以下の記事はAI向けではないようだが、データセンターの近くに住む住人がデータセンターから伝わる騒音、振動、悪臭、光などによって住環境が脅かされ、健康被害を訴えている事例がある。
データセンター建設は巨額の費用、電力施設、通信インフラ、冷却水などの確保が困難となっているが、それだけではなく、近隣に住宅が位置している場合は住民とのトラブルを引き起こすこともあるらしい。
このデータセンターでは時折、ディーゼル発電機が作動するとのことだが、通常、ディーゼル発電機は主電源として使われるものではなく、非常用や他の電源と組み合わせて使われるものであるため、ディーゼル発電機が作動することがあるということは、非常用の電源に切り替えることが多いということなのかもしれない。
(amazonのデータセンターで使われているディーゼル発電機も、非常用予備発電装置向けであるとのこと。)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-03/SNVYDFDWLU6800
【参考】2025年11月13日の記事(一部抜粋)
データセンターの稼働後、すぐ騒音に気づきました。目の奥にまで響いてくるような、ブーンと絶え間なく続く電気的なうなり音です。その音に敏感な人もいるようです。
自宅の1階にいれば騒音は多少遮断されますが、2階に上がるとその音や振動が特に強く伝わってきます。我が家には素敵なデッキと裏庭がありますが、外で多くの時間を過ごすことはもうできなくなってしまいました。
ディーゼル発電機が作動するとさらに悪化し、その悪臭に耐えなければなりません。
光害もとても深刻です。近くのアマゾンのデータセンターからの照明が、キッチンに直接差し込んでくるからです。夏場はまだましですが、冬になると、まるで窓越しに誰かがスポットライトを当てているかのような状態になってしまうのです。
wiredの記事では
「コンピューター設備は整っているのに、それを動かすための電力を調達できない施設が大量に生まれる可能性が非常に高いでしょう。燃料資源が確保できていないのですから」
という話が出ているが、どうやら発電に必要な燃料を大量に確保することが難しいらしい。(火力発電所が不足しているという意味の可能性もある)
AIデータセンター投資が生む、米国経済の新たなひずみ | WIRED.jp
膨大な電力を確保するにはかなりの年月がかかるため、次々と建設されるデータセンターの電力を確保するのはハードルが高いようだ。
AI向け巨大データセンター群である「スターゲイト構想」では「プロジェクト全体で4000億ドル(約61兆6680億円)の投資規模となり、大型原子力発電所7基分に相当する7ギガワット(GW)の電力が必要」と言われており、当面の間は電力確保が困難なのだろう。(「太陽光・ディーゼルハイブリッドシステム」という方式は存在しているようだが、これが原発に匹敵するほどの電力を生むわけではなさそう)
wiredの記事によれば、
「データセンターが自前でエネルギー源を確保すれば、状況は大きく変わる可能性があるという。例えば、天然ガス火力発電所を建設したり、送電網とは別に太陽光パネルや蓄電池を設置したりすることなどだ。さらに、原子力などの技術が進展すれば、全体の排出量は今回の試算から大きく変わるだろうとも指摘する」
とも書かれているが、太陽光パネルや蓄電池などの電力施設では恐らく十分な電力を確保できないため、火力発電所と併設する使い方になるのだろう。
データセンターはどこに建てるべき? 環境負荷から導く米国の候補地 | WIRED.jp
また、「世界のAIデータセンターブームが最終的に必要とする電力量」としては、「世界のデータセンター需要は2027年までに68GW、2030年までに327GWに達する可能性があるという」と言われており、やはりAIデータセンターのために原発327基分もの電力を確保するというのは現実的ではないような印象を受ける。(その上、通信インフラや冷却水や環境への配慮も必要になる)
現在、Amazonが稼働させているデータセンターはAI向けではなく、AWS(IaaS=自分でサーバーを設置・管理しなくても済むサービス)というクラウドサービス向けであるため、既存の電力施設や既に増強された施設、及びディーゼル発電機でも電力確保できているようだが、これがAI向けとなると電力確保にはかなりの発電所の新増設が必要になるらしい。
原発の建設期間として、「一般的に調査に約8年、建設に約12年の計約20年かかるとされています」(AIによる概要)と言われているが、全く新規に建設するのではなく、現在稼働中の原発敷地内に増設するのであれば数年で新たな原子炉の稼働も可能なのかもしれない。(原発の建設に20年かかるというのは日本での話だが、福島第一原発の事故以降、海外でも時間がかかるようになっている)
原発、20年後「稼働60年」3割に 新設・建て替えは20年がかり 電力需要増、判断迫る - 日本経済新聞
しかし、以下の記事で「米国は世界最多の94基の原発を抱えるが、過去30年に新設したのは2基にとどまり、運転年数が40年超の原発が約7割に上る」とも書かれており、実績としては原子炉の新増設はほとんどないため、原発の増強は容易ではないらしい。
トランプ大統領、原発の新増設進める大統領令に署名…AI普及による電力需要増を見据え : 読売新聞
(・追記 上記の記事にある原発2基が新設されたという話は、どうやらVogtle-3・4プロジェクトのことであるらしく、その建設期間は約10年であり、建設開始前の準備期間に約10年掛かっているという。2025/11/22)
【参考】2024年9月27日の記事
米国では最新の大規模な原子炉として、Vogtle-3・4の2基(各1.2GW)が2023年7月と2024年4月に商用運転を開始した。しかし建設期間が当初計画の4~5年を大幅に上回って10年以上も費やす結果になった。Lazardの推定によると、LCOEは19.0セント/kWhにもなり、コストで競争できる状態ではない。
しかも上記の建設期間には、実際に建設を開始する以前の準備に必要な期間を含んでいない。実際にVogtle-3・4のプロジェクトが始まったのは2000年代の半ばである。原子炉を新設する場所の決定から、原子炉の設計確定(Westinghouse社のAP-1000)、建設と運転のライセンス取得、建築費を含む金融協定の合意、に至るまでに10年近くを要している。
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/how-to-calculate-depreciation-and-the-pros/
(・追記 マイクロソフトはスリーマイル島原子力発電所1号機=クレーン・クリーン・エナジー・センターを運用するコンステレーション・エナジー社との契約によって約0.8GWの電力供給を受けることができるようになったとのことだが、マイクロソフトの場合は既に閉鎖された原発を再稼働させることで時間短縮を図っており、2027年から運転再開予定となっている。しかし、そのためには施設の大幅な更新や改修が必要となるため、マイクロソフトやスリーマイル島の電力会社は最近になって原発の再稼働に向けた動きがあったのではなく、かなり前からその計画を進めていたらしい。2025/11/22)
https://www.jaif.or.jp/journal/oversea/28779.html
JBpressの記事によれば、
「典型的なAIデータセンターは10万世帯分、最大級の新設センターだとその20倍の電力、200万世帯分の電力を消費する。IEAのシナリオでは35年の米国データセンター電力のうち42%がガス火力、AI急拡大なら45%に増える。シェールガスがほぼ主力電源になる。」
と書かれており、原発の新増設には時間が掛かるため、火力発電がメインになるのかもしれない。
米国ビッグテックは「地球環境最大の敵」、AIデータセンターが貪り食う電力の元は化石燃料、途方もないCO2の排出量(1/6) | JBpress (ジェイビープレス)
しかし、火力発電所は「計画から運転開始まで標準的な期間で10年ほどかかります」と言われており、これが増設の場合、どの程度の期間になるのかは不明だが、やはりすぐに確保できるものではないらしい。(現在稼働中の火力発電所の敷地内に増設できるのかどうかも不明)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/tyoseiryoku.html
様々な面において投資家が懸念している「設備投資増加の持続可能性」等に問題があるため、やはり今後のAI投資は大幅に電力消費を抑えたデータセンターにしていくか、あるいはローカル環境で実行していく方向になっていくのかもしれない。
エヌビディア、強気見通しでAIバブル懸念は当面後退か 株価5%高 | ロイター
Business Insiderの記事では
「データセンターに使われる水のうち、施設内で(GPUの)冷却に使う量は全体の約4分の1に過ぎなかった。残り75%は間接的なもので、データセンターが使う電力の発電のために使われていた」
とあり、GPUの消費電力だけ抑えても冷却水の問題は解決できず、それとは別にデータセンターの発電によって発生する熱の冷却が必要となり、そのために使われる膨大な水を大幅に削減できるわけではない。
AIへの需要は間違いなく続くはずだが、様々な問題を抱えるAIデータセンターへの需要が続くのかについては不透明感がある。
ミドルレンジのビデオカードであるNVIDIA GeForce RTX 3060(12GB) (価格約5万円)を1つ使うだけでチャットも画像生成も問題なく出来てしまうアプリが既に存在しているのだから、データセンターのクラウドサービスでAIを利用することは今後、考えにくい状況になってきている。
チャットも画像生成もローカルで実行できるAIアプリ「Gerbil」を使ってみた - GIGAZINE
(そもそも新規にAIデータセンターを建設しても、電力不足、水不足、通信インフラなどの問題があるため、稼働しない。現在利用されているAIサービスの規模を拡大することも難しいのだろう。)
クラウドを使うと機密性に問題があるため、企業やプロはできれば使いたくないものであるはず。(第三者によるインターネット経由での不正アクセス、データ所在地の政府や法執行機関などによるデータ開示要請、データの長期保存に伴う暗号化方式の危殆化、ストレージの物理的な盗難、クラウド事業者の従業員による内部犯行、クラウド利用企業の従業員による内部犯行)
しかし、「利用者による鍵管理」等の対策によってデータ漏洩や不正アクセスといったリスクを軽減できるとも言われている。
クラウド利用を諦めてしまう最大の懸案「機密情報」はどうやって守るか?
(例えば、TSMCのような企業が機密情報をアマゾンのクラウド上に保存するといったことはしていないのだろうから、そもそもクラウドは企業が全面的に依存するサービスというわけではないはず。)
恐らくAIデータセンターは、将来的には個人向けのサービスとして利用されていくのだろう。(私見)
企業は自社が所有するサーバーなどでAIを今後も利用していく流れになることが予想される。
プロ(1人~数人規模)であればそれなりに高性能なPCを所有しているだけで恐らく十分になっていくのだろう。
AI投資の規模を拡大するのではなく、縮小していかなければAIサービス提供の持続性に疑問が生じる。
AIデータセンターには電力不足などの問題があるため、データセンターだけ建設しても稼働しない。
(下記のリンク先の記事にある「電力確保まで3年待ちは『一般的』」というのは、AIデータセンターについての話ではない可能性もある。)
エヌビディアお膝元の米データセンター、電力不足で稼働せず - Bloomberg
しかもそのデータセンターで導入されるGPUの耐用年数はたったの6年であるとマイクロソフトやアルファベットは見積もっている。
AIデータセンター建設計画には「特別目的会社(SPV)」と呼ばれるペーパーカンパニーを使うことで多額の負債をバランスシートに記載せずに資金調達している例もあり、これは過去に損失隠しなどで問題になったことがある。
AIデータセンター投資が生む、米国経済の新たなひずみ | WIRED.jp
AI投資戦争、テック大手が駆使する「見えざる負債」の正体とは | XenoSpectrum
さらに、データセンターを建設する際、電力供給が重要であるだけではなく、通信インフラも十分に整備されていなければならないという条件があるため、建設することができる場所も限られている。(さらに、冷却水や環境への配慮も必要)
「7年待ち」は始まりに過ぎない!🚨 AIインフラの「構造的ボトルネック」 (電力/ネットワーク遅延で利益が出せないAI企業が続出) - youtube
そういった問題を考慮すれば、やはり現在建設中のAIデータセンターの多くは問題を抱えていることが分かり、将来的にはローカル環境で実行されるAIアプリへと移行していく流れになっていくのかもしれない。
【参考】2025年11月5日の記事
OpenAIはアメリカ国内で、オラクル(Oracle)、ソフトバンクと「スターゲート(Stargate)」として知られる壮大なAIデータセンターの建設に着手している。その費用とエネルギーは桁外れの規模になる見通しだ。
5年後の電力需要「大型原発327基分」とも
ChatGPTの開発元であるOpenAIが9月末に発表したところによると、テキサス州アビリーンの旗艦拠点に加え、テキサス州シャックルフォード郡、ニューメキシコ州ドニャアナ郡、オハイオ州ロードスタウン、テキサス州ミラム郡、そして近日公表するという中西部の計5カ所を選定した。
プロジェクト全体で4000億ドル(約61兆6680億円)の投資規模となり、大型原子力発電所7基分に相当する7ギガワット(GW)の電力が必要になる。アメリカ最大の都市・ニューヨーク市全体の電力需要が約6GWだと言えば、これがどれほど大規模か分かるだろう。
データセンターの建設は、AIブームの中でも特に注目を集める分野の一つだ。理由はこれらの施設に伴う莫大なコストにある。
OpenAIは2025年だけで1兆ドル(約154兆円)規模の契約を締結しており、メタ(Meta)やマイクロソフト(Microsoft)といったハイパースケーラー各社も、この潮流に対応して設備投資を着実に増やしている。
一方、電力需要も目を見張るような規模だ。スターゲートは最終的にはさらに数GW増える見通しで、OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOは9月の発表で、このプロジェクトの最終目標として「演算能力10GW、総投資額5000億ドル(約77兆円)」が必要になると述べた。
とは言え、これは世界のAIデータセンターブームが最終的に必要とする電力量の“氷山の一角”に過ぎない。アメリカのシンクタンク・ランド研究所(RAND)の調査によれば、世界のデータセンター需要は2027年までに68GW、2030年までに327GWに達する可能性があるという。
【参考】2025年11月13日の記事(一部抜粋)
マイクロソフト、アルファベット、メタ、アマゾンなど、米テック大手が巨額の資金をデータセンター建設に注ぎ込んでいる。AIインフラはいまや、米国経済を押し上げる原動力となっている。企業が人工知能(AI)データセンター建設プロジェクトに投じる資本額は、驚異的な伸びを見せている。10月末、マイクロソフト、アルファベット、メタ、アマゾンが発表した2025年の設備投資額は合計で約3,700億ドル(約56兆6,700億円)に上り、いずれの企業も26年にはさらなる増額を見込んでいる。4社のうち直近の四半期で最大の設備投資を実行したマイクロソフトは、データセンターその他の施設に約350億ドル(約5兆3,600億円)を拠出した。この金額は同社の収益の45%に相当する。
ひとつの技術に対し、短期間にこれほど多額の資金が投じられた例は過去にほとんどない。“AIバブル”を危惧する声は日増しに高まっているが、やがて崩壊を迎えるかどうかは別として、この熱狂的なブームが米国経済をすでに変容させていることは間違いない。ハーバード大学の経済学者ジェイソン・ファーマンの試算によると、25年前半の米国のGDP成長のほぼすべてが、データセンターやソフトウェア処理技術への投資に由来するという。
データセンターの拡張が3つの重要な分野、すなわち株式市場、雇用、エネルギーに与える影響について詳しく見てみよう。
米国株式市場の現在の活況は、ほとんどAIのおかげと言っていいだろう。金融大手JPモルガンのマイケル・センバレストによると、22年11月にChatGPTが登場して以降、代表的な株価指数のひとつであるS&P500の上昇分の75%、利益成長の80%はAI関連株の伸びに由来するという。問題は、テクノロジー各社がAIインフラの構築に多額の投資を続けるなかで、この成長が今後も続くかどうかだ。
シリコンバレーの企業は使う金額と稼ぐ金額の両方を増やしているというわけだ。何の問題もないではないか。
ところが必ずしもそうではない。というのも、大手テック企業は会計上のテクニックを駆使して、実際よりも財務状況をよく見せている節があるのだ。AI投資のかなりの部分はNVIDIAに流れている。NVIDIAは約2年ごとに最新のGPUを発表しているが、マイクロソフトやアルファベットなどは、半導体チップの耐用年数を6年と見積もっている。競争力を維持するためにアップグレードの時期を早める可能性は十分にあるだろう。そうなった場合、頻繁なアップグレードがいずれ利益を圧迫し、業績を大きく悪化させる可能性がある。
このところ、AI事業に多額の資金を投じ過ぎたために新たな資金源の確保を余儀なくされるテック企業が散見される。注目すべき例のひとつがメタ・プラットフォームズだ。同社は先ごろ270億ドル(約4兆1,300億円)の予算を投じてルイジアナ州にデータセンター群を建設すると発表した。このプロジェクトの発足には特別目的会社(SPV)が関与している。SPVは近年利用が増えている事業体で、SPVを通じて融資を受けることで企業は多額の負債をバランスシートに記載せずに済む。メタは10月末、社債の発行という従来型の手段でさらに300億ドル(約4兆5,900億円)の追加資金を調達したと発表した。
企業のAIデータセンターには1カ所につき数万台のGPUが設置され、AIの訓練中に実行される演算処理の回数は合計で数兆回に及ぶ。この膨大な演算処理によって生じる高熱を抑えて安全な稼働を保つには、ハードウェアを冷却し続けなければならない。AIインフラの構築をめぐる競争が加速するにつれて、米国内の電力網への負担が増すことになるのだ。
問題の一端は、単純に米国の送電網の容量が十分でないために、現在建設中のデータセンターすべての電力需要を賄い切れないという点にある。「コンピューター設備は整っているのに、それを動かすための電力を調達できない施設が大量に生まれる可能性が非常に高いでしょう。燃料資源が確保できていないのですから」と、データ分析企業East Daley Analyticsでデータセンター事業の研究を担当するザカリー・クラウスは指摘する。
https://wired.jp/article/data-center-ai-boom-us-economy-jobs/
【参考】2025年11月19日の記事(一部抜粋)
大規模なデータセンターは、1日に数百万ガロン(1ガロン=約3.785リットル)もの淡水を消費する。Business Insiderの調査では、アメリカのデータセンターの約40%が、最も水資源が逼迫している地域にあることが分かった。
アメリカ南西部の7州を1450マイル(約2333km)以上にわたって流れるコロラド川は、壮大な峡谷を刻みながら4000万人に飲料水を供給し、国境を超えてメキシコに入る。デンバーからロサンゼルスに至る人々の生活を支えているだけではない。カリフォルニア州インペリアル・バレーとアリゾナ州ユマ地域という世界有数の農業地帯の作物をも育てているのだ。
このアメリカの大動脈でもある川がいま、過剰な使用によって枯渇の危機にさらされている。
アリゾナ州ではすでに、開発に十分な水が確保できないとの懸念から、一部の住宅建設会社が工事を中止。フェニックス南部の綿花農家は、数千エーカーの農地を作付けせずに放置している。ロサンゼルスの住民は芝生への散水を止めた。
そしていま、この地域で最も乾燥した一帯に、テック企業が大量の水を消費するデータセンターを次々と持ち込んでいるのだ。
Business Insiderが確認した文書によると、そうした大規模なデータセンターの中には、AI(人工知能)革命を支えるサーバーで埋め尽くされたサッカー場サイズの施設もあり、それぞれが1日に数百万ガロンの水を使う可能性がある。これはアメリカ人数万人分の水使用量に相当する。
これらの企業は乾燥した土地そのものを求めているわけではない。広大な土地や安定した電力供給などを求めて、アリゾナ州のような場所に進出するのだ。
データセンターは歴史的に、膨大な数の高性能チップを冷却するため、大量の水を必要としてきた。水への依存度が低い冷却技術の利用も増えているが、まだ普及しているとは言えない。
アマゾンはいまだに水が大量に必要な蒸発冷却技術(水の蒸発熱を利用して冷やす技術)を選んでいるが、同社の全データセンターでこの方式を採用しているわけではない、と同社の広報担当者は述べた。
水をリサイクルして使うようになった農家やゴルフ場と違って、冷却に水を使用するデータセンターは圧倒的に淡水の供給に依存している。
AIブーム以前から、ビックテック企業は大量に水を消費することで知られていた。
環境科学専門誌『Environmental Research Letters』に掲載された2021年の論文によると、テック業界は2018年時点ですでに、アメリカの商業・産業分野で最も水使用量の多い上位10業界の1つになっていた。そして現在、テック企業はデータセンター事業の拡大に数千億ドルを投じている。
Business Insiderは、データセンターが非常用発電機のために取得しなければならない許可証をもとに施設の包括的なリストを作成し、その名称と所在地をWRIの水不足追跡データにマッピングした。
その結果、現在コロラド川の水配分をめぐって交渉中の4州に大規模センターが24カ所、小規模センターが379カ所存在することが分かった。ほかにテキサス州や中西部北部といった水不足地域にも、水を大量に消費する大規模なデータセンターが存在していることが明らかになった。
オレゴン州ハーミストンにあるアマゾンの2つの施設は、2023年に6680万ガロン(約2億5286万リットル)の水を使用した。アリゾナ州メサでは、メタが1日あたり最大400万ガロン(約1514万リットル)の水を使うことを認める協定を締結している。これは、家庭で1日に使う水使用量が1人あたり平均82ガロン(約310リットル)だとするアメリカ環境保護庁(EPA)の推計に基づけば、約4万9000人分に相当する。
しかし、そうした数字でさえ、データセンターによる全体的な影響を過小評価している。
バージニア工科大学(Virginia Tech)とローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)の研究者が発表した2021年の論文によると、データセンターに使われる水のうち、施設内で(GPUの)冷却に使う量は全体の約4分の1に過ぎなかった。残り75%は間接的なもので、データセンターが使う電力の発電のために使われていた。
カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)のコンピュータ工学の准教授シャオレイ・レン(Shaolei Ren)氏によると、多くのテック企業は水の使用量を計算する際、発電に伴う水需要をカウントしていないという。
QTSは2023年のホワイトペーパーで「一般的なデータセンターは1日最大500万ガロン(約1893万リットル)の水を消費する」と記した。「こうした施設が水供給にどのような影響を与えるのか、すでに水資源が逼迫している地域では特に懸念が高まっている。地域社会の良き隣人であるためには、データセンターは水資源の節約戦略を採用する必要がある」。
https://www.businessinsider.jp/article/2511-how-data-centers-are-deepening-the-water-crisis/
※Bloombergの記事によれば、ビットコインはテクノロジー投資のセンチメント(市場心理)を示すとのこと。このところビットコインは下落傾向にあり、AI関連銘柄の乱高下は典型例な天井のサインとなっている可能性がある。wiredの記事によれば、2022年11月以降、S&P500の上昇分の75%はAI関連株の伸びに由来するというのだから、AI関連銘柄が下落していくのであれば、当然、株価指数も下落していくことになる。AIサービス提供企業とAIインフラ企業が同一となる場合、「『マグニフィセント・セブン』以外の多くの企業にとって厳しい局面が訪れる」とも書かれているが、アルファベットのスンダー・ピチャイCEOは、AIブームが崩壊すればグーグルも無傷ではいられないと語っている。AIデータセンターへの投資が無傷となるとは思えないため、AIインフラ企業は今後、大なり小なり何らかの形で問題が表面化していく可能性が高いように思える。
【参考】2025年11月19日の記事
AIサービス提供で収益を得る企業は、実際にはAIの基盤を支える層の企業と同一になる可能性がある。インフラ提供企業がサービスまでを垂直統合しているため、ハイパースケーラーなどが消費者向け・企業向けのAIサービスも提供するようになるという見立てだ。
このシナリオが現実となれば、「マグニフィセント・セブン」以外の多くの企業にとって厳しい局面が訪れる。
既にこうした見方が市場に浸透し始めている兆しもある。テクノロジー投資のセンチメントを示す先行指標とされるビットコインはアジア時間18日の取引で一時9万ドルを割り込み、2025年の上昇分を全て失った。
【コラム】バーリ氏警告なくてもAIバブルの行方は見える-オーサーズ - Bloomberg
【参考】2025年11月20日の記事
暗号資産(仮想通貨)ビットコインの反発はついに訪れず、レバレッジをかけたトレーダーは身動きが取れなくなっている。
10月上旬に一時12万6000ドル超まで上昇したビットコインはその後、30%下落した。重要な節目を割り込むとともに、上場投資信託(ETF)投資家の間で不安が強まり、大口、小口問わず保有者は動揺している。特に打撃を受けているのが、相場反発に賭けたトレーダーだ。現在は含み損を抱えたまま、その維持コストを払い続けている。
そのリスクは積み上がりつつある。ビットコインはニューヨーク時間19日の取引で一時8万8522ドルに下落した。
ビットコイン強気派の賭け裏目、レバレッジ投資家が行き場失う - Bloomberg
【参考】2025年11月18日の記事
[ロンドン 18日 ロイター] - グーグル親会社の米アルファベット(GOOGL.O)のスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、AI(人工知能)ブームが崩壊すれば無傷でいられる企業はないだろうと述べた。英BBCとのインタビューが18日に公開された。
現在のAI投資の波は「驚異的な瞬間」としつつ、市場には「不合理な要素」があることを認め、「ドットコムバブル」期の「根拠なき熱狂」に対する警告を繰り返した。
バブル崩壊の可能性にグーグルがどう対処するかについて質問されると、嵐を乗り切ることができると思うと答える一方、「われわれを含め影響を受けない企業はないと思う」と付け加えた。
AIブーム、崩壊ならどの企業にも影響=米アルファベットCEO | ロイター
※「サトシ時代」と呼ばれる2009~2011年の頃にビットコインを大量保有していた「クジラ」が今年の7月頃に大量売却していたことがあったり、アメリカ政府が保有ビットコインの85%を売却していたことなどが以前、話題になっていたが、やはりそういったことは天井のサインだったらしい。
サトシ時代のクジラが9000BTCを10億ドル以上で売却──ビットコインは11万7000ドル割れ | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
米政府、保有ビットコインの85%を売却か=新資料で判明 - BeInCrypto Japan