存10社の立場になってみれば、(使用料をもらっているとはいえ)わざわざライバル業者の「商品」を届けるために、送電設備に投資しようという意欲がわかないのも、市場原理から考えて、また当然といえるのではないでしょうか。

 

 2020年には、いよいよ電力会社の発電部門と送電部門の経営を分ける「発送電分離」がスタートします。昨年の北海道の大停電の直後、自由化に長年前向きだった日経新聞ですら、社説で「分離後の供給責任を負うのは送配電会社だ。発電会社は新規参入する事業者を含め、自らの利益最大化のために動く。そうなると、(送配電部門の)投資が進まなかったり、特定の地域や発電方式に偏ったりする可能性がある」と懸念しています。

 

 自由化の先頭を切っていたアメリカでは2000年、カリフォルニアで歴史的な大停電が発生しました。そうした先例を踏まえて、日本では、電力広域的運営推進機関を設立し、電力の安定供給に支障が生じたときの「もしも」に備えてはいるものの、電力は、経済、生活、そして命に関わる大インフラです。効率性や市場原理だけで自由化が進んでしまうと、利便性や低価格化というメリットの中に、思わぬリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。

 

 104日には、内閣改造後初となる臨時国会が召集されます。長期的視点から今回の大停電の根本原因を究明し、再発防止につなげることが政治の役割。経済産業省も、今回の千葉県の停電が復旧を果たした後には、こうした議論を始めるとのこと。大いに期待したいと思います。

 

   8月末に6日間、自民党から中国とネパールに海外視察に行かせていただき、女性活躍推進の実状をつぶさに観てまいりました。自民党女性議員有志よる「女性議員飛躍の会」から、稲田朋美先生を団長とする総勢6名の“軍団”が元気よく北京、杭州、広州、カトマンズを廻り、タイトなスケジュールでしたが、「百聞は一見に如かず」! やっぱり、日本のジェンダー・ギャップ指数が世界で110位、先進国中最低というのもうなずける、と実感したところです。

 

 中国では、外交部や中連部(中国共産党中央対外連絡部)、地方政府の要人、日本企業の中国進出を支援する弁護士事務所、広州トヨタなどを訪問し、米中貿易問題などを含め、幅広く意見交換を行いました。中国共産党の幹部は、中央政治局常務委員7名をはじめとする幹部(政治局委員18名含む 計25名)の中で女性はただ一人(孫春蘭・国務院副総理)。これは、私が経産省に入省したての1980年頃と変わっていませんが、地方議会の幹部には、例えば、広州市の李玉妹・広東省人民代表大会常務委員会主任(議長)や、杭州市の梁黎明・浙江省人民代表大会常務委員会副主任(副市長)のように徐々に女性の幹部が登場してきています。ただ、法曹界は司法試験の合格者が半分以上を占めるなど、高度な専門分野で女性進出が進んでいるのに比べると、政治がまだまだ男性の世界であることは、日本と変わりません。

 

圧巻は、なんといっても、オンライン・マーケット界の最大手、アリババのジャック・マーCEOにお会い出来たこと、そして、彼の理念に共鳴できたことです。近々、CEOを退任し、社会貢献のために第二の人生を送ることを公言しておられますが、その理念とは、
①ベンチャーの育成、②教育の充実、そして ③女性活躍推進、の3つ! 
多様化こそが企業を成長させる原動力になるというわけです。①と②は誰でも言うことでしょうが、③は、少なくとも日本では彼の理念としてあまり認識されていません。

アリババは全世界に12万人の従業員がいますが、そのうち女性の占める割合は49%(ジャック・マー会長の講演では、最近アリババが他社の買収を行った結果、34%に下がったそうですが)! 役員にも、CFO(最高財務責任者)、CHO(最高人事責任者)B 2 B事業部総裁、アリママ総裁(インターネット広告取引プラットホーム)などの枢要なレベルに女性が登用されています。

何を買うかという消費の決定は、恐らく女性が行う比率が圧倒的に高いでしょうから、女性の活用は当然といえば当然ですし、日本でも、特に消費財を扱う企業では、女性を活用している企業の業績が高いことがわかっています。それでも上場企業の女性役員の割合は 4.1%と、米国(17.9%・2015年)等と比べて相当低いのは事実です。

私は、若い頃、「歩くリトマス紙」という言葉をよく使っていました。これは女性活躍のためには組織のトップの器量が大事で、女性を使いこなすだけの人間的な大きさをトップが持っているかどうかが重要。名刺交換をして、ちょっと話をすれば「この人なら大丈夫」ということが、働く女性は直感的にわかるもので、「私も歩くリトマス紙」だと(生意気ですが)よく言ってきました。

ジャック・マー氏は、アリババの成長のために女性活用は不可欠と考え、それを実践してきたわけですが、彼の器量がそれを可能にしたと言ってよいと実感しました。女性の感性、女性と生活との密着性、「何が売れるか」、「これからの少子高齢社会に何が必要か」を導きだす大切な力となる、ひいては企業の成長に結びつくということですが、それを実現するにはトップのリーダーシップが不可欠です。

 

 

ネパールは、1990年の民主化運動を経て王制が廃止され、約10年間、内戦状態に陥りましたが、2015年には、新憲法が公布され、連邦民主共和制に移行しました。新憲法では、例えば、国会議員の3分の1は女性とすることが規定されるなど、政治分野でのクォータ制が進められ、我々も女性政治家のトップとしてバンダリ大統領、タパ・女性、子供、高齢者大臣などと意見交換ができました。

 国会議員の3分の1を女性が確保するため、女性を比例区で優先採用するなど、まだまだ試行錯誤は続いていますが、民族の多様性とともに、男女の区別なくその能力を国の発展に活かすために努力されている姿は感銘を受けました。

いずれにしても、女性の能力をフルに活かすことが、人口減少時代、少子高齢化社会のブレークスルーになると確信する私にとって、今回、その一端を近しい国々から学んだことは、大きな成果だったと思います。