以下のチャートはReal personal income(実質個人所得=可処分所得)とS&P500のインフレ調整後リターンの推移を表したものであり、これはアメリカの例ではあるが、日本でも所得の増加よりも株価の上昇ペースの方が圧倒的に強く、株式を大量保有する富裕層にとってはより豊かになる一方、住宅ローンなどを抱える中間層や非正規労働者などの貧困層はより貧しくなっている。

以下の動画では、所得と資産価格のギャップが大きく開いたとき、そのギャップが永遠に続くことはないとほとんどの人は理解しているとのこと。

「グレートリセット」というのは、資産価格の大幅下落か個人所得の大幅増によって起きるとも言われている。

「グレートリセット」というのは、「富の不平等」の解消であるといった解説がされている。

 

https://www.youtube.com/watch?v=YXFvwJQBzJc

 

 

貯蓄率は減少している一方、企業の利益率は上昇している。

企業の利益は株主に分配され、株主は受け取った収入のほとんどを消費せず、株式、ゴールド、ビットコイン、プライベートエクイティ(非上場企業への投資)、不動産などの資産に再投資される。

それによって資産価格はどんどん上昇していく。

https://www.youtube.com/watch?v=YXFvwJQBzJc

 

 

現在、アメリカの住宅の平均価格は年間世帯収入の約7倍にまで高まっている。

住宅は消費者物価指数の最大の構成要素であり、住宅価格の大幅な上昇は多くの家計にとって大きい負担となる。

https://www.youtube.com/watch?v=YXFvwJQBzJc

 

 

「富の不平等」のピークは資産価格のピークと一致している。

現在、アメリカの「富の不平等」は1930年代の水準にまで上昇している。

アメリカ史上、最も繁栄した時代は「富の不平等」が逆転し、中流階級が繁栄している時期と一致している。(現在は上位0.1%の超富裕層のみが繁栄する時代)

https://www.youtube.com/watch?v=YXFvwJQBzJc

 

 

アメリカでは1980年代に企業の利益率が圧迫され、高インフレ、低成長に悩まされており、その時期に減税を行っていた。

現在のアメリカも関税の価格転嫁をそのままできない分、収益が悪化している業種があり、高インフレであり、債務の増加ペースが成長率を上回る状況となっている。

2025年7月に“One Big Beautiful Bill Act”(所得減税の恒久化など)を成立させ、また資産価格の上昇をさせている。

(特に製造、消費、航空などで悪化しているが、ごく一部の大手テック系は異常な好業績となっている)

https://www.youtube.com/watch?v=YXFvwJQBzJc

 

 

 

日本では所得が増加しているとは言い難く、資産価格と所得のギャップは開いている。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=79294?site=nli

 

 

日本での国民一人ひとりの豊かさは低くなっている。(G7の中でアメリカが突出して高いが、この指標だけで豊かさを測ることはできないのだろう。異常な金持ちのせいで平均を押し上げてしまっているらしい。) 

 

・追記

【参考】202535日の記事

年収約25万ドル(約3700万円)以上の世帯である上位10%の所得層は、株式や不動産、その他資産の大幅な値上がりに後押しされ、バカンスからブランドバッグまであらゆるものに大金を費やしている。

 ムーディーズ・アナリティックスの分析によると、この消費者層は現在、全支出の49.7%を占めており、1989年にさかのぼるデータの中で過去最高を記録した。30年前は約36%だった。

 このことは、経済成長が富裕層の継続的な支出に異常なほど依存していることを意味する。ムーディーズ・アナリティックスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏の推計によると、上位10%の支出だけで国内総生産(GDP)のほぼ3分の1を占める。

米経済の富裕層頼み、異常なレベルに(WSJ日本版) | ウォール・ストリート・ジャーナル日本版から | ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 | 毎日新聞「経済プレミア」

 

 

世界の1人当たり名目GDPを見ても、日本の貧しさが際立っている。

通貨安・株高政策、海外からの低賃金労働者、慢性化する非正規雇用、付加価値の高い製品を製造できない、少子高齢化、技術進歩の停滞等が今後も続くことがほぼ確実なため、日本の貧しさはこのまま続くことになるのだろう。

この2~3年で貧富の格差はアメリカのように極端に大きくなる流れにあるが、資産価格の大きい下落によって強制的に「富の不平等」が解消される可能性もある。

https://www.globalnote.jp/post-1339.html

 

【参考】

日本が経済成長しない理由は、主に三つあります。

理由

概要

設備投資の停滞

生産数が減少、また、付加価値の高い製品を製造できなくなった

少子高齢化

労働力人口の減少によって、生産能力が低下した

技術進歩の停滞

他国が付加価値の高い製品を開発しているなかで、日本は製品開発に苦戦している

https://www.asahi.com/sdgs/article/15170786

 

【参考】

AIによる概要

一人当たりGDP(国内総生産)は、その国の経済規模を人口で割ったもので、国民一人ひとりが平均していくら経済活動の恩恵を受けているかを示す指標です。世界的にはルクセンブルクやアイルランド、スイスなどが上位を占め、2024年時点では3万ドル台を推移し38位の 日本は、極端な円安、高齢化、労働生産性の伸びの鈍さなどが順位低下の主な要因とされています。

 

 

 

以下の動画によれば、現在の株式市場における信用取引の負債額は1.1兆ドルにまで膨れ上がり、これは2000年以降で最大のレバレッジの増加となっている。

https://www.youtube.com/watch?v=N5jFpL01-m0

 

 

信用取引の負債額対GDPで見れば、1929年よりも低い水準ではあるが、これにレバレッジドETFの1350億ドル、オプション契約・CFD・スワップなどの株式連動デリバティブの5兆ドルを加えると、アメリカのGDPの約20%の規模のレバレッジを掛けた金融商品になっている。

https://www.youtube.com/watch?v=N5jFpL01-m0

 

 

 

アメリカが景気後退期に入ると全体として企業収益が減少し、株価が下落相場になるが、現在の株式市場はAI関連銘柄といったごく一部の株価の暴騰によって株価指数を吊り上げており、AIバブルが崩壊すれば必然的に景気後退入りし、株価も大きい調整局面に入るのだろう。(日本株は自社株買いもかなり入っている)

さらに、アメリカでは信用リスクの高まりも懸念されており、自動車ローン、学生ローン、プライベートクレジット、商業不動産などでデフォルトが現実味を帯びてきている。(既に一部でデフォルトしている)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/90919

それに加えて過去最大のレバレッジを掛けた取引が盛んになっているため、ひとたび問題が発生して崩れ始めれば想像を絶する暴落になる。(レバレッジが大きいと上下ともに変動幅が大きくなる)

 

大手テック系がS&P500の構成率のかなりの割合を占め、株価指数を吊り上げている


https://www.tradingview.com/heatmap/stock/#%7B%22dataSource%22%3A%22SPX500%22%2C%22blockColor%22%3A%22change%22%2C%22blockSize%22%3A%22market_cap_basic%22%2C%22grouping%22%3A%22sector%22%7D

 

 

ついにアドバンテストとソフトバンクグループがファーストリテイリングの構成率を超えた

https://nikkei225jp.com/nikkei/

 

 

【参考】2025103日の記事

アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス会長は、現在の人工知能(AI)分野への投資ブームは「産業バブル」に似ているとし、投資損失を招く恐れがある一方で、社会をより良くする効果もあるとの見方を示した。

  イタリアのトリノで3日開催された「イタリア・テック・ウィーク」でベゾス氏は、製品を持たない段階で数十億ドルの資金を調達する企業があることに言及。「人々が熱狂に包まれるとき、例えば現在のAIのように、あらゆる実験に資金がつき、すべての企業に資金が集まる。良いアイデアも悪いアイデアもだ」とした上で、「投資家はこうした熱狂の中で、良いアイデアと悪いアイデアを見分けるのに苦労する」と述べた。

同氏は現在の状況について、1990年代のバイオテクノロジー・バブルに似た「産業バブル」だと指摘。当時は企業が相次いで破綻し、投資家も損失を被ったが、「命を救ういくつかの薬は生まれた」と語った。さらに4半世紀前のドットコム・バブルにも言及。当時は投資が過熱した時期だったが、いまでは世界に恩恵をもたらしているとの認識を示した。

  ここ数年、AIを開発する企業のみならず、AIを支えるデータセンターや半導体、アプリケーションなど周辺技術を手掛ける企業にも巨額の資金が流れ込んでいる。大手テクノロジー企業にAI向け計算能力を提供する新興クラウド事業者(ネオクラウド)には、インフラ整備前の段階から資金が投じられている。

  AIを巡る熱狂により、関連企業の企業価値は急速に拡大。ブラックロック傘下の投資会社グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)はアラインド・データ・センターズの買収に向け協議を進めているが、同取引ではアラインドの企業価値が約400億ドル(約59000億円)と見込まれている。

  対話型AIChatGPT」を開発するオープンAIは最近、従業員による保有株売却を支援する取引を完了。それに基づくと、同社の企業価値は5000億ドル(約736000億円)に膨らみ、イーロン・マスク氏のスペースXを抜いて世界最大のスタートアップとなった。

 一部の投資家は、AIエコシステムを構成する企業に流れ込む資金の規模に警戒感を示している。シンガポール政府系投資会社GICのブライアン・ヤオ最高投資責任者(CIO)は今週、AIの初期段階ベンチャー投資において「ハイプバブル(過剰な期待によるバブル)」が形成されつつあるとの見方を示した。

  ベゾス氏は、長期的な視点を持つよう呼びかけている。「状況が落ち着き、勝者が見えてきたとき、社会はその発明から恩恵を受ける」と指摘。「今回も同じことが起きる。AIが社会にもたらす利益は極めて大きなものになるだろう」と語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-03/T3K3HSGOT0JP00

 

 


結局、グレートリセットというのは、所得の大きい増加ではなく、資産価格の大きい下落によって「富の不平等」が解消される形でもたらされることになるのだろう

金融政策が成功したのか失敗したのかは、株価指数がどの程度上昇したのかで計ることはできず、国民がどの程度豊かになったか、貧しくなったかで計ることができる。それは中間層がどれだけ増えたのかと同義であるらしい。