アメリカ政府は国債の利払い負担軽減のために、金利低下と国債の買い手確保をしなければならないが、一般的に金利を大幅に下げるとインフレになるため、株価の下落や景気後退を伴う形を取ることで低金利とインフレ抑制の両方を達成しようとしているのだろう。

景気後退するのであれば債券需要も高まり、さらに、FRBも利下げしやすくなるため、意図的に景気を悪化させることも場合によっては必要になるようだ。

そして、緊縮財政をしていく中で財政健全化を実現させ、なるべく小さい予算で政府を運営していく道筋(減税)が立てば、デフォルトという最悪の事態を回避できるのだろう。

しかし、個人的にはDOGEに対する世間の反感や、時間的な問題から、アメリカの財務状況はかなり切迫しているように思え、恐らく2か月後には何らかの重大な問題が起きているのではないかと思う。

(本来、中央銀行の利下げは景気回復を図るためだが、今のアメリカはデフォルトを避けるために金利を下げる必要がある。これからFRBが利下げに動くのだとしても、恐らくそれは景気回復が目的ではないし、当然インフレにするためでもない。金融危機時のやむを得ない措置ということなのだろう。)

 

【参考】2025年3月5日の記事

ドナルド・トランプが市場の暴落を望んでいる理由  

…短期的には↓  

下のチャートは、現政権の行動の背後にある理由と、それが市場に悪影響を及ぼしている理由をまとめたものです。

 1. 今後6か月で返済しなければならない7兆ドルの債務があります。返済できなければ、借り換えが必要になります。  

 2. トランプ政権は4%以上の金利で借り換えることを望んでいません。今年のある時点で10年債は4.8%でした。  

 3. 10年債(金利)を引き下げるにはどうすればよいでしょうか。市場は成長の弱さを示し、DOGEは実際に機能していると認識され、金利は引き下げられる必要があります。  

 そのためには、短期的には成長を鈍化させる可能性のある大きな不確実性、つまり関税を作り出し、債券市場が株式に触れることを恐れてできるだけ早く債券を購入し始めるようにすることです (これにより利回りが低下し、これが債務の借り換えに必要なことです)。そして、それが連邦準備制度理事会に金利を引き下げる権限を与え、利回りを引き下げ続けます。  

 つまり、関税はインフレを招き、10年国債(金利)は関税が上がれば急騰するはずだと通説では言われているものの、実際には下落している。なぜなら、関税が株式市場に大きな不確実性をもたらし、人々が株を売って債券を買っているからだ!  

 これはまさに、借り換えコストを下げるためにトランプ政権が短期的に起こしたいことなのだ。  

 短期的な痛みは長期的な利益のためか?

https://x.com/amitisinvesting/status/1896972241415344477

https://nofia.net/?p=26301

 

 

 

ベッセント財務長官はイエレン前財務長官が行っていた短期債の発行について批判していたことがあるが、それは、短期債は満期がすぐ到来するため、あまり発行し過ぎるとすぐに償還か借り換えが必要になる。

しかし、アメリカは国庫が既に底をつき始めており、金利を下げ、巨額の資金を確保しないとデフォルトしてしまう。

今は財務省の現金残高が枯渇寸前の状態で利払い費を確保しなければならない状況にある。

アメリカのデフォルトはGDP比でどうとかではなく、前政権が短期債の発行をやり過ぎたことによって引き起こされる可能性がある。

恐らく今年以降、アメリカ政府はかなりの借換債を発行してロールオーバーすることになるが、金利を低く抑えないと利払い費だけでかなりの負担になってしまう。

アメリカ政府は利払い費だけで年1兆ドルもあり、今後、数年間は大幅な税収増と低金利にしていかなければ金利の負担だけでデフォルトする可能性がある。

トランプ政権が発表した非常に高い関税は、喫緊の支払いに充てる資金を確保するためにやむを得ず決定したのだと思われる。(景気を悪化させる要因にもなり、それも金利を下げる効果がある)

トランプ政権による財政健全化や債務問題への取り組みが失敗すれば本当にデフォルトすると言われており、そうなってしまうと日本はとんでもない額の不良債権を抱えることになる。


 

※どうやらかなりの高い関税による歳入がなければ国庫が空になってしまうらしい。国庫に潤沢な資金が入っていなければ短期債の借り換えや償還に必要な資金が不足してしまうため、急いで資金を確保し、歳出削減も進めなければならない。また、予定されている減税法案の可決がされないと共和党内で話がまとまらず、債務上限の引き上げに失敗する可能性があるため、今後数か月間は非常に危険な状況になるのだろう。

(借り換え後も金利負担は続くため、なるべく低金利にすることが望ましい。借り換えでも利払いのための資金は必要になる。)

 

【参考】2025年1月23日の記事

トランプ氏は関税措置から得られる収入を個人・法人税収入と同じように活用し、減税措置の財源などに充てたい考えを表明。トランプ氏の側近で現政権で貿易・製造業担当上級顧問に就く見通しのピーター・ナバロ氏は21日、CNBCに対し「関税は減税論議の重要な部分だ。10%の関税で3500億─4000億ドルの収入が見込める。利点は明らかだ」と述べた。

ただ、ここ数年の関税収入は政府の年間歳入の約2%程度。米国の予算に影響を及ぼすほどの関税収入を確保するのは困難との見方も出ている。

https://jp.reuters.com/business/D5B6LNCJQNL5LH4F477PCUIGKE-2025-01-22/

 

【参考】2025年4月1日の記事

トランプ政権のピーター・ナバロ上級顧問(通商・製造業担当)は、4月3日から課税予定の自動車・同部品関税2025年3月27日記事参照により、年間1,000億ドル、その他の追加関税は年間6,000億ドルの税収をもたらすとしている。他方で、エコノミストなどからは関税により、自動車の製造コストが1台当たり4,711ドル上昇することや、住宅価格の中央値が2万1,000ドル上昇することが指摘されている(PBSニュース3月31日)。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/04/648420309ffe1d70.html

 

【参考】2025年4月1日の記事

トランプ氏と側近らは関税を、製造業の米国回帰に利用するとともに、トランプ氏の看板政策である減税の更新の財源に充てると述べている。一律関税の支持者であるピーター・ナバロ大統領上級顧問(通商・製造業担当)は最近、関税によって年間6000億ドル(約90兆円)の歳入を確保でき、所得税引き下げに充てることができると述べた。

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E6%B0%8F-%E9%96%A2%E7%A8%8E%E8%A8%88%E7%94%BB%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%81%9F-%E5%86%85%E5%AE%B9%E3%81%AF%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%81%95%E3%81%9A/ar-AA1C2pdI

 

【参考】2025年3月29日の記事

【ワシントン=八十島綾平】トランプ米大統領が4月3日に発動を予定する自動車関税で、2026年から35年にかけて米国の税収が最大6500億ドル(97兆円)増える見通しがあることが分かった。米エール大予算研究所(TBL)が28日に試算を公表した。米国の新車価格は1台あたり6400ドル(96万円)上昇する可能性がある。

トランプ政権は4月3日に、輸入自動車と輸入部品に25%の追加関税をかける計画だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28D1H0Y5A320C2000000/

 

【参考】2025年4月3日の記事

[ワシントン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領が世界の経済秩序を「破断界」に到達させようとしている。2日に発表した相互関税についてトランプ氏は、政権が算出した貿易相手国の関税率の半分程度に引き上げただけの「親切な」内容だと強調した。しかし消費者や企業、世界各国の指導者はそれほど寛大だとは感じないだろう。
米国は各国に一律で10%を課すほか、途方に暮れるほど幅広い貿易相手に追加関税を発動する。例えば中国は34%、欧州連合(EU)は20%、インドは26%で、大恐慌時代以来の高水準だ。米国にとって最大の貿易相手であるカナダとメキシコには、独自の関税体系が適用される。政権が掲げる数兆ドル規模の歳入増加と製造業を米国に呼び寄せるという2つの目標は決して両立せず、妥協を引き出す交渉のための土壇場の取り組みを複雑化させる。一方で相互関税がもたらす痛手は相当大きいだろう。
トランプ氏がこの日を「解放の日」と称して打ち出した関税措置は、事前段階であれだけ大きな騒動になったにもかかわらず、改めて衝撃を与えた。フィッチ・レーティングスによると、昨年2.5%だった米国向け全輸入品の実効関税率は22%に跳ね上がり、1910年以来の高さになった。農家や自動車メーカー、米商工会議所、労働組合などは新たな貿易障壁による経済的な打撃に警鐘を鳴らしたが、聞き入れられなかった。

実際、米国製品への直接的な関税から鶏肉を巡る規制、消費税まで数え切れないほどの不平不満が存在した結果、他国が課しているとされる関税の計算は紛糾した。しかし、トランプ氏は米国自らが形成に助力した戦後の国際秩序で組織的に不利益を被ってきたと主張しているが、それを一掃すれば自国が景気後退に陥る公算が大きい。

ムーディーズが示した最悪のシナリオに基づくと、20%の関税は今年2月時点で4.1%だった失業率を2027年初めに7.3%まで押し上げ、この間に株価は25%下落する。これまでに実施された分と合わせると、関税による米世帯の平均負担額は最低でも3400ドルに達するとイェール大学予算研究所は試算している。消費者と企業は既に動揺し、3月のミシガン大調査によると、向こう1年で失業率が上がると予想した消費者は全体の66%と金融危機以降で最も高くなった。

おそらく米国は、自らの行為がどのような事態を招くかはそれが現実となるまで分からないだろう。中国の買い手は米国産大豆ではなくブラジル産大豆の保有を拡大しつつあり、カナダは欧州との間で軍事・経済協力を強化しているほか、中国と韓国、日本は米国の関税対応で協調しようとしている。

米通商代表部(USTR)と世界銀行のデータによると、米国の消費者は世界全体の4.2%に過ぎないが、全世界の輸入の最大14%を購入していることが分かる。つまり、米国市場の引力はなお大きい。またトランプ氏が違法な関税と見なしている各国のさまざまな政策が存在し、それは対象国にとって是正案を示して交渉できる可能性を意味する。

ただ、米国内向けのより壮大なビジョンの存在がある以上、関税政策に軌道修正の余地は乏しい。トランプ氏側近のピーター・ナバロ氏は関税によって国庫に6兆ドルが入ると発言している。財政赤字拡大が続く中でその効果は重要だ。

一方で、トランプ氏は関税政策を通じて世界中の製造業が米国に集まってくると想定するが、そうなると関税収入はなくなる。各国がこれら矛盾するトランプ政権の動機をどうやって満足させるのかは不透明で、はるかに長期にわたる危機を招く恐れがある。

●背景となるニュース

*トランプ米大統領は2日に相互関税の詳細を発表し、全ての輸入品に一律10%を課すとともに、主要貿易相手の多くに追加関税を適用する方針を明らかにした。一律関税は5日、追加関税は9日に発動される。 もっと見る

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/IMKH4YXDHBNNLMUH5DRDXUF4ZE-2025-04-03/

 

【参考】2025327日の記事

[ワシントン 26日 ロイター] - 米議会が連邦債務上限引き上げに動かないと早ければ8月、場合によっては5月下旬にも一部借り入れの返済ができなくなり、政府がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある――。議会予算局(CBO)は26日、こう警告した。

CBOによると、財政資金が枯渇する「Xデー」到来時期として可能性が大きいのは8月か9月だが、想定以上に借り入れニーズが多くなれば、5月下旬ないし6月にも国庫が空になってもおかしくない。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZVYAK5VBGFORHB3UTLN7ULFJ3E-2025-03-26/

 

【参考】2025327日の記事

今週初め、私たちは財務省の現金残高が過去18か月間平均約8000億ドルで推移し、先月は4800億ドルも減少したことを指摘しました。

定期的に読んでいる読者なら、この急落の理由を知っているだろう。バイデン政権の最後の数日間に米国が債務上限に達して以来、米国財務省は新たな債務を発行できず、日々の業務に資金を供給するために現金を取り崩さざるを得なかったのだ。

明らかに、この状態がどれだけ長く続くかには限界がある。結局のところ、現金残高がゼロになれば、財務省は支払いを優先せざるを得なくなり、最終的には利息の支払いや元本の返済を遅らせざるを得なくなるかもしれない。これはデフォルトとしてよく知られている。

そこで、今朝発表された議会予算局の最新報告書では、議員らが債務上限の引き上げや停止に失敗すれば、早ければ8月にも連邦政府はすべての請求書を期日までに支払うのに十分な資金がなくなる可能性があると警告している。

議会予算局は、債務上限が変更されない場合、政府の非常手段による借り入れ能力はおそらく20258月か9月に枯渇すると見積もっている。その間の歳入徴収と支出の時期と額が議会予算局の予測と異なる可能性があるため、予想される枯渇日は不確実である。(出典

超党派政策センターは月曜日、公開データによれば、財務省は7月中旬から10月初旬の間に債務不履行に陥らざるを得なくなるだろうと述べた。

CBOはまた、政府の借入ニーズが「CBOの計画を大幅に上回る場合、6月中旬に納税期限を迎える税金が支払われる前、または630日に追加の特別措置が利用可能になる前に、5月下旬または6月中に財務省の資金が枯渇する可能性がある」と警告した。

https://www.zerohedge.com/economics/cbo-warns-us-treasury-could-default-soon-august

 

【参考】202541日の記事

米議会予算局(CBO)は26日、「債務上限が変更されない場合、特別措置を活用した政府の借り入れ能力は2025年8月または9月に尽きる可能性が高い」と声明で指摘。「政府の借り入れニーズがCBOの予測を大幅に上回る場合、財務省の資金は5月下旬か6月中にも底をつく可能性がある」とした。

  財務省の資金が枯渇するいわゆる「Xデー」が予想よりも早く訪れた場合、議会には債務上限に関する計画がまだない。

  スーン共和党上院院内総務は現在、トランプ大統領の減税案とともに、少なくとも4兆ドルの債務上限引き上げを含む共和党主導の予算決議案の推進に取り組んでいる。しかし、議会共和党は時間がかかり政治的に複雑な交渉の初期段階にあり、2カ月でまとまる可能性は低い。

  5月に支払い不履行になるリスクが高まるようであれば、共和党は減税法案を一時的に保留し、債務上限の問題だけに集中するよう圧力がかかるだろう。減税とセットにならないのであれば、債務上限の引き上げを支持する共和党議員が十分に集まる可能性は低く、民主党に頼らざるを得なくなる。そうなれば、債券市場を不安にさせるような、政治的に危険な「チキンゲーム」が再び始まることになる。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-31/STZN55T1UM0W00

 

 

※恐らく、現時点ではまだ金利が高いため、中長期債の発行を増やすのはまだ先だということなのだろう。

 

【参考】2025220 の記事

ベッセント氏は財務長官に指名される前に、期間短めの債務で財政赤字を補うイエレン前長官の発行戦略を批判していた。だが、米財務省は今月、中長期債の発行規模を2025年も当分現状で維持するガイダンスを据え置いた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-20/SRZETWDWX2PS00