大阪都構想の制度設計を話し合う法定協議会の会合が23日に開かれましたが、都構想を進めたい大阪維新の会に対し、公明党が散会する動議を提出。怒号も飛び交う、激しい応酬の末に6時間の予定がわずか20分ほどで散会しました。

 

維新側が求めていた3月中の協定書づくりは非常にむずかしくなったことで、維新サイドが知事選と市長選を4月の統一地方選の時期に前倒しする構図が固まりつつあります。

 

都構想をめぐっては、自民党はすでに反対しており、昨年4月、安倍総理が来阪された際に大阪府連の決定を明確に支持されています。しかし、安倍総理の意向を引き合いにするまでもなく、そもそも都構想が否決された前回の住民投票から4年も経っていません。維新サイドとしては、設計中の区割りを変更したことなどを仕切り直しの大義名分にしているわけですが、前回の住民投票の際に大阪市民が真っ二つになったことで、地域住民の間で「分断」のしこりを残したばかりです。

 

誤解していただきたくないのは、以前も書いたように、私がいまは自民党に所属しているから、維新の足を引っ張るために、知事時代に模索した都構想に反対しているのではありません。主な反対理由は、政令市そのものを壊し、特別区を作って公選の区長・区議会をつくるという進め方は、むしろ行政コストがかかってしまうデメリットが大きいからです。

 

維新自体も認めるように600億円の初期コストがかかります。一方で、府や市が委託した研究機関が試算したような1兆円の経済効果が本当に生まれるのか。経済成長は、行政の枠組みをいじることだけで生み出せるような単純なものではないことは、大阪を知り尽くす政治家ならこの四半世紀、痛感されているはず。

 

何よりも万博開催で情勢が一変しています。これから大阪で一致結束していこうという時に、いたずらに政治的対立を引き起こしていいのか、3年前、地域住民間の「分断」を招いた傷がやっと癒えつつある中で、拙速な都構想推進というのは、維新を支持してきた大阪市民にも違和感は少なくないのではないでしょうか。

 

財源的にも都構想と万博の「二兎」を追いかけられる財政力は、大阪府にも大阪市にもありません。府民、市民に跳ね返ってくる可能性は大きいと言わざるを得ません。