2030年頃、不動産が相続によって親から子へ移る際に高額な物件の場合は相続税が掛かるため、それを払うために大量に不動産が売りに出ると言われている。

当然、供給量が急激に増えるようなことがあれば価格は大きく下落することになる。

一部の不動産価格はどう見てもバブルとしか思えない状況になっており、これには明らかに過熱感が出ている。

これは「資産インフレ」と呼ばれる現象であり、資産格差や分配面にマイナスの影響を与えた1980年代と似た状況になっている。

現在のバブルで「資産効果」が表れているのはごく一部の企業、株式を大量保有する富裕層、高額物件所有者(無借金)、ビットコイン保有者、ゴールド保有者のみであり、1980年代のバブルよりも格差は拡大している。

(暴騰し続ける資産価格と実質個人所得との差は史上最大となっている)

 

不動産でも自分が住むために購入しているのではなく、転売目的でマネーゲームをしている「投資用不動産」が多いが、それも5年以内に急激に供給量が増えることによって極端に価格を下げなければ売れなくなると言われている。

結局、資産価格を吊り上げてしまうと需要が著しく増えたのだと錯覚し、投資に積極的になり、供給量を極端に増やすことになる。

最近ではAI関連銘柄の株価や一部地域の不動産価格の暴騰が見られるが、データセンターや住宅・オフィスビル・リゾート施設などが完成する頃には既に景気後退しており、供給過剰となり、資産価格が暴落することになる。(完成する頃に景気後退やバブル崩壊などしていなくても、本当の需要がどの程度のものなのかというのは割とすぐ分かることなのだろう。) 

これは1980年代に行われていたことと似ているように思え、必要な分だけ投資しているのではなく、実際の需要とかけ離れた供給量となってしまうため、どうしてもバブル崩壊を防ぐことはできなくなる。

やみくもに資産価格を吊り上げたり、投資ブームなどを起こしたりするとバブルになり、証券投資だけであれば株価などが暴騰後に暴落するだけの話だが、AI向け巨大データセンター建設ラッシュ、住宅建設ラッシュ、商業施設建設ラッシュといったことまでしてしまうと、後になってから供給過剰(そもそも不要な場合が多い)になり、いくら価格を下げても売れないという状況になりかねない。

これはバブル崩壊後の日本で起きたことだけではなく、中国の不動産でも同様の問題が起きている。(アメリカでも商業用不動産に関しては価格が大きく下落している)

 

【参考】2025917日の動画(一部抜粋)

1958年から1960 年くらいは 空き家の数はせいぜい30万戸ぐらいしかなかったんです。それが現在約900万戸、 つまり30倍になってしまった。

(中略)

900 万戸の中の実は約半分の 443万戸は賃貸用の空き家です。例えば賃貸アパートの空室、あるいは賃貸マンションの空部屋。もちろん戸建ての賃貸もありますけれども。これらの賃貸用で、空いちゃっているっていうのが統計の中では賃貸用空き家として分類されてます。大体900 万戸の半分ぐらいですよね。なのに未だに賃貸アパートとかたくさん作ってるんです

(中略)

個人の空き家というのが今すごい増え続けていて、直近のデータだと385万戸ぐらい。大体賃貸用の空き家で半分。ほぼ半分に近いんですけれども、それが個人住宅。統計上は放置空き家と言われていますけれども、これが380万戸ぐらい。

(中略)

900万戸のうち東京は空き家が約1割、90万戸。空き家が多いというと空き家率というのがあって全体の総住宅数のうち空き家の占める割合というのが日本全体では13.8%。県別に見ると徳島、和歌山、鹿児島というところが空き家率でいうと20%を超えている。これはこれで非常に問題なんですけれど、空き家の実数、戸数ベースで考えると東京の90万戸は圧倒的1位です。

(中略)

マンションって毎月、管理費・修繕積立金かかりますよね。払わない人がいっぱい出てきている。相続をして築古の古いマンションだと、もう貸せないし売れないというマンションが最近出てきている。そうすると相続をしたことを管理組合には黙っておこうという相続人がいる。登記もしないと、管理組合の例えば我々が役員だったとして「303号室空いちゃったんだけれどこの間までおばあさん住んでましたよね?最近、姿を見かけないと思ったら管理費も修繕積立金も払ってくれない。銀行の口座閉じちゃったらしくて、誰が相続したの?」と言ったら「あのおばあさん知ってる?」「知りません」と言って滞納がずっと続いてしまう。一応、管理規約上でどうするのかというと、1年全然払っていないとか一定の期間が経てば弁護士に相談して差し押さえをする。差し押さえをして最初は物件の所有者を探すんですけれども、わからないし、相続人が特定できたとしても払う意思がないと言ったら物件を差し押さえる。差し押さえて売った金額で回収しなければいけないんですけれど、今、都内のマンションでも流動性が極めて厳しくなって、数百万でしか売れないマンションがいくらでも出てきます。そうすると弁護士を雇うと弁護士費用がかかる。長い月数をかけて差し押さえをして例えば250万円でしか売れませんでしたと言って大部分を回収出来ないという事例も出てきています。都区部ではあまり起こらないんですけれども、多摩市の方とか千葉や埼玉なんかになると車1台分ぐらいの価値しかないマンションがいくらでもあります。まだそれは売れれば良くて売れないマンションがすごい増えてきた。そうしたら丸損じゃないですか、費用をかけて。弁護士費用もかかるし、売るのにもお金がかかるので、放置しますよね。それから管理組合の人も老朽化したマンションになればなるほど管理組合の役員もみんなお年寄りですから「そんな面倒くさいことはわしは分からん」「法律もよく分からんし、弁護士?もうやめてくれ」と「とりあえず放っておきましょう」となりがちですよね。そうなると一件だけだったらまだしも今度は505号室で相続が起こったと。あそこの相続人も誰だか分からないうちに止まってしまったというと、管理費未納、修繕積立金の滞納が増えてくると必要な修繕も出来なくなるし管理もちゃんと出来なくなる。マンションスラム化になります。欧米の例を見ていると大体3割がそういう状態になると確実にスラムですね。ちゃんと掃除もしないし、電気が切れても誰も直さないし、エレベーターも点検していないと途中で止まっちゃったりとか。どうしても誰かに貸そうと思ってちょっと風体の怪しい人に貸しちゃったり、あるいは外国人がそこに巣食ってしまったり、というとスラム化が一気に来ます。よくあるのは東京の古いワンルームマンションで例えば池袋大塚なんかは古くからワンルームマンションがたくさんあるんですけれども、マンションの中にはワンルームに外国人が6人住んでいますというのはいくらでもあります。

(中略)

都心のマンションはそれでも立地の価値がありますから、ちゃんとリニューアルして部屋も建物も大規模修繕をやれば実際は80100年持ちますから、不動産の投資アドバイザリーをたくさんやっていますけれど、常に流通性を確保するという意味ではやっぱり立地が命ですね。

(中略)

恐らく2030年あたりをスタートに東京の都区部でも大量に相続が起こる。横浜とか大宮とか郊外でも起こってきますけども、都区部の世田谷とか杉並とか練馬とか一軒家がたくさんありますよね。あの主がほとんどいなくなります。

(中略)

その家を受け継いで住んでくれればいいけれど、必ずしもみんなそうではなくて、既に家を持っているとか、マンションを買ったという人もたくさんいますよね。使わないですよね。そうすると売るか貸すしかない。みんな考えることは一緒なので「じゃあ売るわ」「世田谷だから高く売れるだろう」世田谷で相続をした人が全員考えるんです。世田谷の中でも成城学園とかブランド立地がありますので、そこはそんなに混乱は起こらないけれども、そうではない駅からバスで行かなければいけないようなちょっと遠いところになればなるほどなかなか売れない。あるいはうんと安くして売ると。そういうストーリーは今はみんな信じないかもしれないけれども、人口の構成を見ると、人間が生物である限り2030年以降かなりの割合で発生してきます。これは世田谷、練馬に限らず全都で起こってきます。不老長寿の薬が出来てみんな生きているとか、大量の移民が入ってくるとか、そういうことが起こらない限り。

(中略)

自宅に誰も住んでいないと特例も使えないので、もろに相続税がかかります。その評価額の分、税金がかかる。評価額によって日本は世界で5指に入る相続税率の高い国で、最高税率55%なので半分なくなります。これが金融資産だったら株とか債券とか現金にして払いますけど、不動産だけ持っている人が売らなければならない

急に何千万ですって言われても

無理ですよね

お金ないってなっちゃいますよね

(中略)

金融商品は分かりやすいですよね。ところが不動産はみんな分かっていないんですよ。例えば、お父さんが5,000万円で買ったマンションだから、今何となく不動産マーケットが上がっていると聞いているから、7,000万円にはなっていないかもしれないけれど、5,000万円で売れるはずと言っても、首都圏の郊外にあるマンションだと500万円ですとか言われてしまう。

2030年を過ぎたら東京都の都心であっても値下がりしていく。

ということは郊外はもっと酷くなるんです。

一部では東京都心のマンションとか史上最高値みたいになっていて、手が出せないぐらいの価格になっていて、もう下がらないんじゃないかという見立てもあるじゃないですか。それを見ていると大丈夫だろうという気になってしまうんですけれどそうではない?

不動産のマーケットは今2つなんです。投資をするマーケットと家住みたいっていう実需のマーケットって、全然違うマーケットです。投資家の集まるマーケットはゲームだと思ってください。

ゲーム?

みんなでゲームやっているんです

どれが上がるかなあと?

例えば、2年前に分譲されて大変話題になったのが港区の三田ガーデンヒルズっていう、これ超高級マンション。1坪で1,300万円から1,400万円で売られたんですね。だから4億円5億円の中古ばっかりなんです。120平米で5億円ぐらいになってしまう。これが九百何十戸分譲された。今年の3月に引き渡しがあったんですね。面白いから引き渡しが起こった翌月(4)に中古サイトを覗いてみたんです。大量に売りが出ていて、つまり引き渡し即転売

それはやっぱり価格が上がるんですか?

これはあくまでも希望価格が並んでいるだけなんですけれども、坪2,500万円から3,500万円。

確かにそうすると最初の時点で抽選とかいろいろあるんでしょうけれど当たって買えた人って。

僕の知り合いで買った人がいるんだけれど、「やったー、当たったー」「どうするの?」「売る」だからゲームなんです。別に住む目的でも何でもない。

実際住んでいる方っているんですか?

もちろんいますけど。あと去年から、中国人投資家ツアーというのがあって、そこで東京マーケットを喋ってという依頼が出て、中国人の投資家25人ぐらいの前で東京のマーケットを説明したんですけれど、三田ガーデンヒルズが売られて引き渡しの前だったんです。試しにと思って「買った人いますか?」と聞いたら1人手を挙げて「52,000万円のマンションを買いました」「どんな点が気に入ったんですか?立地ですか?仕様ですか?」と聞いたら「立地も仕様も気に入ったんだけれどもまず安いと思った」まずそれで一発喰らったという感じで。「それ以外にどんな理由があったんですか?」と聞いたら「実は1番の理由は同胞人がいっぱい買っているので安心して買えました」「同じ国の人がたくさんいないと自分だけ外人は嫌じゃないですか」「ちなみにどのくらい中国の方が買われているかご存じです?」と聞いたら「正確には分からないけれどもどう見ても100人以上は買っている」と言われました。その人はまだ日本に永住していないけれど永住するつもりで買っています。だから転売ヤーではないですけれど転売ヤーもたくさんいる。これは中国人に限った話ではなく日本人もみんなやっています。宝くじ気分でみんな申し込むんですよ。510億は極端な話ですけれど今、都心の区分所有マンションはみんな投資ゲームをしている。自分が住んでいない。晴海フラッグなんかもよく言われますけれど、転売の目的の人も結構いるんです。外国人の中には管理費とか修繕積立金の概念自体を知らない人が多い。

(中略)

いつまでこの投資熱続くんだろうなと思ったんですけど、1つは今、住宅需要というのは2つに別れていてその1つが投資だと。これが金利とか市場の環境によってどこまで続くか分からないけれども、ここは一般人はあまり手を出さない方がいい

ゲームの場なので勝ったり負けたりするんです。ゲームをやっていて全員が勝つことは絶対ない。これから負ける人も当然出る。現に今も負けている人がいる。そんなの一般の人は放っておきなさいと

手が出ないと言われている東京の住宅市場というのは投資熱が1つの原因ということですよね

明らかにそうです

2つ目の住む需要の方はこれとはまた別の見方をした方がいいということなんですか?

これから大量相続が起こる時代になると、実需としての家は余るどころか、今90万戸の東京の空き家がもっと増えてくる。これはほぼ確実。

https://www.youtube.com/watch?v=jioRrE89XpY

 

【参考】2025914日の記事

71日、国税庁は全国の路線価(今年11日時点)を発表した。インバウンドに人気の浅草1丁目・雷門通りは前年比29%も上昇。上昇率は都内トップ、全国でも3番目だった。地価が上がれば、土地取引も過熱する。バブル期の地上げを彷彿させるような取引が目立つようになり、対象は鳥越1丁目にも及んでいる。

 細谷さんが憂慮するのは、下町コミュニティーの崩壊だ。古い町並みが残る鳥越1丁目にはかつて1300世帯ほどの住民が暮らしていた。だが、わずか6年ほどで従来の住民は600世帯あまりに減ってしまったという。

「金の力で追い出されてしまったのです。このままでは、町が壊れてしまう。言葉は悪いですけれど、開発業者は住民を札束でひっぱたいているんです」(細谷さん)

 細谷さん本人も例外ではない。

「うちは築101年だから、真っ先に狙われる。ダイレクトメール、電話、直接訪問で、開発業者が毎日のようにアプローチしてくる。『言い値でいいから、家と土地を売ってもらえませんか』と」(同)

開発業者から渡された資料を、細谷さんは見せてくれた。表紙に印刷された「価格目安表」には、土地坪単価が300万円から700万円まで記されている。

「狭い裏通りに面した土地でも坪500万円(公示価格の222%)から700万円(同311%)が相場。表通りだと坪1千万円を超えます」(同)

 鳥越1丁目には810坪の小さな住宅が多いそうで、この場合、立ち退き料を含めて、開発業者が提示する総額は、「1億円くらい」。大金だ。

https://dot.asahi.com/articles/-/264745

 

【参考】202599日 の記事

不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)がまとめた8月の新築小規模戸建て住宅の平均希望売り出し価格は、東京23区が前月比0.2%安い8124万円だった。都心部の高騰が相場を押し上げており、前年同月比では4.4%上昇。2カ月連続で8000万円台の高値圏を維持した。

調査は敷地面積が50平方メートル以上100平方メートル未満の新築木造一戸建て(土地含む)について、最寄り駅まで徒歩30分以内またはバ...

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB081PY0Y5A900C2000000/

 

 

※現時点では東京の空き家率は高くないようだが、相続が大量に起きると空き家率も上昇していくのだろう。

 

【参考】202458日の記事

総務省が430日に発表した202310月時点の住宅・土地統計調査(速報値)によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.8%となった。 調査は1948年以来5年ごとに実施しており、2023年の住宅・土地統計調査はその16回目に当たる。

空き家の増加は、建物の劣化による倒壊の危険、景観や治安の悪化といった問題につながる。

都道府県別にみると空き家率が最も高かったのは徳島県(21.24%)で、次いで和歌山県(21.17%)、山梨県(20.47%)が続いた。

一方、空き家率がもっとも低かったのは沖縄県(9.30%)だった。東京都(10.95%)は全国で4番目に低かった。

https://toyokeizai.net/articles/-/751543

 

 

 

やはり不動産業界は需要と供給の面で考えると明らかにバブルになっている。

しかし、一部では今も価格が暴落しており、東京、北海道、九州の一部では今も価格高騰が続いているため、バブルとバブル崩壊が同時進行しているのかもしれない。

恐らく、空き家となっている物件は、かなり安い家賃で誰かに貸すか放置するしかないのだろう。

立地が良くない場合は、いくら価格を下げても購入する者はあまりいないのだから必然的にそうなる。

建物には寿命があるため、通常の分譲マンションが老朽化してきた場合、リノベーション、建て替え、解体して更地の状態で売却、放置して廃墟化、そのいずれかになるようだが、建て替えや解体する場合は費用がかなり掛かり、しかも所有者の同意がなければできないのだから、集合住宅の場合はかなり厄介であり、廃墟化の方が圧倒的に多くなるのだろう。

 

【参考】

マンションの建て替えとは、既存のマンションを一度取り壊し、その後新たにマンションを建築することです。
マンションには、法定耐用年数が設定されており、この時期が建て替えを最初に検討する目安となるタイミングです。
しかし、実際にはマンションの建替えは少なく、ほとんど行われていません
全国のマンションストック数は、約694.3万戸(2022年末時点)あり、そのうち旧耐震基準のマンションは約103万戸存在しますが、2023年3月時点で建て替えが完了したマンションはわずか282件、約23,000戸です。
この数字から、マンションの建て替え件数が非常に少ないことが明らかとなっています。

マンションの建て替えが少ない理由は、建て替えの決議をとることが非常に困難なこと、建て替えの費用負担が重いことが主な理由です
また、既存不適格であることが理由の場合もあります。
既存不適格とは、建築当時の法令に則って建築されたものの、現行の法令では違反となる建物のことです。
例えば、容積率
500%の建物を建て替える場合、容積率が400%と指定されている地域では、容積率400%に是正しなければならないため、建て替え後は建物の規模が縮小されてしまいます。
一住戸あたりの面積を減らすか部屋数を減らす必要があるため、これもまた賛成の決議を取ることは難しいでしょう。

https://mercury-realestate.co.jp/article/apartment_regeneration/apartment_rebuilding/

 

【参考】

マンション1棟を解体するのにかかる費用相場はそのマンションの規模や立地、構造などによって大きく異なります。

一般的には鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションを解体する場合には、一戸あたり200万円から1,000万円程度を要することが多いでしょう

なお、解体後にマンションを建て替えるのではなく、更地にして敷地を売却する場合、その敷地の売却対価は住民に割り振られます。しかしここから解体費用を捻出することとなるため、手残りがほとんどないケースも多いほか、土地の評価額が高くないエリアの場合には持ち出しになる可能性もあるでしょう

マンションを解体して建て替える場合には、解体費用に加えて新たなマンションの建築費用も必要となります。この場合の費用相場も建て替えるマンションの規模や構造などによって異なりますが、一戸あたり1,000万円から3,000万円程度の負担を要することが多いでしょう。 

https://realestate-od.jp/mansion/column/article2373/

 

 

しかし、「定期借地権付き物件」(マンション業者が地主から期限付きで土地を借りて建てるマンション)であれば土地を購入するのではなく、借りることになるため、保証金や権利金などを払うことにはなるが、土地購入代金がかからず所有権付きの物件より安くなる。(下記リンク先の【大石解説】動画では、「定期借地権付き物件」は所有権はないが1,500万円ほど安いと解説している)

そういう物件が今後増えていくのであれば契約期間満了時(約60年)には建物を解体し、土地を更地にして地主に返還することになるため、廃墟化を防ぐ効果がある。

(「定期借地権付き物件」は最初から解体費用のことを考慮して建てているのだろうから、解体工事があまり手間取らない工法や建材を使っているのかもしれない。通常の分譲マンション等は解体費用のことなど何も考えずに建てており、権利の問題もあるため、築60年や80年ぐらいになってくると放置されやすいのだろう。)

https://youtu.be/eaRIvoRi5ww?si=fA-2wsWnqtkN4cV2&t=552

現時点で賃貸用の集合住宅の空き家率が半数を占めているが、それらは家賃を大幅に下げれば入居率が上昇するはず。

一方、売りに出されている物件というのは購入者は所有することになってしまい、所有することによる維持費が負担になるため、立地が良くない場合はいくら価格を下げても買い手が見つからないことが多い。

つまり、価格を下げると言っても、賃貸なのか、売りに出ているのかによって意味が変わる。

この問題に関しても外国人の力を借りることになりそうだが、廃墟がいいのか、安い家賃の集合住宅に住む外国人だらけ(スラム化)になるのがいいのか、どちらかを選択することになるのだろう。

自民党政権はインバウンド観光に力を入れてきた甲斐もあって観光地では既に外国人だらけになっており、「外国人だらけ」という光景は何も珍しいことではなくなってる。

そういう流れもあることから、大量の移民が流入して外国人が多く住んでいる状態になってもそれほど違和感はないのだろう。

 

【参考】(一部抜粋)

バブルの発生を伴う急激な資産インフレは,日本経済に様々な影響をもたらした。ここではその影響を,①資産・所得分配への影響,②資源配分への影響,③マクロ経済への影響という3つの観点から整理してみる。

1 資産・所得分配への影響

今回のバブル発生の過程では,一般諸物価や賃金が落ち着いた動きをたどるなかで,株価・地価のみが突出して高騰した。この点は,前回株価・地価が高騰した70年代前半にはみられなかった今回の特徴である。

(中略)

このように,株価,地価が突出して高騰したことは,資産・所得分配面で大きな歪みを生じさせた。

前述のような形で資産インフレが進行すると,「持てる者はますます持つようになる」という形で資産の分配が不平等化するのは,ほぼ自明である。それは,①高所得者層ほど資産の保有ストックが大きく,②その保有資産の価値が資産インフレによって上昇するからである。今回の場合はさらに,土地について,元々価格水準の高い三大都市圏の方が上昇率が高いという事態となったが,これも土地を持てるものと持たざるものの格差を一段と拡大させた。また,「持てる者」のみが,値上がりした資産の売却によって多額の売買益を享受するという形で,所得の分配の面でも格差が拡大した。

資産・所得分配の状況を具体的に見よう。まず株式について,所得階層別に貯蓄の種類別構成比をみると,低所得者層ほど総じて定期性預貯金などの安全資産のウエイトが高く,高所得者層ほど株式のウエイトが高い。

したがって,今回の資産インフレの過程では,高所得者ほど株価上昇のメリットを享受したことになり,バブル発生は家計の資産格差を拡大させたものと考えられる

(中略)

資産インフレに伴い株式・土地の評価益(キャピタルゲイン)が急増したことはすでに第1節で見た。このキャピタルゲインは,基本的には勤労努力なしに,資産を保有しているだけで得られるものであり,いわゆる不労所得である。このことは労働の対価として得られる所得の比重を相対的に低下させることとなり,勤労意欲の低下をもたらすことになったのではないかという指摘がある

2 資源配分への影響

バブルは,資源配分という面でも大きな歪みをもたらすこととなった。

一般的には,需給の実態を反映した相対価格の変化は,経済的な資源配分を変化させるシグナルとしての役割を果たす。これは一般の財・サービス価格でも資産価格でも同じである。しかし,今回のバブルの局面では,一時的な投機によって支えられた価格の上昇をそのままシグナルとして受け取ってしまい,これを前提に長期的な資源配分を行ってしまったケースがかなり見られた。こうした錯覚(又は予測の誤り)に基づく資源配分は,その後の資産価格急落があって初めてその非効率性が誰の目にも明らかとなる。バブルが崩壊した今,我々の身の回りではバブルがもたらした資源配分上の歪みが様々な形態で顕在化してきている。その歪みとは具体的にどのような点か,それを以下順に見ていこう。

(中略)

資源配分の歪みとして第一に指摘できるのは,不動産の供給過剰である。

地価の高騰や不動産取引の活況が長期化するにつれ,オフィスビル建設やリゾート開発等の大型プロジェクトが続々と実行に移された。こうしたプロジェクトは懐妊期間が長いため,バブルが崩壊した最近になって完成が相次ぎ,先行き大幅な供給過剰が懸念されている。バブルの発生は,不動産の供給を過度に刺激し,結果として利用度の低い資本ストックの積み上がりを招くなど,非効率な資源配分をもたらした

(中略)

最後に,バブルの過程で,バブルから生み出された一時的な所得を背景に,行き過ぎた消費・投資活動があったという面を指摘しておこう。

バブルの過程で巨額のキャピタルゲインが発生したことにより,国民の一部に,豊かになったという錯覚が生まれ,従来見られなかったような高額品の購入や贅沢なサービス消費が幅広く行われた。また,保有資産の担保価値の増加を通じて資金の借入能力が向上し,加えて大企業では株価上昇に伴い見かけ上資金コストの低いエクイティファイナンスが可能となったこともあって,企業の投資行動やマクロ的に見た資金の流れにも特徴的な動きがみられた。

3 マクロ経済への影響

(中略)

資産価格上昇の景気刺激効果の第一は,家計が保有する株式等の資産価値の増大が,消費の拡大に寄与したことである。これは「資産効果」として知られているが,特に,耐久消費財などの消費を刺激したものと考えられる。

第二は,住宅投資を刺激する効果である。地価の上昇は,土地を保有しない家計にとっては住宅取得費用の増大となるから,その面では住宅投資を抑制する要因となる。しかし他方では,地価の上昇は,地価上昇期待の高まりや税負担増加への対応,不動産担保価値増大による資金アヴェイラビリティの向上等を通じて住宅投資を刺激するという効果がある。こうした地価上昇の刺激効果が,80年代後半に,東京圏での貸家建設,地方中核都市やリゾート地での投資目的のための分譲住宅,従業員用の給与住宅の建設を増加させたものと考えられる

第三は,企業の設備投資を刺激する効果である。株価・地価の高騰は,企業の資金調達を容易にする効果があった。すなわち,地価の上昇は,企業が保有する土地の担保価値の増大を通じて,金融機関からの借入能力を高めた。また,株価の上昇は,上場企業の転換社債やワラント債の発行を活発化させ,見かけ上資金コストの低い資金調達を可能にした。また,地価の高騰は,一面では土地取得を伴う投資を阻害する面があったが,他面では,保有地の効率利用を目指した建設投資を促進するという効果もあった

https://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je91/wp-je91-00301.html