JPモルガンのCEOが債券市場でいずれ混乱が起きると警告しているが、これが米国債のデフォルトを指しているのかについては分からない。
恐らくデフォルトかそれに近いことが起きるということなのだろう。
ゴールドマンサックスの社長も最大のリスクはもはや関税ではなく、米政府の債務拡大にあると指摘している。
また、エミン・ユルマズは米国債の実際の格付けはBBB+ぐらいのはずだと指摘しているが、それはCDS(クレジットデフォルトスワップ)を見ればそういうことになるとのこと。
【参考】2025年5月31日の記事
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、債券市場の混乱は「いずれ起こる」と警告した。米政府と連邦準備制度理事会(FRB)が支出と量的緩和を「過度にやり過ぎだ」結果だとの考えを示した。
ダイモン氏は30日、レーガン・ナショナル・エコノミック・フォーラムで講演し、「6カ月後に危機となるのか、あるいは6年後なのかは分からない。債務の軌道と、マーケットメーカーが市場を機能させる能力の双方を変えていけることを私は望んでいる」と発言。「残念ながら、われわれが目を覚ますには危機が必要かもしれない」と述べた。
米国債は月間ベースのリターンが今年初のマイナスとなりそうだ。関税を巡る不確実性の再燃や政府債務拡大への懸念が背景にある。ダイモン氏はここ数年、世界的な財政赤字の拡大に繰り返し懸念を表明しており、この日はいわゆる債券自警団が戻ってきたのかとの質問に対し、「その通りだ」と答えた。
同氏は先月にも、米国債市場で「混乱」が生じ、それがFRBの介入を促すことになると予想していた。また、米銀のいわゆる補完的レバレッジ比率(SLR)やその他規制には「深刻な欠陥」があると指摘し、それらが是正されれば、銀行はより積極的に仲介機能を果たせるようになるだろうとしていた。
「私はこれを規制当局に言いたい」とダイモン氏は30日に発言。 「これは起こるだろう。そしてあなた方はパニックになるだろう。私はパニックにはならない。われわれは大丈夫だ。むしろもっともうかるかもしれない。そうなるとJPモルガンにとって良いことだから、われわれは危機が好きなんだと言う友人も出てくるだろう。実際にはそうではない」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-30/SX34MGT0G1KW00
【参考】2025年5月30日の記事
債券トレーダーは米政府の債務拡大に対して警戒感を強めており、今では関税以上にリスク要因として懸念されていると、ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は指摘した。
ウォルドロン氏は29日、バーンスタイン主催の会議で「これまでは関税に全ての注目が集まっていたが、特に債券市場で米国の財政を巡る議論や財政状況に当然ながら関心が移りつつある。財政状況について私はやや気がかりだと考えている」と発言。「マクロ経済における最大のリスクは、もはや関税ではない」と述べた。
米財務省による借り入れの増加は金利を押し上げており、とりわけ長期金利の上昇が顕著だと同氏は指摘。米政府の債務負担が重くなり、財政赤字拡大や経済全体における借り入れコスト上昇といったリスクが高まっていると論じた。ウォルドロン氏はゴールドマンの次期最高経営責任者(CEO)の有力候補と広くみられている。
米30年債利回りは1週間前に約20年ぶりの高水準に迫った。トランプ米大統領は大型税制・歳出法案を推進しており、これが米財政見通しをさらに悪化させるとの懸念が広がっている。
ゴールドマンの副会長で前ダラス連銀総裁のロブ・カプラン氏も、ウォルドロン氏と同様の見解を示し、同行の顧客はフェデラルファンド(FF)金利よりも米10年債利回りに強い関心を寄せているとブルームバーグテレビジョンで話した。
それでもウォルドロン氏は、米経済には力強さが見られると指摘。「米国の経済と消費者は驚くべき底堅さを示している」とし、「私にはやや意外だが、経済の底堅さはかなり顕著だと考える」と付け加えた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-29/SX18I7T0G1KW00
【参考】2025年5月29日の動画
「世界最高の安全資産だったはずですけど、アメリカの国債。そうじゃない?」
「はい、じゃないですね。もうね。アメリカは。ちょっとリスキー。リスクが高まった。まだリスキーな部分ではないけれども。一応、投資適格なんで。リスクが高まったと。ただし、これは実はですね、アメリカのここまで元々高く評価されてるのは、ドルが基軸通貨であって、アメリカが覇権国家だっていうこともあってですね、本当の意味でのアメリカをファンデメンタルで、モデル、まあこの人たちはモデルを使っているんで、要はアルゴリズムですね。本当の意味でのアルゴリズムにアメリカをかけると実はBBB辺りじゃないかって言われてるんです。」
「本当ですか?」
「うん、BBB+ぐらいじゃないかって言われてるんですね。ていうのはなぜかって言うと、これ実はクレジットデフォルトスワップというものがありまして。」
「CDSですね?」
「そうです。CDSです。つまりCDSっていうのは、日本とかアメリカとかその他の国が発行してる国債を買ってる人たちが保険をかけるためのものなんです。クレジットデフォルトスワップというのは、要はクレジット、いわゆる債券がデフォルトした時の保険ですね。」
「要するに、このデフォルトのリスクが高ると、そのCDSが上がっちゃうってことですね?」
「CDSっていうのは保険で、保険のためにいくら保険買ってる人がいくらプレミアム、金利払わなきゃいけないかっていうことなんですね。だからアメリカの今、CDSのレベルからするとこのレベルじゃないんですよ。」
「そんなに今、アメリカのCDSって高くなってきてるんだ。」
「高い。高いです。このレベルではない。というようなちょっと状況がある。もちろん、私はアルゼンチンとかトルコとかのCDS見てるから、めちゃめちゃ。それに比べると、もちろん先進国は全然いいんだけど。ただし、一応ですね、そういう状況なんですね、今。」
「じゃあ投資家はちょっとアメリカに不安を感じているからCDSが上がってるって状況ですよね?」
「そうですね。そうなんですよ。上がってます。という状況ですね。で、これが、結果的にはどこに影響してくるかって言うと、これアメリカの10年金利が高いままで、ずっと。」
「そうですよ。金利が上がってきちゃいました。債券売られてるってことですか?」
「そういうことです。維持されていて、その足元で格下げがちょうど17日だったんで、そこから見てみると、そんなに大きくは上がっていないんですけど、上げ下げはあるけれども。ちょっと緩やかに、やっぱり、長期金利が上がっている。」
「上がっちゃってるんですねえ。」
「これが1つ。で、本来であれば長期金利が上昇するとドルは買われるんですけど、ただ、今回はちょっと信用問題っていうか、アメリカの基軸通貨建ての、アメリカの自国通貨建ての資産に対する不安感もあるので、実はドルが下がっているんですよ。」
「金利が高いのにドルが下がるっていう」
「これは要はもうアメリカの資産から逃げてるんです。投資家はね。」
「アメリカ売りましょうみたいなね。 」
「そういうことですね。それが起きている。」
https://www.youtube.com/watch?v=QV0F73NF-P0