以下の記事の
「インフレで1個100円の消しゴムが1個10,000円になっても、100万円の借金は額面上100万円のままです」
「これは借金の価値はインフレによって確実に下がるということを意味します」
というたとえ話には間違いがある。
インフレになれば所得も増えていかなければならないが、そうならない場合もあり、実質賃金がマイナスなのであればそれだけ貧しくなったことになる。
その場合、インフレになれば過去の額面上の借金が同じ金額なのだから借金の価値が下がるとは言えず、インフレと共に所得も大きく増えていなければその国の金融政策は失敗していることになる。
物価が100倍になったのに所得がほとんど増えていないのであれば1万円の消しゴムを買う者など誰もいないし、過去の借金の額面が変わらなくても返済が楽になるわけではない。
インフレで借金を返せるとか棒引きにできるといった話は所得のことを無視している例がある。
【参考】2024年6月13日の記事
■ インフレになると借金の価値はどうなるか
前回、インフレとはモノの価格が上がり、お金の価値が下がる現象と説明いたしました。それでは、インフレになると借金はどうなるのでしょうか。借金の額はインフレになっても変わりません。例えば、インフレで1個100円の消しゴムが1個10,000円になっても、100万円の借金は額面上100万円のままです。また、これは借金の価値はインフレによって確実に下がるということを意味します。
読売の記事にも以下のような説明があり、インフレで借金が事実上チャラになるといったことを言っている。
しかし、インフレで借金が事実上チャラになるのではなく、それに伴って所得も増えていれば過去の額面上の借金が実質的に減るという理解の方が正しいはず。
【参考】2023年2月6日の記事
「すさまじいインフレで物価が100倍に跳ね上がったとしたら、10万円で買えたテレビや冷蔵庫の価格は1000万円になる。一方、1000万円の住宅ローンを借りている人の場合は、インフレ後に1000万円を返済すると、実質的にはかつての10万円程度、つまりテレビや冷蔵庫を買う程度の負担で済むことになる。インフレでローンの99%が事実上チャラになるわけだ。」
https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckeconomy/20230125-OYT8T50060/
これは一般の感覚からいえばインフレになっただけでは借金の価値は下がらないが、国の借金であれば「インフレ税」という捉え方をすることができるらしく、多くの国民にとっては大損害を被るが、国にとっては借金を大きく減らしたという解釈ができる。
具体的に言うと、国民の所得はインフレと共にそれほど増えていくわけではないが、一部の企業利益が通貨安政策によって増えることで法人税収が増加、輸入価格の上昇による関税と消費税の増加、株価や地価の上昇による相続税の増加、さらに国(及び中央銀行)が保有する資産(株など)もそれに伴って増えていくために、国の収入と資産が増え、国の借金(国債)も実質的に減るということになる。
昔の10円と今の10円の価値は同じではないと言えるようになるためには、所得も増えていなければならず、やはり物価が100倍になったのに所得がほとんど変わっていないのであれば、ただ貧しくなっただけであり、100円の消しゴムは依然として安く感じるわけではないはず。
つまり、「以前は100円で消しゴムを買うことができたけど、今では10,000円になったのだから、以前の100円で買えた消しゴムは安く感じるだろ?」と言われても、「10,000円もする消しゴムなんか誰も買えません。給料が以前とほとんど変わっていないのだから100円の消しゴムで精一杯です。だけど100円の消しゴムはもうどこにも売っていないから、今は消しゴムを買うのを諦めています。」ということになってしまう。
所得があまり増えていないのであればハイパーインフレになった後も100円の消しゴムは安く感じるようになったとはいえないし、そもそも売っていないということになる。
「昔は安かったなあ」と思っていても、現在の価格が10,000円もするのであれば所得もそれに追いついていなければならないため、所得があまり増えていないのであれば消費は低迷し、内需崩壊を起こすのだろう。(当然、経済成長もしない)
【参考】(3年前のredditの投稿)
どうも、一見基本的なことが理解できなくて困っています。それは、強いインフレ下では、借金を持つことや作ることが良いということなんです。それで、もし私の状況を簡単にお話しすれば、少しは助けになるかもしれません。
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妻と私はエンジニアで、年収は約25万ドルです。
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2年前に70万ドルの家を購入し、まだ約40万ドルの借金が残っています。
今の目標は、残りの40万ドルをできるだけ早く返済することです。そうすれば、この重荷から解放され、最大6年で終われるはずです。そして、借金がなくなれば、もっと自由に暮らせるようになり、その後の貯蓄(住宅ローンを払わなくなることで増える)を何かに投資できるようになると思っています。でも、主に借金を抱えているというプレッシャーから解放されたいんです。
理論は理解できるのですが、実際にプラス面を見ることに苦労しています。インフレのせいで、食料品の請求書が数ヶ月前より10%高くなったように「感じます」。同じものを買うのに、財布からもっとお金を払わなければならないと感じます。それはマイナスです。
しかし、借金を持つことによるインフレのプラスの影響を「感じ」ません。借金はインフレ下では価値が下がるはずだと知っています(あるいは知らないかもしれません)。でも、それを認識できないんです。
インフレのせいで、借金をすぐに返済しないようにアドバイスされましたが、どうしても理解できません。正直言って、エンジニアなので、経済学は授業で習いませんでした。
お時間を割いて助けていただけると嬉しいです。どうすればいいのでしょうか?借金を長く続け、さらに借金を増やす(何のために?)べきなのでしょうか?
・インフレに合わせて収入も上がらないと意味ないよね。
・または、インフレとともに資産が増加し、それらを直接借金の返済に充てるか、レバレッジをかけることができます。
・結局、そこが一番大事なところで、いつか収入は上がるはずだよ(願わくば)。
・平均すると、インフレ率が高いほど、経済全体のほとんどの人にとって名目賃金も高くなるんだ。でも、遅れがあるかもしれないんだよね。今、低賃金の労働者、つまりブルーカラーの労働者は、インフレを上回る賃上げを見てるけど、高給取りのオフィスワーカーは遅れてるんだよね。
・これは通常そうですが、常にそうとは限りません。過去には、賃金停滞を伴うインフレサイクルがありました。そして、そうなると、インフレは債権者には有利に働きません。(※恐らく債務者の間違い)
・素晴らしい例ですね!これで理解できたと思います。私の知識のギャップは、収入が何年もインフレに合わせて調整されていなくて、借金にすごく抵抗があるってことなんです。エンジニアとしてずっと働くのは嫌かもしれないし、もっと給料の低い仕事に就くかもしれないから。だから、借金なしっていうのが正しいように感じてたんです。でも、仕組みはわかりました :) 本当に助かります。
・これは、ドルの価値が下がり続ける一方で、あなたの借入条件は一定に保たれ、あなたの給料/収入は(おそらく)少なくともインフレに追いつくからです。
これは、インフレ調整されていない固定収入で生活している人とは逆です。
あなたの月$1000の住宅ローン支払いは、あなたのキャッシュフローのより小さな部分になります。
・例えば、10万ドルで家を買って、30年間住宅ローンを組んだとしよう。
それから、あなたの慈悲深い政府が、何らかの理由で通貨をハイパーインフレにする。
すぐに、10万ドルの札を1ドルの札のように印刷し始める。あなたは10万ドルの札を持って、住宅ローンを返済する。
もちろん、あなたの収入がインフレに追いつくことを前提としているけど、実際はそうならない。なぜなら、インフレは富を数える手段の変化と同じくらい、富の移転だから。最初にインフレした札を手に入れた人が最も恩恵を受ける。なぜなら、彼らは10万ドルの札を1ドルの価格で使っているから。あなたが10万ドルの札を手に入れたときには、すでに価格が上がっている。
これは、通貨が年2%でインフレしている場合でも、2000%でインフレしている場合でも同じことだよ。
moneyworldの記事にはこのようなことが書かれている。
「日本は終戦直後、ハイパーインフレないしそれに近い高インフレに襲われた。戦時中の戦費調達、戦後の産業復興をともに円の増発に頼ったことがその原因だった。
政府は財政の穴を埋めるため、預金封鎖や新円切り替え、資産課税に乗り出した。人々はインフレで預貯金や国債が無価値になったり、資産に高い税金をかけられたりした。」
https://moneyworld.jp/news/05_00146144_news
これはつまり、日銀が国債を引き受けるために通貨の増発をしていたが、それは単に政府が予算を確保するためにやっていたことであり、インフレを起こして借金を実質的に軽くするためではなかった。
現在の経済規模を維持しながら借金を実質的に軽くするには、どうしても所得の大きい増加、雇用の安定、経済成長を実現していく必要がある。
結局、戦後の日本は財政規律を正常化しながら高度経済成長もしていたため、通貨の価値を取り戻すことができたのだろう。(ただ人口が増えただけではなかった)
戦後の日本では国債が紙くずになり、「インフレ税」によって「返済」されたと一部で言われているが、実際には預金封鎖された上で最大90%の財産税を課せられており、新円切替も実行したのだから、インフレで事実上返済されたなどとは言えないはず。(そもそもインフレだけで借金は減らない)
通貨は紙くずだから株式を買うという行為が正当化されるのは、どこかの会社のオーナーになる場合などの目的に限られるはず。
しかしそれはハイパーインフレ国家で起きる現象なのだから、通貨は紙くずだから株を買え、不動産を買えと言っているのであれば、それはとんでもなく愚かであり、金融政策の失敗ということになる。(予期せぬ形で海外資本が流入する。そもそも、ハイパーインフレ対策にはならず、戦後の日本では財産税などによって株式が紙くずになったと言われている。)
確かに資産価格の上昇は所得の増加にも繋がるが、それはごく一部の富裕層や一部の企業などに限られ、すぐにバブルになってしまうのだから、いずれ崩壊することにもなり、株式市場で巨額資金を投じて運用している年金基金なども巨額損失を出すことになる。
通貨を暴落させて資産価格を吊り上げても、根本的な問題の解決にはならないのだし、インフレが制御不能に陥る可能性もあるため、そのような金融政策が上手くいくということはないように思える。
今起きていることは通貨安・株高政策だけではなく、AIバブルも起きているため、これがドットコムバブルの時のような事態になれば金融政策の失敗のみならず、より一層、深刻な経済崩壊(地価や株価の暴落、それに伴う不良債権の増加、企業の倒産や消費の低迷を引き起こし、長期にわたる経済停滞 )を引き起こすのかもしれない。(その上、信用リスクも高まっている)
moneyworldの記事にあるような、預金封鎖対策で株を買って通貨が安定してから現金化する、インフレから財産を守る手段として株を買う、といったことも正常な金融取引のあり方ではなく、ハイパーインフレ国家ならではの光景であるため、現在、そのようなつもりで株を買っている投資家は何か勘違いをしているのだろう。(株よりもゴールドの方が資産保全手段になるようだが、アメリカではフランクリン・ルーズベルト大統領が国民からゴールドを没収した前例もある)
「1933年に大統領令6102号で国民の金保有を禁じ、20.67ドルの金価格で強制的に没収した。」
https://gendai.media/articles/-/82276?page=3
東京海上アセットマネジメントの記事によれば、終戦前後の日本においては、そもそも株式取引はハイパーインフレから財産を守る手段にはなっておらず、逆にハイパーインフレ前に株を大量保有していた投資家は財産のほとんどを失ったという。
ハイパーインフレによる物価上昇の方が株価の上昇ペースを遥かに上回っており、インフレ対策になっていなかった。
しかも、預金封鎖後に財産税を負担することになったため、インフレ対策どころか財産のほとんどを没収されている。
しかしその後、財産税の負担消失(1947年に1回限りで導入された)、財政再建(1949年のドッジ・ライン)、復興や朝鮮特需(1950~1955年)などにより、極端なインフレが収まっていく中で経済成長していき、株価も大きく上昇していったことで1950年頃から株を始めた層にとってはかなりの資産増になったらしい。
(終戦直前から1947年までに株を持っていた層は大損し、終戦後に正常化した経済で株を始めた層は大儲けした)
もしかしたらグレートリセットとは、史上最大の株価暴騰に伴う財産没収計画なのかもしれない。(非常に高い財産税をかけることで財政健全化を図り、「富の不平等」を解消=「富の均衡化」)
日本のハイパーインフレ期は1934-1936年~1949年であり、その期間は物価が約220倍になっている。(1945年の水準からみて1949年に約70倍 )
https://ja.wikipedia.org/wiki/日本のインフレーション
日経平均株価は1950年以降、うなぎのぼりになっている。(画像はomegachart)
【参考】(一部抜粋)
通期65か⽉ (1943年12⽉〜1949年5⽉)で、物価が約126倍、名⽬株価が4倍なので、実質株価は30分の1になっている。実際には、戦後、多くの国⺠が最⾼税率90%の財産税を負担したため、株式を保有していた資産家は、その⼤部分の株式を現物拠出して税⾦を⽀払っている。そのため、この税効果も含めたならば、株券は紙くず同然になったと⾔えるだろう。
闇物価平均を確認すると、1943年12⽉から1945年7⽉までの19か⽉では、物価が11倍弱に上昇している⼀⽅、その後6か⽉間が経過した1946年1⽉に1.7倍強までになっている。1946年1⽉から、1949年5⽉までの40か⽉間では、東京⼩売物価指数を⼤きく下回り4.7倍強に過ぎない。通期65か⽉ (1943年12⽉〜1949年5⽉)で、物価が約88倍、名⽬株価が4倍なので、実質株価は約20分の1 になっている。このように公定価格である東京⼩売物価指数を基準にしたときよりも、闇物価指数を基準にした⽅が実質株価の減価の程度は緩和されたのである。また、闇物価ベースでは、終戦間もない1946年1⽉までに実質株価は⼤幅に減価しているが、そこから1949年5⽉にかけては上昇している。そのため、物価実態を捉えた闇物価ベースでは、戦後のインフレを株価は凌駕して、実質的な価値を維持できたと⾔えそうだ。
つまり、敗戦時の株価下落の衝撃は、株式投資家の懐を痛め、戦勝時とは⽐べ物にならないくらいに悲惨な結果をもたらしたと⾔えよう。⼀⽅、財産税の負担が消失した終戦後の株式は、実態ベースの物価(闇物価)上昇を上回り、実質価値を⾼めることに貢献したのである。敗戦を画期に、⽇本の株式投資家は全く異なる投資成果を得たのであった。国際政治情勢が流動化している現代にあっても、⼀つの歴史的事実としてインプリケーションがあるかもしれない。
https://www.tokiomarineam.co.jp/corporate/news/2023/c8spb70000000eiy-att/vol17.pdf
【参考】2024月10月25日 の記事
【QUICK解説委員長 木村貴】先日のコラムで述べたように、日本は終戦直後、ハイパーインフレないしそれに近い高インフレに襲われた。戦時中の戦費調達、戦後の産業復興をともに円の増発に頼ったことがその原因だった。
政府は財政の穴を埋めるため、預金封鎖や新円切り替え、資産課税に乗り出した。人々はインフレで預貯金や国債が無価値になったり、資産に高い税金をかけられたりした。戦災で生命を失い、身体を傷つけられたばかりでなく、財産まで失ったのである。
旧円を新円に切り替えるための預金封鎖は1946年2月から実施された。紙幣の切り替えは極秘裏に、しかも短期間で払い戻しに必要な大量の新円札を用意する必要に迫られたが、さすがに間に合わず、応急措置として旧円札に証紙を貼ったものを新円札とみなし、市中で流通させた。預金は引き出し額に制限があり、インフレが進むにつれ価値が失われていった。
この預金封鎖にも、抜け道はあった。「事前にこういう法令が施行されることを知り、預貯金を大量に引き出して株券などに替えておき、新銀行券に切り替わって安定してから現金化する、という一群もいたようです」(小黒氏前掲書)
本吉氏や証券市場研究者の小林和子氏(論文「不祥事と証券行政」)は、次のように具体的に説明している。預金封鎖を指示した「金融緊急措置令」は市場での株式取引を禁止し、数日後に新円取引での再開を認めたものの、まだ新円は少ない。そこで証券界は封鎖した旧円の預金で株が買えるよう大蔵省(現財務省)に陳情し、認められた。すなわち、株式を封鎖預金で買って新円で売ることが可能になった。インフレから財産を守る手段として、株取引は急拡大した。「証券市場においては、預金封鎖は有名無実のものとなっていた」(本吉氏前掲書)
https://moneyworld.jp/news/05_00146144_news
AI による概要
戦後の財産税は、財政再建と富の再分配のため、終戦直後に富裕層の財産に課税されました。株式を含む金融資産や不動産などが対象となり、税率が累進的で最高90%に達したため、多くの株式資産家が税金の支払いのために株式を現物で納付し、株式は「紙くず同然」になったとも言われています。
財産税の目的と概要
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目的:
終戦で悪化した財政を再建すること、そして富裕層の資産に課税して富の均等化を図ることを目的としました。
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対象資産:
現預金、株式などの金融資産、不動産、自動車、美術品など、金銭に見積もることができる全ての経済的価値のあるものが含まれました。
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課税:
課税価格10万円を超える財産を持つ個人に1回限りで課されました。
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税率:
課税価格に応じて25%から最高90%まで累進的に課税されました。
株式への影響
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税金納付のための株式保有者の株式の現物拠出:
株式を保有していた資産家は、その大部分を税金の支払いのために現物拠出しなければなりませんでした。
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株価の下落と資産価値の喪失:
インフレと財産税の負担により、戦後の株価は実質的に大きく下落しました。多くの資産家が株式の大部分を現物納付したことで、株式は「紙くず同然」になったと表現されることもあります。
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背景:
終戦直後のハイパーインフレと戦時下の財政難が財産税の導入を促しました。
※wikipediaで意味不明なグレートリセットについての記事があったので、それが一体何なのかを少しだけ考察してみた。
wikipediaのグレートリセットについての記事では、意図的に人工的なインフレ=通貨価値の下落を引き起こせば、赤字国債の価格が暴落し、借金が減り、財政が健全化すると書かれている。
「金融政策でインフレ起こして国債価格を暴落させれば、いくら赤字国債を発行して予算を確保しても財政健全化します」という話はそもそも意味不明であり、国債というのは国の借用証書なのだから、それが暴落するということはその国の政府には借金の支払い能力がないという意味になり、それは財政破綻する恐れがある国だということになる。
国債価格の暴落というのは、「俺(債券投資家)はあの人(どこかの政府)にカネを貸したんだけど、あの人は収入が不安定でちゃんと借金を返せるのかどうか分からない。」ということになってしまうため、それはその国の政府に信用がないということになり、国債とバランスさせているその国の通貨にも信用がないということになる。
wikipediaのその記事は財政破綻させることで借金を踏み倒し、チャラにするという解釈以外に理解することができず、それ以外の意味で書いたのであればインフレによって実質的に借金を減らす効果を期待できるという解釈になるのかもしれないが、国債価格を暴落させると借金が削減できると書かれているため、どうやらよく見かける「インフレで借金チャラ」の話とも異なっている。
(恐らく、国債が暴落している状況というのは通貨価値の下落=インフレであるため、意図的にインフレを引き起こせば実質的に国の借金も減るだろうという意味で言っているのだと思うが、その理解には誤りがある)
そもそも、いくらインフレになっても額面での表面利率と国債償還額が変わらないために借金の負担が減るというわけではなく、国の収入が相当増えていなければ借金の負担は減らない。
「インフレで借金チャラ」という話には大きい穴があり、それは所得(税収などの国の収入)も相当大きく増えていかなければ成立しないはず。
現実を見れば、あまり経済成長を伴わないインフレというのは非常に問題のある経済状態であり、金利が上昇して政府の利払い負担が増加し、企業や家計の借り入れコストも増加することで経済が縮小し、インフレになっていく中で所得の増加が追い付かないために国民は貧しくなっていき、政府の債務残高が増えていく中で経済成長がそれに追い付かないために国債の需要減になる、といった事態を引き起こすばかりであり、何も上手くいくようには思えない。
最近の経済成長はもっぱらAIブームによるものであり、AIバブルが崩壊した時点でスタグフレーション型の景気後退になることは確実であるため、非常に危険性の高いゲームに全てを掛けているかのように見えてしまう。
AIは雇用を大幅に悪化させるとも一部で言われており、AIバブルが崩壊しないとしても、AIによる経済的なダメージは大なり小なりあるのだろう。
【参考】
その経済的なグレートリセット意味では、アメリカ、EU各国、日本、アジアなどで、COVID-19 パンデミックで拠出した補助金、及び公共投資で、赤字国債などの各国の借金がかつてない程、巨額に膨らみ返済不可能な状態なっており、その状態を解消する為の金融リセット(人工的なインフレ(=通貨価値の下落)など起こす事)により、国債価格の暴落を起こし、赤字負債をゼロ近くまで減らし、各国がかかえる借金の解消する為、手段の一つとして用いられるとされる。
この各国の膨大な借入金赤字は、政治的な対応では困難(政治家が緊縮財政への転換で、公共事業の停止と、公務員の削減・解雇によりデフレが進み、企業の求人と雇用数が減ることによる経済の縮小が顕著に表れるため、現政権の支持率の低下による政治的な混乱を、政治家自身が嫌い回避しようとする為)である為、国民への補助金の継続と公共事業への投資を、赤字国債の膨大な発行で継続を、各国の政治家が望むため、西側経済圏での経済的な物価インフレ(=通貨下落)を、各国合意のもと計画的に継続して、各国通貨の全体的な下落を通じて、各国通貨価値に連動した赤字国債価値の下落が起こることにより、各国の財政の健全化(赤字国債下落=各国の借金の削減=各国の財政の健全化)を、進めることを、経済面でのグレートリセットと呼ぶ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/グレートリセット