なぜ最近になって米国債がデフォルトするのではないかとか、借り換えリスクが高まるのではないかと言われるようになったのかというと、それは高い金利のまま借り換えしてしまうと、今後の重い利払い負担が確定してしまうため、それは何とかして回避したいのだが、金利は下がってくれず、現在の金利水準のまま大量の借換債を発行せざるを得ない状況になってしまい、将来的に利払いの不履行に陥るリスクが高まるため。
また、債券市場での極端な流動性低下を引き起こすこともある。
国債の金利が数パーセントというのは数字だけ見れば異常な水準ではないように思えるが、あまりにも巨額の債券を発行する場合、数パーセントの金利であってもとんでもない利払い負担が生じてしまう。
結局、アメリカ政府は債務不履行も重い利払い負担も、どちらも回避したいため、ゼロクーポン100年債といったデットデットスワップ(債務の交換)の話が出てくるようになった。
普通に借り換えができるならそれでいいが、ゼロクーポン100年債のような話が出てきたということは、やはり今後も何の問題もなく借り換えができる保証がないという感じがしてしまう。
借り換えであれば満期が来れば借金を返すことになるが、ゼロクーポン100年債は事実上の踏み倒しになる。
その「アイディア」は大統領経済諮問委員会(CEA)委員長のスティーブン・ミラン氏が言及しており、場合によってはあり得るような話に聞こえてしまう。
【参考】2025年2月27日の記事
最近の臆測の一つに、米財務省が100年後が満期のゼロクーポン債を発行するというアイデアがある。
ミラン氏は昨年11月の論文で、元クレディ・スイスのアナリストで調査会社エクス・ウノ・プルレスの創業者であるゾルタン・ポジャール氏が同年6月の論文で提案した米国と軍事同盟国との合意に言及している。それによると、米国が安全保障を担保する見返りとして、同盟国はこの100年債の購入を義務付けられる。
米財務省が発行済み米国債の外国保有分を長期ゼロクーポン債に交換するという案もある。参加を拒否する同盟国は、安全保障が担保されなかったり、関税を課されたり、あるいはその両方の措置を取られる可能性がある。
「マールアラーゴ合意」とは何か、ドルへの影響は-QuickTake - Bloomberg
これは利払いもしないし、借金も100年後まで返さないというものなのだから、債務者にとっては都合がいいが、債権者にとっては最悪の債券となってしまう。
債権者は金利も受け取れず、借金も返してもらえるのかどうか分からないような状況になってしまうため、万が一、既発債をゼロクーポン100年債と交換するということになれば、普通に考えれば今後は誰も米国債など買おうとは思わなくなるのだろう。
普通、ゼロクーポン債というのは割引債のことであるため、満期になればその差額が金利に相当するものとして債権者に支払われるが、支払いが100年後ということになるのでは債権者は誰も嬉しくない。
【参考】2025年4月4日の記事
ベッセント氏は、2024年1月に、運用するファンド投資家向けレターで次のように書いています。
「債券市場は6%に近い財政赤字によって生じた大量の米国債発行を吸収するのに苦労していたため、長期ゾーンの金利はほぼ一直線に上昇していました。この発表に先立ち、米国債借入諮問委員会(TBAC)は長期の利付債発行をさらに増やすことを推奨しており、債券市場もこの推奨どおりに長期債の発行が増えるものと見込んでいました。しかし、意外なことに、11月1日に財務省は長期債の発行をわずかに増やすだけで、代わりに財務省短期証券(Tビル)の発行によって財政赤字をより多くカバーすると発表しました。
なぜ、財務省はプランを変更したのでしょうか?(訳補:なぜ財務省はTBACの推奨にしたがわず、Tビルでの資金調達を増やしたのでしょうか?)財務省は、それまでの債券市場の急落とそれに伴う金融環境の引き締まりに不快感を覚えていたとわれわれは考えています。そのため、イールドカーブが大きくインバートしていることを考えると(訳補:短期金利>長期金利)、財務省短期証券(Tビル)による資金調達はよりコストがかかるわけですが、財務省はそれを支払う価値のある代償と判断したのでしょう。短期的には、この発行戦略の変更は望ましい効果を発揮し、11月1日の発表以降、金融環境は大幅に緩和しました。しかし、中期的には、これはリスクの高い戦略であり、多大なコストを伴うと考えています。支払利息の増加に加えて、短期ゾーンに発行を集中させると、米国債は借り換えリスクを通じてより大きなボラティリティにさらされ、ネガティブな調整の可能性が生じます。」
https://www.fidelity.co.jp/page/strategist/vol196-what-is-mar-a-lago-accord-vol5
※以下の動画は一部、意訳している。
【参考】2025年6月21日の動画
トランプ大統領「もし何年も金利を1ポイント下げれば、3000億ドルを節約できる。2ポイント下げれば、さらにほぼ同額節約できる。私たちは金利を節約することで、年間6000億ドルを支出するつもりです。ここに座っている1人のバカのせいで6000億ドル。彼が抱えている問題は、私が彼に説明したように、インフレが上昇していないなら今すぐ金利を下げるべきだということです。インフレはありません。私たちはインフレを下げました。価格を下げました。ガソリン価格を下げました。私たちは掘削し続けています。それが価格が下がっている理由です。数日前、彼が私のオフィスにいたのですが、私はこう言いました。”インフレがあると思うなら実際に調べてみましょう。私たちはインフレを抑え続けることができると思っています。ガソリン価格は大幅に下がるでしょう。石油エネルギーは有り余っています。仮に1年後にインフレが起きたら、どうぞ金利を上げてください。私は気にしません。金利を上げてください。大賛成です。しかし、ここで金利を維持する必要はありません。インフレが上昇するなら金利を上げても構いませんが、今はインフレは下がっています。”」
さて、これを見ていただきたいのですが、これは連邦政府が2025年度にこれまでに支出した金額を示しています。
利払い費が国防費よりも多くなっています。これほどまでに悪化しているということです。そして、国家債務が増加の一途を辿っているため、状況はさらに悪化するでしょう。
これは2000年以降のアメリカの財政赤字を示しています。
政府は収入を上回る支出を続けおり、当然のことながらその差額を借金で賄うことになります。2024年度にはアメリカ政府は1兆8300億ドルの支出超過に陥りました。そして当然のことながらその差額を借金で賄わなければなりません。それが国家債務の増加に繋がります。こうして、私たちは37兆ドルの債務を抱えることになりました。そして2025年にはトランプ大統領はバイデン大統領を上回ることになるでしょう。トランプ大統領は2兆ドルの財政赤字を生み出す見込みです。そして2026年度にはさらに悪化すると予想されています。
さて、これを見てください。これは今後数年間でアメリカ政府の利払いがどれだけ増加するのかを予測したものです。
悪い数字に見えますよね?しかし、これは正確ではないというのが私の意見です。私の率直な意見としては、利払いはこれよりも遥かに高くなるでしょう。なぜなら、これらの予測には、戦争や不況、あるいはトランプの法案のために負わなければならない追加債務など、これらの数字には含まれていません。したがって、アメリカ政府は予測よりも多くの借金をしなければならないと私は考えています。つまり、利払いも予測より大きくなるということです。ご存知の通り、今年度の財政赤字は昨年よりも悪化しています。
そしてその他の主要支出項目の予測も示しておきます。社会保障、メディケア、国防、メディケイドです。
これは責任ある連邦予算委員会からの発表です。つまり、債務危機に直面しており、金利はアメリカ政府の財政に大きな影響を与えます。そして37兆ドルの債務を抱えるとこのような事態が起こるのです。これは私の推測ですが、メルトアップシリーズをご覧になればこれらのどれもが衝撃的なものではないことが分かるでしょう。予想通りの展開です。他に結末が考えられないからです。ですから、これは非常に予測可能な状況です。これが現状であり、トランプ大統領がFRBのパウエル議長に激怒している理由です。
https://www.youtube.com/watch?v=ibhBudtIeY8
インフレを抑制するには政府の支出削減や増税で対処できると言われているが、アメリカ政府は今のところその逆のことをしている。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/現代貨幣理論
また、物やサービスの供給量を大幅に増やせば供給が需要を上回るため、これもインフレを抑制できる。
マネーサプライを減少させれば銀行口座のお金が大幅に増えることがなくなるため、これも需要が減り、インフレを抑制することになる。
なぜインフレが起きるのか メカニズムを理解し最適なマネジメントを見出す | 政治・経済|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
しかし、アメリカのM2マネーサプライは現在も過去最高を更新しており、その上、高い関税を掛けていることで供給不足に陥りやすい状況になっている。
https://www.youtube.com/watch?v=P3UTHCbD57I
もし、将来的にアメリカ政府がデフォルトするのだとしたら、それは償還の方ではなく、利払いの方でそうなるのだろう。
あるいはデットデットスワップのような「債務再編」によってデフォルトを回避したと言うのだろう。
去年の時点でAAA格付けの商業用不動産担保証券(CMBS)が既にデフォルトしているが、それも利払いの不履行によるものだった。
今年満期を迎える巨額の債務は大半がT-billであり、それは償還期限が1年以内の割引債となっている。
短期債の借り換えリスクが高まると、最悪の場合、流動性が枯渇するらしい。
今年の4月、米国債で投げ売りが起きた例がある。
その時、米国債に限らず、世界的に国債が売られていた。
発端は米30年国債利回りの急上昇だったが、このような動きは「ベーシス取引の解消」「デレバレッジ」によるものと言われている。
しかし、以下のように様々な可能性についても言及されている。
「多額の国債入札前の利益確定売り」
「利下げが従来の予想より少なくなる」
「関税政策による経済成長とインフレへの打撃を懸念して、大規模な現金化の動きを招いている」
「投資家が質の高い資産であってもポジションを清算しようとする兆候」
「トランプ氏の通商政策による世界経済への重大な影響を踏まえ、中国などの国などが外貨準備として保有する米国債のポジションを見直している可能性」
「中国が関税への報復措置として米国債を売却している可能性」
米国債の「投げ売り」が世界に連鎖、各国長期金利が急上昇 - Bloomberg
米国債利回り急伸でベーシス取引の大規模解消に警戒感、コロナ禍級か - Bloomberg
【参考】
2007−2009年の金融危機では、まず危機の初期段階で米国の住宅バブルの崩壊により不動産価格が下落し、住宅ローン担保証券などの証券化商品の市場価格の下落が起きたが、次の段階で、証券化銀行業の資金調達手段として利用されていた債券レポや ABCPなどの(担保付)短期債に課される担保価値割引率や、取引に要求される証拠金が上昇したことで短期債の「借り換えリスク(rollover risk)」が高まり、資金流動性の悪化が起きた。さらに、危機の最終段階では,証券化銀行業の資金流動性の悪化が原因となり、証券化銀行業による「レバレッジの巻き戻し」と短期債の担保資産の「投げ売り」が起きた結果、資産価格がさらに暴落し、資産市場の流動性が枯渇するという事態に至った。
https://doshisha.repo.nii.ac.jp/record/22304/files/17064030401.pdf
【参考】2025年4月9日の記事
ベッセント米財務長官は9日、米国債の売りは「正常なデレバレッジ」の課程だとし、システム的な要因は働いていないとの考えを示した。
また、米国の関税引き上げに対する報復措置として、中国が人民元の為替レート切り下げを試みないようにと警告した。
「市場では今起こっているのは、よく見られるデレバレッジの動きの一つだ」とFOXビジネスの番組で述べた。ヘッジファンド運用者としてのキャリアにおいて、こうした状況を何度も目撃してきたと付け加えた。
「債券市場には、非常に大きなレバレッジをかけた取引をしていたプレーヤーがおり、こうした投資家が損失を被り、デレバレッジを余儀なくされている」と解説した。
米国債市場ではここ数日、長期債が大きく売り込まれた。株式市場が下落している中での債券売りは、安全資産としての米国債のな役割に反する動きだ。30年物米国債利回りは今週に入ってから約50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇している。
ベッセント氏は「債券市場で起きているのは、システム的なものではなく、不愉快ではあるが正常なレバレッジ解消だと私は考えている」と述べた。
中国が米国による中国製品への関税引き上げに対する報復措置を発表したことについては、「中国がするべきでないのは、切り下げによってこの状況を打開しようとすることだ」と警告した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-09/SUG9MHDWRGG100
【参考】2024年10月30日 の記事
・投資家、最上級格付けの商業用不動産担保証券で損失被る
・不動産が時代遅れになることはないという考えは間違いだった
ウォール街の金融関係者にとって、ブロードウェイ1407番地のビルは、考え得る限り最も盤石な資産だった。ニューヨーク市マンハッタンの歴史あるガーメントディストリクトの中心に位置する43階建てのビルは、リッチな企業テナントが尽きることのない収益を生み出すマシンだった。
そのため、2019年の賃貸収入を担保に3億5000万ドル(約540億円)相当の債券が発行された時、その大半は格付け会社から最上級の「AAA」相当の信用格付けを得た。
世界の金融市場の指標となる米国債でさえ、これほど安全とは見なされていない。ブロードウェイ1407番地は景気循環の影響を受けないため、デフォルト(債務不履行)はあり得ない、そんなことは5000年に一度の異常事態だ、と考えられていた。
債券発行から4年と212日後の今年6月17日、AAA格付け債の保有者たちは、その月に支払われるべき100万ドルの利息が満額は支払われないことを知らされた。保有者らは現在、投資した資金の回収を目指してビルを差し押さえようとしている。
シカゴのリバーノースポイントと呼ばれるビルも同様の状況だ。サンフランシスコのカリフォルニアストリート600番地とロサンゼルスのウエスト5番街555番地も同じだ。
マンハッタンに戻ると、ブロードウェイ1407番地から少し歩いたところにある旧MONYビルは正式にデフォルト(債務不履行)している。
この建物は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と比較し、評価額が激減。一部の債権者は投資資金を全て失い、AAA格付け債の購入者でさえ26%の損失を被った。これは、金融危機以来のことだ。
「AAA」債がデフォルト、米オフィス市場の底知れぬ落とし穴 – Bloomberg
以下の記事によれば米国債務の償還ピークは5~6月と11~12月となっている。
やはりT-Bill(償還期限が1年以内の割引債)が大半を占めるようだが、「かつて低利で発行された中長期債が高利環境下で再発行」されることで利払い負担がさらに増大し、持続可能な財政を脅かすようでもある。
【参考】
ロボコップ
2025年5月17日 14:45
はじめに
2025年は米国債(U.S. Treasury Securities)の償還(満期到来)が年間約9.3兆ドルに達する「償還の山(maturity wall)」の年です。この規模は過去10年で最大級であり、短期・中期・長期を問わず巨額の元本返済が集中するため、世界の金融市場や金利動向に大きな影響を及ぼすと予想されます。投資家としては、「いつ」「どの種類の債券が」「いくら償還されるのか」を正確に把握し、金利リスクや再発行リスク(ロールオーバーリスク)に備えることが必須です。
1.2025年の米国債償還総額と背景
年間償還総額:約9.3兆ドル
米国の政府債務(公的保有分)の約3分の1が、2025年4月1日から2026年3月31日までの間に満期を迎えます。
内訳の特徴
短期国債(T-Bills)が大半を占める
中期・長期国債(Notes, Bonds)も累計で3.1兆ドル超が2年以上前に発行されたもので、高金利環境下での再発行コスト増加が懸念される
背景要因
新型コロナ対応の巨額財政出動
連邦準備制度(FRB)の積極的な利上げによる長短金利の上昇
政治的分断による財政運営の不透明感
2.月別償還スケジュール──短期国債と中長期国債を押さえる
以下では、短期・中期・長期それぞれの枠組みで月毎の主な償還ポイントを整理します。
1. 短期国債(T-Bills)の動き 毎週発行・償還:4週物、8週物、13週物、26週物、52週物など
月間償還額の目安:700~850億ドル前後(月平均約775億ドル)
特徴とリスク
金利変動への感応度が極めて高く、利払いコストは急上昇中
TBAC(財務諮問委員会)は発行比率15~20%を推奨するも、実際はこれを上回る短期比率となり、「ステルスQE(隠れた量的緩和)」との指摘もある
2. 中期・長期国債(Notes & Bonds)の主要償還
中期・長期国債は、**年数に応じた「満期一回」**が大きな山を作ります。2025年の代表的な償還例を紹介します。
5月15日:大型3本立て償還
3年債($58億ドル)※2022年5月発行分
10年債($42億ドル)※2015年11月発行分
30年債($25億ドル)※1995年11月発行分
→ 合計約125億ドルのNotes&Bondsがこの日一斉に返済
毎月発生するNotesの償還
2年FRN、2年Fixed、5年、7年Notesは毎月順次償還・再発行が実施
20年債(通常は月末か月中)やTIPS(物価連動債)も同様のサイクル
その他の大型償還例
11月15日:10年債、30年債の別枠償還
年度末(3月末)にかけての累積償還額が最も膨らむ
※具体的な各月のNotes/Bonds金額は公表データで随時確認可能 (「Tentative Auction Schedule」「Schedules of Federal Debt」参照)
3.債務上限問題との「同時リスク」
Xデー(債務上限到達日)が通常は夏~秋にかけて到来
償還ピーク(5~6月、11~12月予定)と重なると:
1. 新規発行停止による資金ショート
2. 元本未返済=実質デフォルトリスクの顕在化
3. 株式・為替市場の急変動、政策金利の上下圧力
対応策: 議会による一時停止法案(Debt Ceiling Suspension)
償還優先順位ルールの検討
FRBの流動性供給オペ
4.投資家が押さえるべき3つのポイント
1. 金利上昇圧力
大量の再発行(ロールオーバー)→需給悪化→長短金利上昇
既存保有債の価格下落リスク
2. 再発行コスト増
かつて低利で発行された中長期債が高利環境下で再発行され、財政負担が増大
利払い費用(Net Interest)だけで2025年は約9520億ドルに達するとCBO予測
3. ポートフォリオ戦略
分散投資:短期・中期・長期をバランスよく保有
デュレーション管理:金利変動リスクを抑制
代替投資:MBS(住宅ローン担保証券)や社債、IG債でのリスク分散
5.まとめ:今こそ「償還スケジュール」を味方に
2025年はかつてない規模の満期到来年──米国債への理解なしに投資は語れない
月別・期間別の償還額を把握し、金利環境の変化に迅速に対応することが最大のリスクコントロール
債務上限問題との同時リスクも注視し、市場動向や政策動向をウォッチ
具体的アクション:証券会社の債券レート通知やFRB・財務省公表データを定期チェック
投資は情報戦。 償還スケジュールを正確に把握し、マクロ要因を味方につけることで、あなたのポートフォリオは真の強さを手に入れます。
https://note.com/super_yak9655/n/n05bae14ae210
レイ・ダリオは「支出削減」「税収増加」「金利低下」という3つの解決策を実行しなければ3年以内に利払いの停止、あるいは「債務再編」に追い込まれると主張している。
【参考】
「現在の計画と比較して支出削減と税収をそれぞれ約4%増加させ、それに応じて金利を約1~1.5%低下させることで、今後10年間で利払い費がGDPの1~2%減少し、資産価格の上昇と経済活動の活性化が促進され、歳入が大幅に増加するでしょう。」
https://www.youtube.com/watch?v=7pB3M2uhFD4
【参考】2025年3月3日 の記事
ヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で億万長者のレイ・ダリオ氏がトランプ政権に警告を発した。今すぐ赤字削減に取り組まなければ、3年程度の内に深刻な債務危機に見舞われるリスクがあると論じた。
ダリオ氏はブルームバーグのポッドキャスト「オッド・ロッツ」のインタビューで、赤字削減を「しなければトラブルに見舞われるだろう。いつ起こるかを正確に言うことはできない。心臓発作のようなものだ」と語った。
「それは近づいている。私の予想では3年後だ。プラスマイナス1年程度の誤差はあるだろうが、そんなところだ」と付け加えた。
トランプ氏のチームは、巨額の減税措置を維持しながら、直近で年間1兆8000億ドル(約271兆円)に達した赤字を削減するという2つの目標に取り組んでいる。
また、ダリオ氏は最新著書「How Countries Go Broke(仮訳:国家はどうやって破産するか)」のプロモーション中で、同書では債務サイクルの仕組みを説明し、米国の赤字を国内総生産(GDP)の3%に削減する即時取り組みを提唱している。
「やらなければ、責任を取るのはあなた方だ。結果に対して責任を取らなければならない」とダリオ氏は政権に呼び掛けている。「経済が心臓発作のような事態に陥った場合、有権者はそれを良しとしない。従って、責任を取らなければならない」と論じた。
同氏は、米国が既存の債券の償還や利払いに充てるために新たな債券を発行する必要があるにもかかわらず、米国債の買い手が不足する可能性に直面していることを懸念している。
既存の債務の借り換えだけではなく、債券発行を増やさなければならなくなるとダリオ氏は指摘。「それらを個人や機関投資家、中銀、政府系ファンドに売らなければならない」と語った。
「買い手は誰か、どれだけの量を売らなければならないかを計算すると、大きな不均衡が見えてくる」という。
ダリオ氏にとって、市場に対する最終的な理解につながったのは、1971年に当時のニクソン米大統領が、金とドルの交換停止という驚きの決定を下したことだった。
それから50年以上がたった今、ダリオ氏は市場に同様の衝撃が起こる可能性を見ている。つまり、米国がある時点で米国債の大量保有者に制裁を科し、利払いを停止したり、あるいは債務再編を試みたりする可能性だ。
「政府は債務再編を行うと発表し、それをデフォルトとは言わないだろう」とダリオ氏は述べた。
仮定としてのマールアラーゴ合意に関する考えを尋ねられたダリオ氏は、米国がドル安を追求しながら、同時にグローバルな金融システムにおけるドルの「特別な地位」を維持するという仮説的な計画について、米国が自国通貨を弱体化させることに成功するという考えに異議を唱えた。
「他の全ての通貨との関係においてドル安になるとは思わない。他の全ての通貨がドルと共に下落すると思う」と述べた。
「1970年代や30年代の状況に非常に似ている。つまり、金やその他の実物資産との比較において、全ての通貨が下落するだろう」と説明した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-03/SSJJ04T0AFB400
以下の記事ではFRBが長期金利の急上昇を防ぐためにまた国債買い入れ(QE)を行うことになり、それが株価のさらなる上昇をもたらすといったことが書かれているが、それはデビッド・ハンターのfinal melt-upに通じる話でもある。
【参考】2024年12月24日の記事
国債買い入れが長期株式投資の起点になるか?
2025年の相場の大きなテーマは債務との闘いとなる。債務危機を起こさずに、相場が上げている最大の要因である過剰流動性を維持できるか否かが焦点となるだろう。
トランプ次期政権では、大規模な減税が確実に行われるだろう。しかし、支出削減の約束は守られない可能性が高い。それは、巨額の財政赤字がさらに急増することを意味する。
現在、米国の巨大な債務の壁が満期を迎えている。 発行残高28兆ドルの米国債のうち、これから3年間で米財務省は15.5兆ドルの債務を借り換えなければならない。米国の債務を返済するための利息コストは、ここ数ヶ月で爆発的に上昇している。
米国債の買い手がいないなか、長期金利が急上昇するのを防ぐためFRBはいずれ国債買い入れ(QE)をことに行うことになるだろう。筆者は次のQE5こそが長期株式投資の起点(スタート時期)になると考えている。 だが、それはいずれ米国のインフレを急上昇させることになるだろう。
現在の相場は、膨大な額の信用の積み上がり、金融政策の緩み、住宅価格の高騰、不動産投機、レバレッジの爆発、大衆投資家による投機熱の高まりなど、バブルに共通する分母で溢れている。
西部邁によれば、大衆という人種は、「わかりやすい単純模型」に簡単に飛びつく愚かな人々である。大量の人間が飛びつくものに、ろくなものがあった試しがないのである。 相場の世界では、流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。
儲けそこなうという焦りや、追い込まれた状態で大きな勝負をしてはいけない。
相場は明日もやっている。
https://media.monex.co.jp/articles/-/26068